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夕刊フジ３月２７日付け３面
「北」の不審船 日本海上〃隠された空白時間〃
衆院安保委理事・西村真悟氏が分析・推理
不審船（北朝鮮に入港）の領海侵犯事件。初めて海上自衛隊の警備行が発令さ
れ注目されているが、公開されていない空白時間や疑問行動が多い。早春の日
本海で何があったのか？安全保障問題に詳しい、衆院安保委理事の西村真悟氏
（自由党）が分析・推理した。
「この事件には隠された事実が多々ありそうだ」西村氏がまず指摘するのは、
海上自衛隊（海自）から海上保安庁（海保）への不審船発見の通報時間。
国会提出の資料では、海自の哨戒機Ｐ３Ｃが佐渡島西方で不審船（第二大和丸
を名乗る）を発見したのは二十三日午前六時四十二分。領海内の不審船ゆえ警
察権を持つ海保所管のはずだか、海自から通報があったのは十一時。なんと四
時間以上の空白があるのだ。
これは二十五日の参院外交安保委でも問題視され、海自側は「本当に不審船な
のか確認していた」と釈明したが、船舶の登録情報などを持っているのは海保
であり、全く理由にならないのは確かだ。
次の疑問は不審船に対する海保の対応。資料では、巡視船など十五隻と航空機
十二機が現場に到着したのは同日午後一時二十分前後。直後から停戦命令を発
するが、なんと声の主は空を飛ぶ航空機。巡視艇「はまゆき」が停船命令を発
したのは現場到着から四時間以上過ぎた同五時四十九分、それも不審船から約
一キロ離れた地点からだった。
また、巡視艇「はまゆき」や「なおづき」が燃料不足となり、不審船二隻の追
尾を断念したのが午後九時九分から三十分。この後、川崎二郎運業相から野呂
田芳成防衛庁長官に、海上警備行動の要請があるまで、やはり三時間近くもか
かっている。
こうした空白時間や疑問行動について西村氏は「かなり緊迫した状況だったの
では」と推測したうえで、こう話す。
「空白時間について関係者に問い質したがはっきりしない。ただ、あれが北朝
鮮の工作船だとすると韓国領海への侵入事件のように戦闘状態こ入る可能性が
あった。きっと、関係者たちは冷や汗をかきながら対応したはず。航空機での
停船命令も、船を横付けする危険を避けたかったためでは。相手は当然武装し
ており、その戦闘訓練も並みではない。現実に、海保の乗組員は怖い思いをし
たかもしれない」
一部識者からは「なぜ、不審船を停船できなかったのか？」といった批判も出
ているが、西村氏は「関係者は『よく逃げてくれた』と恩っているのでは？当
初、不審船は十ノット程度のスピードだったから戦闘覚悟で横付けすれぱでき
たが、死者が出る事態となれば小渕内閣が吹っ飛ぶ可能性もあった。日本とし
ては海自の海上警備行動という強い姿勢を示せて成功。ただ、次に同じ事態が
起こったら停船させなければ示しがつかない。早急に装備を改善して隊員の訓
練も進めるべきです」と話している。
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