Tweet |
◎胎児も大人並みの汚染判明
ダイオキシンの血液濃度
大阪医大産婦人科の植木実教授らの研究グループが、出産後の女
性の血液とへその緒の臍帯血(さいたいけつ)などを採取、ダイオ
キシンを調べたところ、母親の血中のダイオキシンの90%以上が
胎児に移行、胎児の血液も大人並みに汚染されていることが明らか
になった。
母親と胎児の血中濃度の比較は初めてで、この結果は10日から
東京で開かれる日本産科婦人科学会で発表される。
植木教授は「胎児への毒性はまだよく分からないが、胎内で早く
からダイオキシンが母親から移行していることになり、影響が懸念
される」と指摘している。
教授らは昨年同大病院で出産した23歳から36歳の女性10人
から得た胎盤、母乳、血液と臍帯血のダイオキシンを測定した。
ダイオキシンが蓄積しやすい脂肪1グラム当たりの検出量は平均
で、胎盤組織が67・3ピコグラム(ピコは1兆分の1)、母乳が
28・3ピコグラム、母親の血液が22・7ピコグラム、臍帯血が
20・5ピコグラム。
母親の血液は胎盤を経てへその緒に至る。胎盤には血液の約3倍
のダイオキシンが蓄積しているが、臍帯血での検出量は母親の血液
に比べほとんど減っていない。
ただ、臍帯血中の脂肪は成人の血液に比べ3分の1から4分の1
と少ないため、血清1グラム当たりのダイオキシンを比較すると、
平均で母親は0・189ピコグラム、臍帯血は0・048ピコグラ
ムと、4分の1程度にとどまった。
また、昨年の東京都の母乳調査で経産婦は初産婦に比べ汚染度が
低いとの報告が出ているが、今回も胎盤の濃度も含めて同様の結果
が出ており、出産や授乳でダイオキシンが排出されていることがあ
らためて裏付けられた。
(了)
[共同 4月 9日] ( 1999-04-09-08:32 )