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東京新聞3月27日1面トップ「自衛艦、事前に能登沖進出」スクープ記事。
不審電波で繰り上げ出港 自衛艦,事前に能登沖進出
防衛庁は『偶然訓練』説明と食い違い
自衛隊として初めて海上警備行動を発動され、不審船を追尾した海上自
衛隊の護衛艦「みょうこう」と「はるな」は、不審船捜索を理由に当初
予定していた訓練日程を一日繰り上げ、二十二日に京都・舞鶴基地を出
港していたことが二十六日、防衛庁筋の話で明らかになった。これまで
防衛庁は「たまたま付近で訓練中だった」と説明していた。海上警備行
動発動の呼び水になった一連の追跡劇は、偶然ではなく、計算された行
動だったことになる。【関連記事27面に】
同筋によると、第三護衛隊群所属の「みょうこう」「はるな」は二十三
日に舞鶴基地を出港し、日本海で水上戦訓練などを行い、二十五目に帰
港する計画だった。ところが、二十一日深夜、防衛庁・統合幕僚会議情
報本部の通信所が能登半島付近の洋上から出ている不審な電波を傍受、
領海に不審船が入り込んだ可能姓が濃厚になった。二隻は予定を一日繰
り上げ、急きょ二十二日午後三時こ舞鶴地方総監部所属の「あぶくま」
とともに出港、能登半島付近に進出した。
このため、翌二上三日午前、P3C哨戒機が不審船を発見した時点で海
上保安庁の巡視船より早く現場海域に到着、不審船追跡を開始すること
ができた。
最初、防衛庁は「P3C哨戒機による不審船発見が端緒」とし、「護衛
艦はたまたま訓練中で付近にいた」と説明していた。これは通信所の電
波傍受能力が近隣国に明らかになるのを避けたい思惑があったためとみ
られる。
しかし、結果的には不審船の追尾に失敗した海上保安庁の巡視船に代
わって、タイミングよく護衛艦が追跡する場面が演出されることにな
り、海上警備行動の発動につながった。海上警備行動の発動によって、
自衛隊が沿岸部や重要施設を警護する「領域警備」の導入論議が活熟化
するのは必至だが、海自がそこまで見越していたかどうかは不明だ。
「みょうこう」は二十六日午後三時、舞鶴基地に帰港した。「はるな」
は搭載ヘリコプターの発艦を待って、二十七日に入港する。また「あぶ
くま」は二十五日のうちに帰還している。