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<ユダヤ教会堂>米カリフォリニアで連続3件の放火事件
毎日新聞 6/29 19:08
米カリフォルニア州サクラメント市で18日未明、連続3件のユダヤ教会堂(シナゴ
ーグ)放火事件が発生した。米国では黒人教会の放火事件が相次いでおり、今回はユダ
ヤ人に対するヘイト・クライム(憎悪犯罪)との見方が強い。一方で現場から北大西洋
条約機構(NATO)軍によるユーゴ空爆に反発する声明文が発見され、事件は意外な
展開を見せている。 【ロサンゼルス・吉田弘之】
連続放火が始まったのは18日午前3時24分。サクラメント中心部の州庁舎近くに
あるブナイ・イスラエル教会堂から火が出た。その約20分後、今度は郊外にある二つ
の教会堂が数分おきに放火された。犯行時間の経過などから複数犯による放火との見方
が強い。
最大の被害を受けたブナイ・イスラエルは、約150年の歴史を持つ米西海岸最古の
教会堂。付属図書館にあった米国ユダヤ人の記録ビデオや数百年前の古文書など500
0点の書籍はすべて焼失した。建物の損害は総額約100万ドルに上るとみられる。ユ
ダヤ人社会に与えた衝撃は計り知れない。
全米反中傷連盟(*)によると、ユダヤ教会堂の放火事件は過去5年間に計39件発生して
おり、米国の一部で今なお反ユダヤ人感情が続いている現実を見せつけた。
他方、3件のうち2件の現場から犯行を匂わせる声明文が発見された。捜査当局は詳
細を明らかにしていないが、地元メディアは声明文の内容を次のように伝えた。
「米国とNATOによるユーゴ攻撃は、究極の偽善だ。コソボのアルバニア人難民問
題は、国際ユダヤ人メディアによるでっち上げだ。我々はセルビアの解放のために闘い
抜く」。
この声明文が犯人の手によるものかどうかは不明だ。しかし空爆開始後の今年4月、
サクラメントのセルビア正教会に「テロリストに米軍事施設を攻撃することを促すよう
」求めるセルビア語の手紙がファクスされ、米連邦捜査局(FBI)が極秘に捜査を開
始していた事実が発覚した。
サクラメントのセルビア正教会は「セルビア人とユダヤ人は歴史的に良好な関係にあ
り、今回の事件にセルビア関係者が関与しているとは思えない」とコメント。一方で空
爆強硬派だったオルブライト米国務長官がユダヤ系であることを指摘する声もあり、移
民社会・米国の複雑な一面をのぞかせている。
[毎日 6月29日] ( 1999-06-29 19:08 )
*倉田注 全米反中傷連盟=ADL。Anti-Defamation League ユダヤ名誉毀損防止同盟