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テポドン来月16日発射
北朝鮮・金総書記の誕生日、日米韓が厳戒
北朝鮮の長距離ミサイル・テポトンの発射実験Xデーについて、日米関係当局が「2月16日」を最大の警戒日としていることが9日、明らかになった。この日は金正日総書記の誕生日で、国威発揚と祝賀行事の一環として実験に踏み切るというのだ。核査察問題で北朝鮮に対し強行姿勢を貫く米国に対し、北朝鮮は「せん滅的な攻撃で応じる」と徹底抗戦の構えで、このままでは有事寸前になった1994年の悪夢が再来する!
「2月16日説」は、米国軍事筋と日本の治安当局の情報収集の結果、現段階で一番可能性がある−と危ぐされているもので、今年になって日米韓では情報を交換しながら厳戒を強めている。
テポドン発射実験については、昨年12月、ロシア軍事筋などの観測から「年末」との情報が浮上。日本政府を慌てさせ、「クリスマス前後、金正日総書記の実母の誕生日ごろではないか」という説も飛び交っていた。しかし、これは“不発”だった。
関係当局によると、年末年始を“無事”乗りきった現段階では、金総書記の誕生日の2月16日が有力Xデーになった。昨年9月に最高権力の座について以来、最初の誕生日。しかも、北の旧正月でもある。
ジュネーブでは近く、朝鮮半島の和平を模索する米朝高官協議が行なわれる。しかし、米国と北朝鮮は対決姿勢を崩しておらず、協議は今回も不調に終わる可能性が高い。こうした流れの中で北側はイライラを募らせ、2月16日かその前後、テポドン発射実験によって日米韓のサイドを威嚇する−というのが、今回浮上した恐怖のシナリオだ。
最終期限までに、地下施設の核疑惑解明やミサイル問題で進展がないと、米議会は北朝鮮支援の支出を認めそうにない。その場合、北朝鮮は核再開発に走る可能性が高く、米朝間の緊張は一挙に高まることは確実だ。
昨年12月19日付の北朝鮮の労働党機関紙・労働新聞は、機体に「ワシントン」「東京」「ソウル」と書かれた航空機を三基のミサイルが狙っている構図のポスターと共に、「ミサイルが敵どもの牙城(がじょう)を狙っている」とする紹介記事を掲載した。
この紹介記事は「千秋、万代にわたって血の決算をすべき憎むべき敵どもに対し、われわれは血の復しゅう心を込めたミサイルで狙いをつけている」と指摘。「機会を逃さず、米国と日本を地球上から消し去るであろう」としている。
北が米日韓を攻撃する手段として「ミサイル」という言葉を使ったのは初めて。大陸間弾道弾の存在を誇示するものとして注目される。
人民軍総参謀本部は昨年12月初めにも、「わが革命武力は米帝侵略軍の挑戦をいささかも容認しない。せん滅的な攻撃で応じる」とアピール。「わが軍の攻撃を避けられる場所は地球上にない」と、ミサイルが米本土が射程に入る段階に達しているとも読める威嚇をしている。
これに対し、米国は今後、北朝鮮に対しても決して妥協しないという姿勢を、ますます強固にしそうだ。
1994年には、北朝鮮の核拡散防止条約(NPT)脱退宣言で始まった核開発疑惑により、朝鮮半島は有事寸前の状況に陥った。テポドンが発射された場合、その再来も予想され、湾岸だけでなく東アジアでも武力衝突が起きるのでは−との危ぐが広がっている。