金融機関の破綻処理と消費者保護


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投稿者 明星 日時 1999 年 3 月 14 日 11:49:27:

金融機関としてみるなら、山一の場合は恵まれていると思われる。
中小金融機関の場合そうはいかないだろう。
これからが心配である、すでに死に体ばかりであるし。

http://www.nichibenren.or.jp/sengen/iken/980319_2.htm め、寄託証券補償基金からの20億円の拠出で不足する分については、越後証券の大株主であ
る第4銀行と中証券が折半で負担することにされた。この事件で、証券会社の分別管理の実態がどの程度のものか
が表面化した。 また、三洋証券の場合には、株の売却代金や信用取引の委託保証金等の顧客の預り資産が約44
0億円あった。これらは、分別管理の対象とされておらず、寄託証券補償基金の補償対象外の資産である。三洋証
券は、会社更生の申し立てをしたわけであるから、これらの顧客債権は一般債権となり、そのうち190〜260
億円程度が支払を受けられなくなると予想された。そこで寄託証券補償基金は、1社当たり20億円の限度額を適
用せず、これらの顧客資産も全額保護するという特例の処理を実施することにしたのであった。しかし、基金の残
高は、当時310億円しかなく、このため大手証券4社が総額約200億円の追加出資をすることになったのであっ
た(もっとも、そのうち山一證券は、同じ11月に自らが破綻して、この拠出ができなくなった)。このような処
理は、特例としてなされたもので、寄託証券補償基金の補償制度そのものが拡充されたわけではない。また、証券
会社の破綻そのものについては、「関連ノンバンクの経営悪化という特殊事情によるもの」であることが強調され
た(蔵相記者会見)。 ところが、その同じ11月に、今度は山一證券に巨額の簿外債務が存在することが明るみ
に出て、自主廃業となった。山一證券の場合、顧客の預り資産は約24兆円程度と考えられ、寄託証券補償基金制
度が機能しないことは、あまりにも明白であった。そこでこの場合に顧客資産を完全に保護するため、日銀法25
条に基づく特別融資を発動する方針がとられたのであった。一時その額は1兆4千億円程度に達したとされるが、
その使途は顧客資産の返還に限られていないので、現段階ではどの程度が顧客資産の返還のために使われたのかそ
の具体的内容などは明らかではない。
 さらに、12月23日、丸荘証券が約80億円の債務超過で自己破産の申請を行い、破綻した。寄託証券補償基
金は、ここでも特例として1社当たり20億円の補償限度を適用しないことを決めた。基金からの支出は、約36
億円程度と見られている。
 イ 消費者の受け止め方とその後の対応
 多くの消費者は、日産生命の破綻に際して「当然、契約者は全面保護される」はずであるのに、現実には自己責
任の名のもとに犠牲を払わされたことを深刻に受け止めていた。また、証券会社の場合には、基本的には顧客資産
を預かっているに過ぎない。そこで、生命保険契約の場合と違って、解約・返還請求をするのに複雑な問題はない。

