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◆地震保険、関東大震災級にも対応
大蔵省は、地震災害が起きたときに支払われる地震保険について、一回の地震で支払われる総限度額を四月一日から四千億円引き上げ、四兆一千億円とすることを決めた。九五年の阪神大震災以降、地震保険の契約率が高まっているため、現在の限度額では、首都圏で大地震が発生した場合、保険金を全額受け取れない可能性が指摘されていたが、今回の拡大で、少なくとも既存の契約については、関東大震災級の地震が起きても保険金を全額受け取れるようになるという。保険金を支払う時の政府と損害保険会社の負担割合も見直し、比較的被害が小さい地震でも政府が保険金の一部を負担するようにする。三十一日の官報に公示する。
損保会社が販売している地震保険は、住居や家財を対象とする火災保険と組み合わせて、任意に加入することになっている。地震で建物や家財が壊れたり、地震による火災で建物や家財が焼失した場合などに保険金が支払われる。
ただ、大地震の場合、一度に巨額の保険金を支払う必要があり、民間の損保会社一社だけでは賄いきれない恐れがある。このため、損保会社が引き受けた地震保険を、損保会社が共同で設立した「日本地震再保険会社」に集めた上で、一定部分を再保険として政府に支払い、国と損保会社が責任を分担する再保険制度を導入している。
地震保険の世帯加入率は阪神大震災以降急増し、九四年の7%から九八年三月末には二倍の14%になっている。また、個別の保険金支払額の上限も、九六年に建物が一千万円から五千万円に、家財が五百万円から一千万円に引き上げられた結果、関東大震災級の地震が起きた場合、現在の総限度額では「保険金を支払い切れない可能性」(大蔵省)があった。
また、国と民間が支払いを分担する仕組みも見直し、保険金の支払総額が「千百四十億円以上」でないと国が負担しないことになっている現行の制度を、「七百五十億円以上」まで引き下げる。
大蔵省などによると、今回の二つの改正で、加入者急増後の手当てができ、万一大きな地震の被害にあっても保険金が満額受け取れるようになるという。ただ、今回の改正を理由に、地震保険料が下がることはないという。
(3月29日14:38)