海外の認定団体が日本市場を狙っている


[ フォローアップ ] [ フォローアップを投稿 ] [ ★阿修羅♪ Ψ空耳の丘Ψ1999 ] [ FAQ ]

 
投稿者 ★阿修羅♪ 日時 1999 年 1 月 04 日 00:30:10:

(以前届いたメールより。)

最新オーガニック・NEWS 「正食」98年3月号より

農業ジャーナリスト 藤井淳生

−−海外の認定団体が日本市場を狙っている−−

農産物の実体はいかに?

 四年前、東京都の太田市場で流通していた青果物全体のうち、実に三割以上に何ら
かの差別化表示がなされていた。有機栽培、自然栽培、無農薬…。こうした特別な栽
培方法で作られた農産物がこれほどたくさんあるはずがない。市場関係者は当然その
事を知っていたにもかかわらずである。市場内で「有機栽培」などと書かたダンボー
ルが、普通に充られていたのだからひどいものである。農水省が制定した「有機農産
物及び特別栽培農産物に係る表示ガイドライン(以下ガイドライン)」は、こうした
状況を少しでも改善するために制定されたものだ。生産者や、栽培方法の確認責任者
の名前が表示されるるため、このガイドライン制定後はかなり不正流通を防止するこ
とかできたとされている。しかし、このガイドラインに対する批判的な意見も多い。


 その代表的なものは、
・・減農薬など基準か明確でない
・・罰則規定が設けられていない
・・確認責任者の設定が明確でない
などである。このため生産者、消費者双方から、確実性が期待できないとの厳しい評
価を受けている。「表示」という狭義のガイドラインであるからこそ、これらの点に
ついては徹底する必要があるのではないだろうか。不適当な名称や不正な表示を防止
できないのでは、表示ガイドラインの意味がない。

法的な規制のない我が国

 現在日本では、食品の消費期限や栄養成分の表示が義務づけられている。食肉では
原産国も表示しなければならない。これらはすべて、消費者の保護を目的に制定され
ているものだ。ところが、食品の名称、製造方法の表現に関しての規制は、農産物同
様ほとんどない。名称は、製造業者が好き勝手につけられるような状況だ。添加物の
表示義務はあるが、極微量の場合はその名称も表示されない。また、「○○剤」と表
現されているので、どんな物質なのか正体がわからない。こうした状況では、消費者
の安全も生産者の権利も、保障されているとはいえない。 一部の業者によって、不
当な表示が行われたために被害を豊けている生産者や食品加工業者も多いはずだ。そ
こに、最近のオーガニックブームが起こる要因がある。生産者、食品加工業者は自分
たちの正当性を主張するために、そして消費者は、より確かで安全な食品を選ぶため
に、オーガニック食品の認定を求めるようになったのである。頼りない農水省のガイ
ドラインや、時代遅れの食品内容表示よりも、違反者に重いぺナルティを課す任意の
団体の方が、消費者にも生産者にも歓迎されているのである。そしてまた、オーガニ
ックの運動は、表示や品質の保証という点だけにとどまらず、農業、環境の問題を
捉えた動きとして歓迎されているのである。

海外認定団体が進出してきた

 ガイドラインは、基準があいまいであること、罰則規定がないこと、そして従来の
食品表示は、製造方法や添加物に関して正確な情報を伝えないことなどの弱点を持っ
ている。しかもこれらの表示では、農産物は圃場で、加工食品の場合は製造工場で、
何が使われたか、または何が使われなかったかなどの情報が、部分的に提供されるだ
けである。まず原料がどのように作られたか、圃場での栽培方法が明確であること。
そしてその方法が、環境への負荷をできるだけ抑えたものであり、今後も永続的な農
業が可能であるのか。次に、原科がどのように加工されたか、製造方法が明確である
こと。不必要に合成薬品などで処理されず、食品として衛生的に作られたか。そして
輸送、保管の段階で化学薬品に汚染されることがないか。食品として手元に届くまで、
原料から消費まで明確な方法によって製造流通されたものであることが確認される。
そうした確実性と情報提供こそ、生産者も消費者も望んでいるものなのだ。海外の多
くのオーガニック認定団体は、この点を強烈にアピールしている。日本国内の法整備
の遅れ、認定団体の少なさ、有機農業運動団体の足並みの乱れ、消費者の認識不足、
いずれも海外から見れば「スキ」であ
る。現在(一九九七年末)、QAI(Quality Assurance International)FVO(Far
n Verified Organic)という、いずれも米国に本部を持つオーガニック認定団体が日
本に支部を設けている。日商岩井が、米国のOCIA(Organic Crop Improvement A
ssociation)と日本支部開設の準備を進めていた事実
もある。また、中国の緑色食品、オーストラリアのNASAA (National Associa
tion for Sustainable Aguricultue Australia)ニューージーランドのBio-Groなど
も、自分たちの認定した農産物や食品を、日本に売り込もうと活発に動いている。こ
うした海外の団体は、日本国内の農産物や加工食品を認定するだ
けでなく、自分たちの会員の認定品を積極的に売り込もうとしている。とくに加工用
大豆、油脂類、小麦製品、加工用野菜などの売り込みには、力が入っている。今後も
こうした団体は、日本国内で自らの基準の宣伝、システムの売り込み、認定品の紹介
など、活発に運動を展開していくことだろう。

