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北朝鮮系5信組合併へ 存続組合は岡山が最有力
朝銀岡山、朝銀香川など西日本地区五県の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)系の五信用組合が合併し、朝銀広島など経営不振に陥っている別の五県の北朝鮮系五信組の事業を継承する構想が進められていることが十二日、明らかになった。事業譲渡される五信組の預金は全額保護され、存続信組は朝銀岡山が最有力視されている。
合併協議を行っているのは、朝銀の岡山(岡山市駅前町)、香川(高松市多賀町)、大分(大分市)、佐賀(佐賀市)、愛媛(松山市)の五信組。
関係者の話によると、計画では五信組合併で誕生する新信組が受け皿となり、経営難とされる広島(広島市南区)、山口(山口県下関市)、島根(島根県出雲市)、福岡(福岡市)、長崎(長崎市)の五県の北朝鮮系五信組を破たん処理した後、事業を譲り受ける。
北朝鮮系の信組は、全国を数ブロックに分けて再編構想を推進。平成九年には近畿地区で、朝銀京都など五信組が合併、経営破たんした朝銀大阪の事業を継承するケースがあった。しかし、今回のように事業譲渡がからみ、中国、四国、九州にまたがる広域合併は、信組業界では初のケース。
朝銀岡山 昭和三十七年設立。預金量四百九十六億円、貸出金四百二十二億円、役職員数は四十七人、三店舗。
朝銀香川 五十八年設立。預金量百十三億円、貸出金四十五億円。役職員数十三人、一店舗。
朝銀広島 三十六年設立。預金量四百五十四億円、貸出金三百九十六億円。役職員数七十七人、七店舗。
など朝銀5信組合併構想 在日系機関も再編加速
経営安定へ基盤強化狙う
十二日明らかになった朝銀岡山信用組合(岡山市駅前町)など西日本地区の朝銀系の五信組の合併構想は、日本版ビッグバン(金融制度改革)の進展で加速する業界再編の流れが、在日系金融機関でも本格化していることを裏付けた。
五信組は、在日朝鮮人の商工活動に必要な資金を賄うため、昭和二十七年の同和信用組合(現・朝銀東京信用組合)を皮切りに各地で設立され、現在、全国に三十三信組ある。
今回の合併構想は、西日本地区の北朝鮮系信組が大同合併し、併せて金融システム安定化に向けた不良債権処理などで経営難に陥っているといわれる広島、山口など五県の信組から事業譲渡を受け、経営基盤を強化するのが狙いだ。
在日系に限らず国内の信組合併はここ数年急増。今年三月末の全国の信用組合数は三百二十二(金融監督庁調べ)と、十年前(四百十八)に比べ百近くも減少した。
北朝鮮系の信組では既に、経営難に陥っていた朝銀大阪(大阪市)の事業を引き継ぐ形で、朝銀京都(京都市)など近畿に本店を置く五信組が平成九年に合併。韓国系信組でも広島商銀(広島市)が今年四月、経営が行き詰まった高知商銀(高知市)から事業譲渡の受け入れを決めるなど、民族系金融機関の再編が進んでいる。
戸惑った表情で業務 広島
合併五信組への事業譲渡が浮かび上がった朝銀広島信用組合(広島市南区)は、十二日午後二時から理事会を開催。同信組幹部は「従来からあった合併構想に関する事項を決議した。具体的な内容については、明日にでも公表したい」と述べた。
同信組の職員は「合併協議などが進んでいるのは知っていたが、こんなに早くなんらかの結論が出るとは思わなかった」と、戸惑った表情で業務に当たっていた。
井川満・広島県商工金融課経営指導室長は「まだ信組側から報告を受けていないので、何も言えない」としている。