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スポーツニッポン1999年8月5日23面
“埼玉・本庄保険金疑惑
実名、写真、交通手段……詳細びっしり
HP開設
先月29日から
〃過ぎる悪ノリ〃
〃この夏最高のレジャースポット〃”
埼玉県本庄市の保険金疑惑で、渦中の金融業者(49)の実名や顔写真などが
インターネットのホームページ上で公開されていることが4日までに分かっ
た。ページのタイトルは「*****」(伏せ字・記事は伏せてない)となっ
ており、サイト中には金融業者の事務所の写真や現場への交通手段などが詳細
に記されている。疑惑の段階の上、強制捜査の対象にもなっていない人物の個
人情報が一方的に公開されることはプライバシーの侵害などにつながる恐れも
あり、今後議論を呼びそうだ。
人権侵害承知で
金融業者の実名や顔写真がインターネットに流れたのは先月29日。
まず「目貼(ぱ)りなし実名公開の人権躁甑(じゅうりん)だ!」とのただし
書きが書き込まれており、サイトの表紙に金融業者の顔写真、実名、年齢など
が
「僕は保険の神様だよ!」「毒は絶対に出ない!」「法律は犯していない
よ!」といった吹き出しと一緒に掲載されている。
さらに「こんなオモロイ事件を楽しむのをマスコミの特権にすんのはもったい
ない!」「この夏最高のレジャースポットだ!」として、現場への交通手段を
詳細に記載。ほかにも金融業者の事務所名や電話番号、自宅、マスコミとの定
例懇談が開かれている飲食店の看板や、金融業者の近隣宅までも「胡散(うさ
ん)臭い情報をゲットしてる」として写真が公開されている。
このぺ−ジの関係者が現場で撮影したものを掲載したとみられる。
金融業者については周辺の騒動が過熱するにつれ、暴行事件なども発生。個人
情報を興味本位に公開することは、プライバシーの侵害や名誉棄損だけでな
く、さらなる不測の事態を誘発する恐れもある。
各媒体が金融業者の顔に目線を入れるなどの配慮をして報道を続ける中、あえ
てネットで公開した理由について、ページの〃管理人〃にコメントを求めたと
ころ「(自分の著書に)書いてあります」などと返答。この人物は「サイバー
スペースからの攻撃」などの著書を出版している。
インターネットの問題に詳しい「日本コンピュータクラブ連盟」の山本隆雄氏
によると、こうしたケースで特定の人物の顔写真や実名がネットに流れるの
は、神戸の連続児童殺傷事件がきっかけ。
和歌山市の毒物カレー事件でも、逮捕前に林真須美被告(37)の情報が流れ
たが、事件化するかどうかも微妙な疑惑の段階で、ここまで詳細な情報が流れ
るのは異例という。
その上で山本氏は「今回は明らかにやりすぎで悪質。しかしマスコミや当局が
情報を非公開にすればするほど、こうした事例は増えるだろう」と話してい
る。