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◎☆中国の原発で原子炉破損 昨年7月発見、大修理
【北京4日共同】中国が自力で設計・建設した初の原子力発電所、
秦山原発(浙江省海塩県)1号機(出力30万キロワツト、加圧水
型軽水炉)の原子炉の一部が構造的欠陥のため破損して1次冷却水
中の放射性物質濃度が上昇、昨年7月から1年間稼働を停止して外
国メーカーによる大規模な修理を行っていたことが中国の原発関係
筋の証言でこのほど明らかになった。
故障は原子炉の設計の不備が原因で、重大な事故につながる恐れ
もあったとされ、日本の原発関係者は「1995年12月に起きた
日本の高速増殖炉原型炉もんじゅの事故以上のトラブル」と指摘し
ている。
中国の誇る国産原子炉第1号で故障が起きた事実は国民に一切知
らされておらず、情報公開度の低さは中国の原発事故への内外の懸
念をこれまで以上に強めそうだ。
秦山原発事務所と原発の安全管理を担当する中国国家核安全局は
それぞれ共同通信の電話取材に「故障発生」を認めたが、原因や修
理方法など詳細については口を閉ざしている。秦山原発事務所は
「修理は終わったので8月には稼働を再開したい」としている。
関係筋によると、故障は中性子束センサーを挿入するため原子炉
下部に取り付けられた案内管の強度不足が原因。炉内は加圧して沸
騰を抑えた300度以上の水が流れるため、原発先進国では案内管
などの取り付け部品を完全溶接するが、秦山1号機は強度の低いボ
ルト留めを行っていた。
このため30本の案内管のうち24本の取り付け用ボルトやナッ
トが外れるなどして損傷。脱落したボルトなどの金属片がぶつかっ
て121体の核燃料集合体のうち9体が破損したため、1次冷却水
の中の放射性物質濃度が上昇した。炉外への放射能漏れはなかった
とされるが、放置すれば炉内の損傷がさらに進む危険な状態だった。
故障は昨年7月の定期検査で見つかったが、修理には作業用精密
ロボットなど高度技術が必要なため、米原発メーカー、ウェスチン
グハウス社に修理を依頼。炉内の構造物を圧力容器からすべて取り
出し、設計を変更して大修理を行った。 (了)
[共同 7月 5日] ( 1999-07-05-07:00 )