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問2 遺伝子組換え食品の安全性の評価はどのような手続き
で行われるのですか。
(答)
1. 開発者からのその遺伝子組換え食品に係る安全性評価
指針への適合性の確認の申請に対し、専門家により構成され
る食品衛生調査会において、安全性評価指針に沿った遺伝子
組換え食品の評価を開発者が実施しているかどうかについて、
個別に確認しています。
2. 遺伝子組換え食品の安全性評価は、次の手続きに沿っ
て行われています。
(a) : 情報の提供(記者発表)
(b) : 情報の提供(記者発表)、申請資料の公開等
(1) 申請者からの申請書の提出(任意)
(2) 厚生大臣から食品衛生調査会に対し、安全性評価の確認
申請が出された食品等について組換えDNA技術応用食品・
食品添加物の安全性評価指針への適合性の確認の可否につい
て諮問
(3) 食品衛生調査会から食品衛生調査会バイオテクノロジー
特別部会へ審議を付議(依頼)
(4) バイオテクノロジー特別部会(委員は専門家で構成され
ている)における審議
(5) バイオテクノロジー特別部会での審議結果の食品衛生調
査会常任委員会への報告
(6) 食品衛生調査会常任委員会(委員は専門家の他、生産
者、消費者の代表により構成されている)での審議の後、食
品衛生調査会から厚生大臣に答申。
(7) 厚生省から申請者への安全性評価指針への適合性確認の
通知
問3 遺伝子組換え食品の安全性の評価はどのように行われ
るのですか。
(答)
1. 遺伝子組換え食品の安全性の評価は、専門家の審議を
踏まえて策定された指針(以下の2、3参照)に基づいて科
学的に実施されています。
2. 厚生省では、平成3年12月に、食品衛生調査会での専
門的な審議を踏まえて、組み換え体が微生物であって、組み
換え体そのものを食さない場合について、「組換えDNA技
術応用食品の安全性評価指針」を策定しました。
3. また、平成8年2月には、国内外での遺伝子組換え食
品の開発の現状等を踏まえ、食品衛生調査会における検討の
結果、安全性評価指針を改訂し、この指針を組み換え体その
ものを食する種子植物にまで適用範囲を拡大しました。
4. この指針では、遺伝子組換え食品は、既存の食品とそ
の成分を比較し、
1.たんぱく質等の主要食品成分の割合が同程度
2.組み換えにより新たなアレルゲン等が産生されていない
等が確認されれば、既存の食品と同様に安全であると考えて
います。
5.この安全性評価指針(問18参照)に沿って、遺伝子組換
え食品等が適切に評価されているかどうかについて、食品衛
生調査会の意見を聴いて厚生大臣が確認することとしていま
す。
※ 組み換え体が微生物であって組み換え体そのものを食さ
ないものの例としては、チーズを作るときに用いられる凝乳
酵素「キモシン」の例があります。
問5 「生産物が既存のものと同等と見なし得る」とは、ど
ういうことですか。
(答)
「生産物が既存のものと同等と見なし得る」とは、新しい
品種の農作物の食品としての安全性を評価する際に、既存の
食品(農産物)を比較対象として用いることができるという
考え方です。既存の食品を比較対象として用いることができ
れば、遺伝子組み換えによる影響について、安全性の評価を
行えば足りることになります。
なお、安全性評価指針においては、「生産物が既存のものと
同等と見なし得る」かどうかを
(1)遺伝的素材に関する資料
(2)広範囲なヒトの安全な食経験に関する資料
(3)食品の構成成分等に関する資料
(4)既存種と新品種の使用方法の相違に関する資料
により、判断することとされています。
問6 遺伝子組換え食品の安全性の検査は誰が行っているの
ですか。
(答)
1. 食品衛生法においては、食品の安全性の確保は、まず
製造者、輸入者等が自らの責任で実施するものであり、遺伝
子組換え食品の安全性の評価についても、製造者、輸入者等
が行っています。
2. このため、国の機関が直接検査することは考えていま
せん。 なお、厚生省は製造者等の行うこの評価が妥当適切
なものかを確認することにより、安全性確保を図っています。
