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回答先: エジソンの霊界通信機 投稿者 SP' 日時 1999 年 8 月 16 日 09:33:54:
エジソンが心霊的な問題にいつごろから手を染めたかははっきりしないが、関係者の証言からおそらく一九一〇年代の後半ごろ、つまりエジソンが七〇歳の坂を越えたあたりからだろうといわれている。
そのころエジソンは、ひとりの超能力者を研究所に招いて一連の実験を行なっている。大親友の自動車王ヘンリー・フォード(メーソン)から紹介されたその男は、名をバート・リーズといい、テレパシーと透視能力で売り出し中だった。
エジソンはリーズを被験者に、紙に書いた文字の内容を当てさせるなどの実験を繰り返した。何度かの実験でその能力を確信するようになったエジソンは、さらに大胆な実験に取り組んだ。超能力のない普通の人間に、超能力を芽生えさせようとしたのである。
エジソンはリーズと三人の被験者の頭に、電気コイルを応用した装置を固定した。それから四人を離れた部屋に配置して、互いにテレパシーを送りあわせたのである。
うまくいかないとわかると、距離をだんだん近づけ、ついには互いに膝がくっつくほどになった。が、それでも期待したような結果は得られなかったとエジソンは証言している。
結局、世紀の大実験は失敗に終わったが、エジソンはリーズの超能力自体は疑わなかった。心霊術者のトリック暴きに奔走していた奇術王ハリー・フーディニに彼を紹介したり、リーズが興行師とトラブルを起こして訴えられたときには、それを弁護する文章を書いているほどだから。
エジソンの宇宙的知性の思想には、合理性への素朴な信頼が感じられるが、それは彼の宗教観とも見合っている。
晩年のエジソンは宗教的には自由思想家(フリーシンカー)と見なされ、実際にも一九二〇年代を通じてずっと自由思想家協会を支援してきた。
自由思想家とは合理主義に根ざし、あらゆる宗教上の権威や信条から自由でありたいとする人びとである。極端なものは唯物論者となるが、一般には、神の創造を認め、宇宙を合理的に解釈しようとする「理神論」や、神と宇宙とを同一視する「汎神論」の立場に立つ。したがって無神論者とは必ずしも一致しない。エジソンも教会の権威を認めなかったが、無神論者ではなく、「最高知」とか「至上神」と呼ばれる存在は信じていた。(別冊歴史読本 特別増刊50 『禁断の超「歴史」「科学」』p226-227より)