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◎中東訪問希望と異例の文書 法王、実現に依然障害も
【ローマ30日共同】ローマ法王ヨハネ・パウロ2世は30日、
イラク、エジプト、パレスチナ、イスラエル、シリア、ギリシャを
今年末から2001年初めまでのキリスト生誕2000年祭の機会
に訪問したいとの希望を表明する文書を公表した。
かねてから中東のキリスト教聖地訪問を切望してきた法王は29
日、サンピエトロ広場での講話で実現の意欲を表明しており、続く
異例の文書公表は、具体化に向けて動き出したことを示すとも受け
取れる。しかし、法王庁はこれまで、中東の政治情勢を理由に慎重
な姿勢を示してきており、外交筋は、依然として実現には政治的障
害が残っていると指摘した。
法王の聖地訪問は1964年のパウロ6世が最後で、近代ではイ
ラク、ギリシャ、シリアを訪問した法王はいない。
法王は文書の中で、訪問希望地として、ユダヤ人の祖とされるア
ブラハムの生地ウル(現イラク領)、モーゼが十戒を受けたシナイ
山(エジプト)、キリストの生地ベツレヘム(パレスチナ)、同ゆ
かりのナザレ、エルサレム(イスラエル)のほか、使徒聖パウロゆ
かりのダマスカス(シリア)とアテネ(ギリシャ)を列挙、一部だ
けでも実現したい意向を明らかにした。
法王は「訪問の目的は宗教的巡礼以外のものではない」と述べ、
政治的な意味づけを拒否する考えを強調した。
イスラエル当局者は先に、法王が来年3月に同国を訪問すること
を明らかにし、年内にもイラク訪問実現との情報も伝えられるが、
いずれも法王庁は確認していない。
(了)
[共同 6月30日] ( 1999-06-30-22:07 )