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HPにアップしようと思ってためておいて、そのままに
なっているものです。一応こちらに置いておきます。
6 04/18 23:41 <日米防衛指針>「周辺事態法」が国
会で論議を呼ぶのは必至?
日本周辺で武力紛争が起きた場合に、日本がどう対応
するかに踏み込んだ新しい日米防衛指針(ガイドライ
ン)。現在、「実効性確保のため」(防衛庁)の関連法
案などの検討作業が進む。一方、海上自衛隊は大型輸送
艦、航空自衛隊は早期警戒管制機を相次いで就役させ、
ひと足先に新指針の下での対処態勢を着々と整えつつあ
る。 【衞藤親】
★自衛隊の新たな顔
背に丸い円盤状のアンテナをつけた独特のスタイルの
大型ジェット機2機が3月25日午前、航空自衛隊浜松
基地(静岡県)に到着した。防衛庁が米国から購入した
早期警戒管制機E767(AWACS)。1機約570
億円で、今年度中にさらに2機導入される。
AWACSは空自に13機配備されている早期警戒機
E2Cの数倍もの地域の航空機、艦船情報を収集できる
うえ、地上の指揮所と同等の航空管制機能を持つ。新指
針に盛り込まれた「米軍への情報提供」でも、威力を発
揮しそう。空自は「導入は指針見直しの前に決まってい
た」と新指針との関連を否定するが、この新装備の就役
で、より充実した情報交換ができる。米軍は、沖縄・嘉
手納基地に1、2機のAWACSを配備しているが、日
本周辺地域での任務を自衛隊機に肩代わりさせることも
可能になった。
情報提供が米軍の戦闘行動と一体とみなされる恐れが
あるが、幹部自衛官の一人は「米軍との情報交換は普段
から行っており、周辺有事などの際に、知り得た情報を
米軍に伝えないのは敵対行為になる」
一方、海自には新型輸送艦「おおすみ」が3月11日
就役し、広島・呉基地に配属された。基準排水量890
0トンは、従来型輸送艦の4倍超。空母を思わせる広大
な上甲板の後部には大型ヘリコプター2機を駐機でき
る。内部の車両甲板には、陸自90式戦車(約50ト
ン)1両を運べるエアクッション型輸送艇が2隻格納さ
れ、接岸しなくても物資の積み降ろしができる。同戦車
10両を積めるほか、手術室、集中治療室も備えた。
垂直離発着できる戦闘攻撃機ハリアーの搭載機能がな
いとされる点を除けば、長崎・佐世保に配備されている
米海軍の強襲揚陸艦「ベローウッド」(満載時排水量4
万トン)の“小型版”といえるほど、外観も機能もそっ
くり。2番艦の建造予算375億円が今年度予算に盛り
込まれている。政府は在外邦人救出に艦船を派遣できる
よう自衛隊法を改正する方針で、海自幹部は「おおす
み」を「直ぐにも使える船」と評した。
★制服間協議
3月13日午後1時過ぎ、東京・六本木にある防衛庁
5号館5階の統合幕僚会議オペレーションルーム(作戦
室)。自衛隊と在日米軍司令部の幹部計17人がテーブ
ルについた。日米共同計画検討委員会の初会合。委員会
は新指針に盛り込まれた、防衛協力のため両国防衛首脳
や関係機関による「包括的メカニズム」の中で軍事分野
における日米協力を検討する。
非公開にされた会議は、わずか約30分で終了した。
「検討の進め方を確認した。儀式的なもの」と夏川和
也・統幕議長はいう。実務レベルでの検討作業は随時行
われているというが「軍事分野の計画検討は秘匿性が高
く、公表できない」(制服幹部)。
過去、日米間の「共同作戦計画研究」として(1)日
本が外敵の侵攻を受ける「単独有事」(2)「朝鮮半島
有事」(3)中東地域などで起きた武力紛争が日本に及
ぶ「波及型有事」などが検討された。このうち朝鮮半島
有事の研究は、自衛隊が朝鮮半島で部隊として活動でき
ないため、中途で打ち切られていた。委員会は、これを
受け継ぐ形で「相互協力計画」を優先的に検討する。
新指針では、平時の「包括的メカニズム」に対し、日
本やその周辺地域で武力紛争が起きた場合、日米両国の
活動に関する調整を行う機関として「調整メカニズム」
を「平素から構築する」とした。その中心となるのが
「共同調整所」。東京・市ヶ谷に建設が進む防衛庁の新
庁舎内に常設される見込みで、「調整メカニズム」が両
国政府で構成する「戦争対処機関」なら、「共同調整
所」は「作戦司令部」に当たる。
防衛庁は共同調整所について「日米双方の司令部間の
調整をするところで合同司令部ではない。日米は対等
で、自衛隊が米軍の指揮下に入るようなことはない」と
