逃亡者


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投稿者 三竦み状態の各国 −− NATOの中国大使館誤爆で 日時 1999 年 5 月 10 日 07:13:58:

三竦み状態の各国 −− NATOの中国大使館誤爆で

http://abcnews.go.com/sections/world/popoff/conflict_atlas_popoff_990429/index.html

このABCのサイトには、今回の戦乱の背景や軍事戦力の展開、両陣営の兵器実装などの情報が上手くまとめられており、また直接リンクからは外れてはいるものの、NATO側のダメージと一連の多発する誤爆の経過が書かれています。

この中にある資料でヨーロッパ各国の兵力提供状況図を見ることが出来ますが、これからわかることは、ヨーロッパ諸国は「いかに本気で危機感を抱いて戦闘に参加しているか」ということです。
たしかに米英の軍備が突出しているために彼らの意志がクローズアップされやすいわけですが、諸国は「リーダー」に強制されてその意志に従っているのではけっしてないのです。

ミロシェビッチという名のセルビア系極右民族主義者が、国内世論をコントロールしながら利用し、アルバニア系民族を殲滅しようとしている−−。その方法は表に出てこない陰湿な方法であり、闇から闇へ葬り込まれる手段を取っている。

この進行しつつある事変に対するヨーロッパ各国の危機感は、日本の戦中派庶民が特高警察に感じた恐怖とは較べものにならないものなのでしょう。また、攻撃対象の人々(アルバニア系住民)はもちろん想像を絶する恐怖感を抱いているでしょう。一方、歴史的な憎悪をぶつけることができるということから、セルビア軍の執行者たちはいかなる鬼畜的行動をも辞さない状況に至っているのかもしれません。

NATOの方法を全面的に支持するわけではありません。しかし、過去の歴史の経緯がどうであるからだとか、またその報復であるからとか、いかなる事情があるにしても、「今この時起こっている事態」に対して、建前である「内政不干渉」を構えることはできないほどとなっている、戦前ドイツの台頭を許してしまったヨーロッパ各国の深い慚愧と後悔の念は、いかばかりのものでしょう。

そのことは空爆に反対している国々も解っているけれども、軍事関係や武器供給関係、国内に同様の歴史的問題を抱えるなどの事情を背景に、反対せざるを得ない事態であることは想像できます。

中国国内では、中国大使館誤爆を受けて学生を中心とした反米騒乱が大きく広がり、空爆反対の意志を示してきた中国当局はその動きを支持しつつも、冷静に振る舞うよう異例のテレビ声明を行いました。「ミサイルの3つとも建物を直撃しているから誤爆ではなく、米国が最初から狙った暴挙だ」という説が、冷静さを失った国内ではすでに「明らかな事実」として固定化しつつあるのかもしれません。

しかし学生たちはコソボ地区における大量虐殺の事実を伝えられているのでしょうか?中国政府は持論に妨げとなる情報はほとんど公開していないように思えます。反米に集中した抗議行動も、中国政府がこれまでに米を中心とした作戦に対する批判的な論評を中心として展開してきたことが影響していることはあるでしょう。バックにできる世論の主張ということで支持をしつつも、天安門のことがあるため、政府は前記のような声明を出さざるを得ない状況です。
あのような騒乱がなにかを動かす力があることを学生たちが気が付き、その矛先が民主化問題に向いてしまう−−。眠れる獅子を起こしてしまうことを中国政府は強く恐れています。活動家たちはもちろんそのことは見極めようとしているでしょう。

そして、日本では、中国の学生たちが知らないかもしれない虐殺に関する情報をあまり取り上げていません。いや、大声で指摘することができないのです。不戦を謳う立場からの意思表示しかできないでいます。

大戦後初めて後方ではあるが戦力を提供することとなったドイツの立場は、非常に微妙なものでしょう。今回の作戦が、大戦で自ら犯した過ちと同義であり、その中心的意味合いは、ヨーロッパ各国があからさまに表明していないながらも、再び強く想い起こさせるものであることは、暗黙の事実であるからです。
大量のアルバニア系コソボ難民の受け入れを行っているドイツ自身も、いわゆる不退転の決意を改めて対外的に示す必要があったわけです。

米国も戦意を喪失させないために極力人間が傷ついていることを表に出さないようにしているような気がします。虐殺現場の明確な証左が得られないことにも苛立ちがあるのでしょう。「悪いのはミロシェビッチ」という言葉だけを繰り返して、自らの作戦失敗の弁明に必死です。
誤爆は作戦のミスでしょう。
「なぜ古い地図が作戦計画で使われ、中国大使館をユーゴの軍事関連施設であると誤認したのか」ということには、「陰謀」の要素はまだ残っていますが。


各国の状況から考えて、戦渦が拡大するとはあまり考えられません。
ただし、中東紛争が同時に勃発しなければ。

(踊らされている人々)
セルビア系ユーゴ国民、ロシアの一部大衆、中国学生等

(犠牲者)
コソボ等アルバニア系住民

(特需景気で利益を受けている組織)

(注視しつつ自らの今後の計画を練っている国)





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