 このようなことから、多数の顧客が直ちに預かり資産の返還を求めた。「投資家の資産は全面保護される」との
処理の基本原則は、建前論として受け止められたといえる。
 このことは、例えば投資信託の解約処理のデータを見ても明らかである。言うまでもなく投資信託の場合、投資
信託委託会社・信託銀行・証券会社・投資家の4者によって成り立っているが、証券会社は販売と保護預かりに関
与しているに過ぎない。したがって、理論上は証券会社が破綻したとしても、解約を急ぐ必要はないとされていた。
しかし、現実には破綻が判明してからの初日の投資信託の解約は、1日だけで三洋証券の場合約400億円、山一
證券の場合には5500億円に達したのである。こういった現象は、ひとつには顧客が投資信託の仕組みなどにつ
いて説明を受けないまま買わされていたことを裏づけるものと言える。しかし、他方においては、証券会社が破綻
しても影響を受けないという建前論が、破綻処理の場合には実務に則したものではないことが明確になったとも言
える面がある。例えば、投資信託証券を解約せずに引き出そうとしても、そもそも小口の証券は印刷されておらず、
これができあがるまでに数か月を要するという問題がある。その間に相場が暴落するリスクを負わなければ、この
方法はとれないのである。
 このような問題を別にしても、現行の寄託証券補償基金が投資家保護制度として極めて不十分であることが明白
となった。中小の証券会社の破綻の場合においてすら、十分ではなかった。そのため、現実の破綻処理においては、
特例扱いを続けざるを得ない事態となったのである。しかし、それが特例であるかぎりにおいては、次がどうなる
のかは予測がつかない状態であった。証券会社の破綻の態様は、自主廃業、会社更生、破産とさまざまであった。
どの手法が取られた場合にも顧客資産が完全に保護されるスキームの確立が急務である。
(3) 銀行の破綻
 97年の預金取扱金融機関の破綻は、信用組合において断続的に生じてきていたが、10月には京都共栄銀行が、
11月には北海道拓殖銀行と徳陽シティ銀行が破綻するに至った。しかし、預金については、預金保険法により2
001年までは全額保護することとされ、保険・証券に比較して破綻処理と預金者保護スキームが充実している。
これを信頼するかぎり、預金者としては、慌てる必要はないはずであった。
 しかし、それにもかかわらず消費者の不安や不信感は強く、郵便貯金は12月だけで3兆3416億円も増加
(純増額)していることが郵便貯金速報によって明らかになった。前年同月比では2,3倍となる額である(この
純増額は、地方銀行準大手クラス一行の預金量に匹敵する)。また、郵便貯金の97年度の累計純増額で見ても、
前年度比約89%増の5兆7078億円増となっている。また、東京三菱銀行の個人預金は金融システム不安が高
まる中で預金量が急増、11月末の残高は前月末に比較して4500億円増の14兆9800億円に、12月末で
はさらに16兆2900億円に達し、さくら銀行を抜いて初めて首位に立ったことが報道された。これに加えて、
在日支店をもつ外国銀行の預金残高も11月末段階で10兆円を超え、10兆1752億円と、前年同月比50・
6%も増加した。
 これに対し、徳陽シティ銀行が破綻した11月26日には、株価が下落する金融機関が相次ぎ、一部の銀行の店
頭に解約を求める預金者が集まったことが報道された。他方、日銀発表の12月の資金需要実績によると、日銀券
発行残高は全年末比7・9%増の54兆6655億円、12月の平均残高の前年比伸び率は10・4%を記録した
ことについて、相次ぐ金融破綻を受けてタンス預金に走っていることが背景にあるとされている。また、銀行に対
して、貸し金庫の容量が小さ過ぎて現金の束が入らないというクレームが相次いでいるとの記事も新聞に掲載され
ている。
 以上の事実は、いずれも消費者が金融機関と破 綻処理に際しての預金者保護制度を完全には信頼していないこと
を示しているといえる。
 その理由としては、次のような点が考えられる。まず、日産生命の経験である。「当然、契約者は全面的に保護
される」と大蔵大臣が宣言したにもかかわらず、現実にはそうはならなかった。それどころか、「契約者にも一定
の自己責任があり、納得いただけると思う。」という、いわば業界の代表者の一言で片づけられてしまった。金融
機関が危機的な状態ではないかとの不安が生じた時、これらの言葉が浮かんできたはずである。また、北海道拓殖
銀行の場合には、「大手20行はつぶさない」という方針が政府の国際公約と見られていたのに、それが守られな
かったと受け止められたのであるから、なおさらである。そもそも銀行や銀行預金に比較して、生命保険の場合に
は情報の開示が不十分であり、かつ解約などの対処もしにくい。それにもかかわらず、不当にも「自己責任」をと
らされたのである。非常に低い金利のもとで、リスクだけ大きいというのは受け入れがたいことである。つぶれる
はずがないと考えた郵便局や、東京三菱銀行に預金がシフトしたのはこういう理由からであろうし、もともと金利
などはあってなきがごとしだと考えた人々は、銀行の預金よりも銀行の貸し金庫を選択したわけであろう。
 次に、預金保険機構の財源問題である。この問題は、預金保険法改正と金融機能の安定化のための緊急措置に関
する法律が成立した今日では、ほぼ解消されたと考えられるが、97年11月末段階の見込みでは預金保険機構の
一般勘定と一般金融機関特別勘定は合計で4000億円であり、信組特別勘定は6100億円の赤字であったから、
結局2100億円程度の赤字と考えられていた。また、日銀特融は北海道拓殖銀行についての分だけで2兆300
0億円に達すると考えられ、これに対して、預金保険法によって認められていた公的資金の導入は、当時は信組破
綻の場合に限られていた。こういう状態では、預金保険機構の破綻がないのか不安もあったと思われる。
 さらに、預金保険機構で保護される対象金融商品のわかりにくさも関係していると考えられる。この点に関して
は、法律上の問題と運用上の問題とがある。従来は次のように整理されていた。
  保護対象  普通預金・定期預金・通知預金・当座預金・貯蓄預金・定期積金・
        元本補てん契約のある金銭信託や貸付信託
  対象外   外貨預金・譲渡性預金・利付金融債・割引金融債・利付金融債で運
        用するもの・抵当証券・金投資口座など
しかし、97年12月5日の衆議院大蔵委員会で、山口銀行局長は「(2001年3月までの)5年間の特例期間
中は預金保険の対象である金融機関の金融商品は保護される。」と明言し、預金保険の対象である金融機関の扱う
すべての金融商品を保護する方針であることを明らかにした。96年6月の預金保険法改正で、特別資金援助が可
能となったことを根拠としているようであるが、少なくとも法改正時の議論でそのような解釈がとられていなかっ
たことは明らかである。このような重要な点を法改正なしで運用すると、かえって実務処理の透明性がなくなり、
その結果不透明さに関する不安が高まるといわざるを得ない。特に、ビッグバンが進むにつれて、銀行が扱う金融
商品は多様化するわけであるから、同様の性質の金融商品でありながら、販売などを担当した金融機関によって保
護スキームが異なるという事態となれば、明らかに整合性を欠くことになる。これでは、消費者の混乱は増すばか
りである。

http://www.boj.or.jp/seisaku/97/giji9716.htm
http://www.mof.go.jp/daijin/1e010.htm




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