問7 遺伝子組換え食品の安全性の確認は指針の内容で十分
であると考えられるのですか。
(答)
1. 安全性評価指針は、最新の科学的知見をもとに作成さ
れているものであるので、この指針に沿って評価が行われた
遺伝子組換え食品については、既存の食品と同程度の安全性
が確保されていると考えています。
2. この安全性評価指針は、国際的な評価の考え方や国内
における研究を踏まえ、食品衛生調査会において、専門的に
ご審議いただいた上で策定されたものです。
3. 遺伝子組換え食品の安全性の評価の考え方は、国際的
には、世界保健機関(WHO)(「バイオテクノロジー応用食
品の安全性評価のための戦略」)や経済協力開発機構(
OECD)(「バイオテクノロジー応用食品の安全性評価:概念
と原則」)において取りまとめられており、また、国内にお
いても、昭和63年から安全性評価の考え方について、厚生
省の研究班において研究が行われています。
4. なお、厚生省は、今後とも、遺伝子組換え食品に係る
科学的な新たな知見等必要な情報の収集に努め、遺伝子組換
え食品の安全性評価の確認に際しては万全を期すこととして
います。
問8 指針への適合性の確認を受けずに遺伝子組換え食品を
国内で販売することはできるのですか。
(答)
1. 安全性評価指針は、あくまでも遺伝子組換え食品を製
造する業者等が任意に従う指針(ガイドライン)で、法的な
強制力はなく、指針への適合性の確認の申請を行うかどうか
は任意です。
2. しかしながら、遺伝子組換え技術が高度な先端技術で
あり、加えて食品分野への応用経験が少ないことから、厚生
省としても、安全性評価の確認が行われずに輸入等されるこ
とのないよう、営業者等に対して、本指針に基づく確認申請
を強く求めていくこととしています。
問9 安全性評価が適切になされていないと判断した場合に
は、厚生省はどのような措置を取るのですか。
(答)
1. 安全性評価が適切になされていないと判断する場合に
は、次のような二つの場合が考えられます。
2. ひとつは、食品衛生調査会において、資料等の不足に
より、安全性評価指針に沿って評価が適切に行われているこ
との確認ができなかったという場合ですが、この場合には、
指針のどの部分について確認ができなかったかを申請者に連
絡し、さらに必要な資料等を収集するように求めることとな
り、申請者より資料等の追加提出があり次第、再度、食品衛
生調査会において審議を続けることとなります。
3. 二つ目は、食品衛生調査会において、ヒトへの健康影
響が確認された、または疑われたような場合が考えられます。
このような場合には、必要に応じて、食品衛生法に基づき、
販売停止等適切な措置がなされることとなります。
問10 遺伝子組換え食品については、市場流通の段階で表
示を義務付けるべきではないのですか。
(答)
1. 食品の表示方法には、自主的表示、食品衛生法に基づ
く表示、JAS法に基づく表示等様々なものがありますが、
このうち厚生省が行っているものは、食品衛生法に基づく表
示に限られています。
2. 食品衛生法において、厚生大臣は、公衆衛生の見地か
ら、販売の用に供する食品等に関する表示について、必要な
基準を定めることができるとされています。
3. これまで、食品衛生法に基づき、期限表示、保存方法
などの表示を製造者等に対し義務付けてきましたが、これら
は、いずれの場合も、表示をしなければ食中毒などその食品
による危害等が発生するおそれがある等から、表示を義務付
け、他の食品と区別してきたものです。
4. 一方、遺伝子組換え食品については、遺伝子が組み換
わるという点においては、従来行われてきた品種改良などの
伝統的な方法を用いて改良された既存の食品と差はないこと、
さらに、指針に基づきその安全性評価を確認したものである
ことから、安全性の観点からは、他の食品と区別して表示を
義務付ける必要はないと考えています。
5. なお、これは、企業が自主的に表示をしたり、消費者
の選択の自由の観点といった公衆衛生以外の見地からの表示
の指導等を妨げるものではありません。
問11 厚生省が確認した22品種の遺伝子組換え食品につい