海外の認定団体に疑問あり

 こうして積極的に活動する海外の認定団体だが、取材を進めていくといくつか疑問
点が浮上してくる。まず日本、アジアの農業の特徴を、正しく理解しているかどうか
疑わしい。何でもペーパー、論文の提出が必要となる欧米の社会にあって、水田はと
ても厄介なものであるようだ。何しろ、海外認定団体のほとんどは、連作(同じ作物
を同じ圃場で続けて栽培すること)を禁止している。ところが水田は、二○○○年以
上の永きに渡り、アジアの食文化を作ってきた連作作物である。欧米では常識となっ
ている連作障害が、こと米に関しては当てはまらない。そこで彼らは、連作障害が起
こらないという研究論文を要求してくる。そのような研究論文を探しても、日本では
入手することが難しい。何の障害もないのに研究をする学者もほとんどいないであろ
う。そして伝統的加工食品の製造方法である。海外の認定機関から派遣された外国人
検査官は、日本独特のみそ、しょう油、豆腐などに悩まされることが多いようだ。実
際こうした認定団体では、数少ない日本人検査官(海外の認定機関と契約しているの
は二名)をフル回転で派遣している。食品の製造工程に 、微生物をふんだんに使用す
ること、長期間熟成させることなどが難しく、衛生管理等のコツも掴みにくいようだ。
さらに、流通における商社卸売問屋などの存在も、海外の認
定機関にとって厄介なようだ。認定団体では、認定した農産物を、どの企業にどのく
らいの量販売したのか把握する。そのために物流確認書を発行するのだが、流通が複
雑なので事務手続が煩雑となり、滞りがちとなっているのが実状だ。
 このような問題のために、海外から進出してきた認定団体も、より日本的な基準、
システムへの変更を余儀なくされている。日本の圃場環境にあった基準と、製造加工、
流通のシステムにあった認定のプログラムを用意しているところも多いようだ。日本
では、有機農業の運動を展開してきた農家の団体や、宅配システムを使った専門流通
業者が基準作りを進めている。また、いくつかの民間非営利の認定団体も設立され、
認定活動を開始した。国内でも、海外の認定団体に負けない明確な基準とシステム、
そして何よりも、日本の農業、食品産業を支えることのできる理念が誕生することが
望まれるところだ。

添付資料
食品・農産物関連の基準についてのインターネットホームページ

National Organic Standards Boards
(米国のオーガニック国内統一基準)
http://www.ams.usda.gov/

Food and agriculture Organization of United Nations
(FAO国連食糧農業機関)
http://www.fao.org/

Codex Alimentarius Commission
(コーデックス・・合同食品規格計画)
http://www.fao.org/waicent/faoinfo/nutritio/codex/codex.htm


藤井淳生
一九六七年生まれ。東京都出身。農業ジャーナリスト。千葉大学園芸学部卒業後、同
大学院修士課程に進む。(株)JR東日本物流、(株)新企画出版社を経て、一九九
六年フリーライターとして活動を開始。主に農業・食品・環境・医療の分野にて執筆
活動を行う。一九九七年日本オーガ二ック&ナチュラルフ−ズ協会事務局に勤務。オ
−ガ二ック食品中の認定に携わり、「食品の安全性」について特に強い関心を寄せ活
動するかたわら、仕事を離れると中国、日本の歴史、心理学などにも幅広い興昧を持
ち、学んでいる。モッ卜ーは「宇宙に対して謙虚であれ」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
月刊「正食」 年間購読料6000円
正食協会(玄米正食・マクロビオティック団体) 大阪市大手通2−2−7
電話06−941−7506




フォローアップ:



  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。