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◇世界救世教が約5億円申告漏れ 名古屋国税局、追徴へ◇ 朝日新聞 6/10 03:04
国宝、重要文化財の美術品を所蔵するMOA美術館の上部団体で知られる宗教法人「
世界救世教」(本部・静岡県熱海市)が、名古屋国税局の税務調査を受け、1998年
までの3年間で約5億円の申告漏れを指摘されていたことが関係者の話でわかった。5
0億円の貸付金の利息分を未収入金などとして計上すべきなのにしていなかったという
。追徴課税は加算税を含め2億円前後に上るとみられている。
関係者の話によると、世界救世教は90年ごろ、同教団の関連会社2社を経て、設立
した貿易会社に事業資金として50億円を貸し付けた。その際、貿易会社は毎年、数%
分の利息を2社に支払い、2社も同じようにして教団側に利息を払うようにしていたと
いう。
貿易会社はブラジルで森林を伐採した後に農地を造り、自然農法で農産物などを栽培
する計画だった。しかし、環境問題も絡んで計画が進まず、途中から教団側などに利息
を支払うことができなくなったという。
これを受けて関連2社は「本来は、当然受け取るべき利息」として未収入金に計上し
、課税を受けていたが、教団側は「貿易会社に収益がない」として申告していなかった
という。
このため、国税当局は「関連2社も未収入金と計上しており、当然、計上すべきだ」
と指摘し、3年間で数億円の申告漏れがあったとして是正を求めた模様だ。
また、世界救世教は、関連の自然食品会社に高額な金を貸し付けていたが、その利息
を非課税で処理していたという。国税当局は「課税逃れではないか」として、教団側に
利息分を計上させて課税したという。
ほかにも、給与とみなされる部分などで申告漏れもあったとされ、新たに課税したと
みられる。
宗教法人の場合、お布施などは公益事業による所得で非課税扱いだが、今回のような
関連会社に貸し付ける収益事業は、法人税の課税対象となる。
世界救世教は、教団運営などを巡って内紛があり、3派に分かれていたが一昨年に和
解。教団の下にそれぞれが宗教法人を設立して教団運営する方針でいる。
税務調査について三派の1つである「護持派」の広報担当者は「国税局から一部、改
善するように指導を受けたが課税はない」といい、「新生派」の広報担当者は「担当者
のミスだが、是正を求められた額は少なかった」と話している。
一方、「再建派」の広報担当者は「派の方針で取材に応じられない」という。
[朝日 6月10日] ( 1999-06-10 03:04 )
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