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ドイツとチェコの「ズデーテン問題」が決着
読売新聞 3/10 01:18
【フランクフルト9日=貞広貴志】ドイツのシュレーダー首相とチェコのゼマン首相
は八日、ボンで首脳会談を行い、半世紀以上にわたり両国間の懸案となっていたズデー
テン地方の問題で、両国政府が個人レベルの補償請求に事実上、道を閉ざすことなどで
合意した。これで、「ドイツ最後の戦後処理」とも言われたズデーテン問題は最終決着
を見たことになり、チェコの北大西洋条約機構(NATO)加盟を十二日に控え、両国
は「友好国から同盟国へ」(シュレーダー首相)の一歩を踏み出した。
チェコスロバキア(当時)のズデーテン地方は、一九三八年のミュンヘン協定でナチ
ス・ドイツに併合され、ナチスは多数のチェコ人を追放した。これに対してチェコ側は
、ナチス・ドイツの敗戦後、大統領令を発令し、二百五十万人以上と言われるドイツ系
住民の資産を没収した上で、非人道的なやり方でこれらをドイツに追放した。
両国は九七年、共同和解宣言に署名、過去の過ちを認め合ったが、追放されたドイツ
人や、迫害されたユダヤ人に対する個人補償の問題は、国内の反発を考慮して先送りし
ていた。
会談でシュレーダー首相は、「補償請求は、もはや政府の外交政策と関係のない過去
のできごと」と述べ、現在も南ドイツで盛んな、同地方に住んでいたドイツ人による補
償請求を、政府として支持しない方針を明確にした。これに対して、チェコのゼマン首
相も、資産没収を正当化した大統領令がすでに失効したことを確認した。
[読売 3月10日] ( 1999-03-10 01:18 )