ては、外国において健康被害の問題は生じていないのですか。
(答)
1. 厚生省が確認した遺伝子組換え食品については、問1
の表に示すように、すべて既に諸外国において認可等が行わ
れたものです。また、既に諸外国で食されてますが、これま
で健康被害等の何らかの問題が生じたとの報告はありません。
2. 厚生省としては、遺伝子組換え食品の安全性に関する
情報を広く収集するとともに、必要に応じて、食品衛生法に
基づき適切な措置を取ることとしています。
問12 遺伝子組換え食品がアレルギーを引き起こすかどう
かについては、どのような確認をしたのですか。
(答)
1. アレルギーを引き起こすかどうかについては、安全性
評価指針に基づき、遺伝子産物のアレルギ─誘発性に関する
資料が提出されています。
2. 提出された資料では、遺伝子産物がアレルゲンとして
知られているか、また、既に知られている食物アレルゲンと
構造相同性があるかどうかについて、データベース検索によ
り確認しています。また、胃腸液又は加熱などで、遺伝子産
物であるたんぱく質が分解することを確認しています。
3. これらの資料について、食品衛生調査会で個別に十分
検討された結果、提出された資料が適切なものであると判断
されたものです。
問13 アレルギー以外の毒性影響があるかどうかについて
は、どのような確認をしたのですか。
(答)
1. 安全性評価指針に基づき毒性影響に関する資料が提出
されており、提出された資料によって、遺伝子産物であるた
んぱく質が胃腸液や加熱により分解・変性することなどによ
り、毒性影響がないことが確認されています。
2. また、1.に述べた資料等から、これまでに安全性が
確認された遺伝子組換え食品については安全性を確認するに
あたって急性毒性試験を行う必要はないと判断されています
が、これまでに確認された22品種のうち、21品種につい
ては、その遺伝子産物等について、申請者により自主的に急
性毒性試験が行われています。なお、残る1品種(ワタ)に
ついてはこの試験は行われていませんが、これはワタの食品
としての使用は綿実油に限られ、かつその綿実油中には遺伝
子産物であるたんぱく質は含まれていない(検出限界以下)
こと等も勘案したものです。
3. このように、アレルギー以外の毒性影響についても、
食品衛生調査会で個別に十分検討された結果、提出された資
料が適切なものであると判断されたものですので、問題はな
いと考えています。
問14 害虫抵抗性の遺伝子組換え食品には、害虫を殺す蛋
白質が入っていると聞きましたが、人が食べても問題はない
のですか。
(答)
1. 導入された遺伝子により発現する蛋白質は、特定の昆
虫(コロラドハムシ、アワノメイガ等の鱗翅目昆虫)に摂取
された場合のみ、その昆虫の消化管に存在する中腸管上皮の
破壊を起こし、餌の摂食が阻害されることで死に至らしめる
というものです。
2. ばれいしょ、とうもろこしに導入されている遺伝子に
より生産された蛋白質(B.t.t.蛋白質、B.t.k.蛋白質)は、特
定の昆虫にのみ効果を示すもので、他の昆虫を含めた動物や
ヒトには影響がないと報告されています。
3. また、この蛋白質は加熱により分解されるほか、胃液
により分解されることから、安全性には問題はないものと考
えられます。
問15 抗生物質耐性マーカーが入っている作物があると聞
いたのですが、大丈夫なのですか。
(答)
1. 遺伝子組換え作物を作成する際、目的の遺伝子が組み
込まれたかどうかを判断するために、抗生物質耐性マーカー
遺伝子を組み込む場合があります。
2. 抗生物質耐性マーカー遺伝子についても、安全性評価
指針に基づき、遺伝子及び遺伝子産物の特性、摂取に関して
問題なしとする資料等をもとに審査されています。
3. また、抗生物質耐性マーカー遺伝子が腸内細菌の抗生物質耐性を広める可能性については、植物から微生物へ(機
能)遺伝子が移行するという知見は得られていないこと、通
常、このようなマーカー遺伝子により産生されたたんぱく質
は消化管において短時間で分解されること等から、腸内細菌
に影響を与えるとは考えられていません。