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はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいております。
例のノストラダムスによる「1999年7の月」の予言についてですが、ちょっと気になることがありますの
で投稿いたします。
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Quatrain 10,72
(原文)
L'an mil neuf cens nonante neuf sept mois,
Du ciel viendra vn grand Roy d'effrayeur:
Resusciter le grand Roy d'Angolmois,
Auant apres Mars regner par bon-heur.
(英訳)
The year 1999, the seventh month,
From the sky will come a great king of terror
Resurrecting the great King of the Angolmois
Before and after Mars to reign happily.
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金正日の異常な映画好きということを考慮すると、彼がノストラダムスや聖書の終末予言について情報を
もっている、それもかなり詳しく知っているのではないか、という推測はあながち間違ったものとは言えな
いかと思います。
さて、1999年7月8日の韓国連合通信ニュースに、次のような記事が掲載されました。
(http://www.yonhapnews.co.kr/news/19990707/2201000000199907070935310.html)
拙訳にてご紹介しますと、
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北朝鮮式ミサイル命名法:
北朝鮮の「テポドン(Daipodong)」ミサイル、「ノドン」ミサイルなど、北朝鮮製ミサイルの名前は外部の
北朝鮮観測者たちが、試験発射場所を調査する作業においてつけられたものだ。咸境北道花代郡の過去の地
名「大浦洞"」とその近隣の「廬洞」で発射になったゆえに便宜上テポドンミサイル、ノドンミサイルと呼
ぶようになったのである。
北朝鮮自身がこれらのミサイルをどのような名前で呼んでいるかについては不明だが、さる1月第三国経由
で入国した北朝鮮脱出住民、金Kil Sun (44)氏は「Hwa Song(ファソン)」系列1、2、3号などと名付
けている、と語った。
北朝鮮では国防分野出版物を編集する第二自然科学出版社の記者であった金氏は7日、韓国連合通信ニュー
スとインタビューで「北朝鮮でミサイル開発を担当している国防科学院内部では、昨年8月に発射したミサ
イルをファソン6号、93年5月に発射したミサイルはファソン5号と呼んでいる」と伝えた。ファソン6号は
「テポドン1号」ミサイル、ファソン5号とは「労働1号」ミサイルを示す。
金氏は北朝鮮がなぜ「ファソン」という名前を付けているのかはよく知らないとしながら「恐らく火星
(Hwa Song)を意味するのではないだろうか」と付け加えた。英語では火星(Mars)がローマ神話の軍神を意
味するために、北朝鮮の「火星」シリーズ命名法が全く意味をなさないものではない、ということができる
だろう。
金氏の説明によれば、北朝鮮はさる80年代初めからミサイルを開発するのに力を注いできた。ファソン1号
から4号まではソ連製スカットミサイルの摸倣設計の段階に終わり、ファソン5号、すなわちノドン1号ミサ
イルが北朝鮮自らの技術で作り出した初めてミサイルだった。
彼はファソン5号が試験発射される4年前の1989年10月頃、すでにこのミサイルは開発が完了していた
が、当時金日成主席が「試験発射が行われる場合、日本を刺激する可能性もあり、試験発射の100%の成功
を確信できない」という報告を受け、試験発射延期の指示を与えたという一括も紹介した。
金氏はまた、金主席は実際戦争がおきれば「ミサイルよりは従来の武器、すなわち砲弾の方がはるかに役に
立つ、という見解を持っていた」としながら「北朝鮮のミサイルは戦争兵器というよりは政治外交の戦略兵
器」と思える、と話した。
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この記事を読み、即座に想起されたのが例の詩です。つまりAuant apres Mars regner par bon-heur
(その前後の期間、火星は幸福に統治する)という行の「火星」に相当する部分が、このミサイル「Hwa
Song」シリーズであり、また長期にわたる実験と試射の期間を「前後の統治」というふうに想像してし
まったのです。
また、通説としていわれている"le grand Roy d'Angolmois (アンゴルモアの大王) "の「アンゴルモア」
がいわゆる「綴り変え」、アナグラムであり、実際にはこれは「モンゴル」を指している、ということが、
その想像に一層の拍車をかけてしまいます。つまり、アンゴルモアの大王とは金正日本人ではないか、とい
う想像です。
また2行目"great king of terror" が、1999年時点での最も強烈な「恐怖」の象徴としての「核ミサイ
ル」を示しているとしたら、話がどんどんトンデモな方向へ行きそうです。
つまり、
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1999年7の月
空から非常に恐ろしい核ミサイルが降ってくる
金正日をモンゴルの大王として復活させるために
その前後の期間、火星ミサイルは嬉しそうに統治する
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などという荒唐無稽な解釈もできてしまうかなあ、と思っております。
私はこれが「予言の正体」だとは思っておりません。しかしながら、金正日がこの有名な「7の月」予言
や、聖書の終末予言を熟知しており、外交政策における暗示的戦略というか、一種の情報戦略というか、そ
ういうものに使用したとしても、不思議ではないと思っております。
たとえば金正日はおそらくふるいSF映画「猿の惑星」シリーズを観ているでしょう。その中で猿たちに崇
拝されていた核ミサイルというものを「恐怖をあたえる王」の象徴として観ていたかもしれませんし、その
象徴はこの予言詩の"great king of terr
or"とリンクしていたかもしれません。
またアジア・ヨーロッパを征服したかつてのチンギス・ハーンのような「モンゴルの大王」の現代版を、自
らに重ねているというのは無理のある想像でしょうか。
彼が「アンゴルモア=モンゴル」であるということを知るのはたやすいことです。北朝鮮政府は韓国の出版
物を常に収集しチェックしているでしょうし、韓国にもノストラダムス関係書籍はかなりあります。当然、
西側諸国での「世紀末的不安」についてもよく知っており、あわよくばそれを上手く利用しようと考えても
不思議ではないと思うのです。
もしそうならば、北朝鮮のミサイルにわざわざ「火星」と名付けられたのにも意味があるでしょうし、また
一年前、金正日が例のふざけた「最高人民会議員選挙」時に立候補した際、わざわざパフォーマンスのため
に立候補した金正日の選挙区の数字が666であった、ということにも関連するかもしれません。
私が恐いな、と思うのは、金正日がもし自らをノストラダムスの7月予言の中に出てくる「アンゴルモアの
大王」と重ねて、さらには黙示録の獣の数字と関連を持たせているとしたら、その意図とはいったい何だろ
う、ということです。つまり、北朝鮮人民が強制的に言わされている「民族の最高の領袖」だとか「人民の
輝ける太陽」などという形容にあるような、建設的で明るい指導者のイメージというよりも、むしろ破壊と
恐怖で統治する世紀末の獣、という姿を、自らに重ねているのかなぁ、ということです。要するに(もちろ
ん望むべくもないことでしょうけれども)まともな政策も経済の復興も、実はあまり考えておらず、それよ
りもひらきなおりというか、人類史上のあだ花のような北朝鮮という独裁国家を、どう散らしていこうか考
えているような気がするのです。
そうであるならば、北朝鮮が経済的に復興することなど万に一つもないでしょうし、北朝鮮の諸悪の根元を
いち早く断たないことには、貧困と絶望の悪循環から決して抜け出せないのでしょう。