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◎ロシア内閣全閣僚解任 エ政権が末期的混乱ぶり=差替
【モスクワ9日共同】エリツィン・ロシア大統領は9日、5月に
就任したばかりのステパシン首相と内閣全閣僚を突然解任し、腹心
である旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身のプチン安全保障会議
書記兼連邦保安局長官を第一副首相兼首相代行に任命、首相候補に
指命して承認を求めるため下院に提案した。
解任理由は発表されていないが、大統領と対立するルシコフ・モ
スクワ市長の中道勢力や共産党など左派勢力の動きを軸に年末の下
院選前の政局が進む中で、政権人事の断行で主導権回復を目指した
との見方が強い。大統領は下院選の12月19日実施を公示する大
統領令に署名した。
しかし解任された首相は昨年3月以降で4人目で在任期間2カ月
半余りのステパシン氏は歴代最短命となり、大統領任期が来年夏ま
でに迫った政権の末期的な混乱ぶりを見せつける結果となった。
プチン代行は共産党主導の下院で知名度が低く、下院での首相承
認の難航から政局が再び混迷に向かう可能性が出てきた。内閣の不
在が長期化すれば、昨年8月以降の経済危機の深刻化からようやく
立ち直りの兆しが見え始めた経済にも悪影響を及ぼそう。
インタファクス通信によると、エリツィン大統領はこの日、ステ
パシン氏とクレムリンで会談したが、解任理由は話さなかった。ロ
シア各紙の報道などによると、ステパシン氏はルシコフ市長の中道
政党「祖国」と「全ロシア」の選挙連合結成の動きに対して大統領
周辺から連合結成阻止などの密命を受けていたが、同氏が政治活動
に消極的な姿勢を示したため大統領側の不満が高まっていたという。
ステパシン氏は、共産党などの支持を受けエリツィン大統領と対
立したプリマコフ元首相を大統領が解任した際に忠臣の切り札とし
て首相候補に指命し、下院の首相承認を獲得。「ポスト・エリツィ
ン」の政権側大統領候補になるとの見方もあったが、クレムリン筋
によると、大統領側近らとの関係は決して良くなく、プチン氏はさ
らに大統領の信任が厚いという。 (了)
[共同 8月 9日] ( 1999-08-09-17:00 )