強調する。だが、米韓連合軍、北大西洋条約機構(NA
TO)軍とも、米軍司令官のリーダーシップの下にある
し、朝鮮戦争、湾岸戦争も米軍司令官が実質的な指揮を
執った。「1戦域1指揮官」が鉄則なのだ。ある陸自幹
部「建て前はともかく、“兄貴分”の言い付けを聞くの
は当然」と言った。
★関連法案
一方、政府は周辺事態の際に対米協力を行うための関
連法案、いわゆる「周辺事態法」を今国会期間中に法案
を提出する方針だ。
物資の輸送や補給、医療などの後方地域支援、空港や
港湾といった施設の使用は、他省庁や地方公共団体、民
間の協力が不可欠。いずれも市民生活や経済活動への影
響が予想される。「罰則」は設けない方針だが、どうや
って協力を取り付けるかは「悩ましいところ」(背広幹
部)。後方地域支援を行う地域についても、新指針は
「戦闘地域と一線を画した地域」と規定するが、平岡裕
治・航空幕僚長も「(線引きは)難しい」と語るほど、
制服の間にも疑問視する声が多い。
政府は、法案作成と平行して、96年4月に共同訓
練、国際平和維持活動(PKO)などを対象として日米
間で締結された「日米物品役務相互提供協定」(ACS
A)を、有事にも適用できるよう見直す方針だ。現行A
CSA締結時には「憲法の禁じる集団的自衛権の行使に
触れる恐れがある」という理由から、平時の共同訓練な
どに限定された。それから、わずか2年。防衛庁首脳は
「集団的自衛権の行使に触れない範囲で、できる協力を
検討している」と強調するが、米軍に対峙する勢力はど
う判断するだろうか。
いずれも大きなテーマで、国会で論議を呼ぶのは必至
だ。
× ×
対米協力の名のもとに、日本がズルズルと米軍の戦略
に組み込まれていくことへの懸念の声は少なくない。そ
れが杞憂だと言うためには、政府間、省庁間、制服間
の
議論を可能な限りオープンにして国民の声を吸い上げ、
きちんとした歯止めを設ける必要がある。
47 04/28 23:47 <防衛新指針>その時どうなる 実
質的判定は米、日本はあいまい
新たな日米防衛指針(ガイドライン)に伴う関連法案
が閣議決定され、国会に提出された。成立すれば日本周
辺で武力紛争が起き、米軍が対処する際、日本は官民で
後方支援することになる。実際に自衛隊はどんな関与を
し、どう関連法が発動されるのか。自衛隊の装備と動き
を想定しながら、問題点を探った。
機体上部に「円盤」を背負った2機の早期警戒管制機
(AWACS、エイワックス)E767が今年3月、空
自浜松基地に配備された。航空機と艦船の情報を解析
し、味方戦闘機を管制する「空中指揮所」だ。高高度を
飛行すれば、朝鮮半島や中国大陸の沿岸部も視野に入
り、収集した情報は随時米軍に提供される。他国の無線
交信状況をもチェックでき、コンピューターのオペレー
ターら計20人が乗り組む。今年度中にはさらに2機が
配備される予定だ。
日本周辺で“異変”が起きた場合、こうした最新鋭装
備での情報収集活動と並行する形で、日米間協議が始ま
る。関連法の発動の条件とされる「周辺事態」の認定に
は、日米双方で収集する情報が判断材料となる。もっと
も重要なものが米軍の偵察衛星の情報。だが、航空機な
どの航跡情報については、偵察衛星よりE767の方が
正確だとされる。
しかし「正確な情報」を基にした「周辺事態」の認定
の仕方そのものは、あいまいに映る。
防衛庁によると「何らかの事態」を受けて日米の局長
クラスによる防衛協力小委員会(SDC)などで情報を
交換する。首相が議長を務める安全保障会議で「日本の
平和と安全に重要な影響を与えているかどうか」を判断
し、閣議で基本計画を決める。国会には報告義務がある
だけだ。
周辺事態の認定について、橋本龍太郎首相は「日本が
主体的に判断する」と言う。しかし、制服幹部の一人は
「事態に対処するのは米軍。その米国が『対処』が必要
だと判断したら、それで決まり」とまで言い切る。
国会には事後報告だけという規定について、与党の一
角を占める社民党からも異論が出ている。政府だけです
べてを決めることになってしまうからだ。
また、具体的にどのような状態を、対処が必要な「周
辺事態」と認定するかも不明確だ。軍事評論家の前田哲
男・東京国際大学教授は「周辺とはどこをさすのか、事
態とは何か、最も重要な部分が定義されていない」と批
判する。
「周辺」について政府は「地理的概念ではない」とい
う統一見解を繰り返すが、柳井俊二外務次官が「極東と
同じ概念」と口を滑らせるなど、あいまいさがあること
は否定できない。
【衛藤親、人羅格】