日銀が銀行の"総持ち株会社"になる日


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投稿者 reprint!Junk 日時 1999 年 2 月 25 日 20:10:23:

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日銀が銀行の"総持ち株会社"になる日

1999年02月24日(水)
萬晩報主宰 伴 武澄

 「日銀が銀行の"総持ち株会社"になる日」という過激なタイト
ルを考えついた。だれもがまさかと思うだろう。ピンとこない人
もいるかもしれない。

 約1カ月ほど前に「国債という日本の打ち出の小づち」のタイ
トルで、国債は誰が買っているのかと内容のコラムを連載した。
今回は2月12日に内定した大手15銀行への総額7兆4500
億円という巨額な公的資金の出し手の問題について考えたい。ち
ょっと難しいかもしれないが、日本という国の将来を考える上で
不可欠な部分なのでつき合ってほしい。

 ●空前絶後の620億ドルという資金調達
 結論から言えば、日銀からの借り入れで賄うことになりそうな
雲行きなのだ。「公的資金の注入」は自己資本増強が目的。具体
的には銀行が株券を発行して、国が買い入れることになる。たと
えば第一勧業銀行は9000億円の公的資金を申請しているが、
今日の株価730円で新株を発行すると株数は12億株強。現在
の株数は31億株だから、発行総株式数は43億株となり、国の
シェアが28%となる。

 すべての公的資金が優先株として投入されると東京三菱銀行以
外の大手銀行の"筆頭株主"が日銀となり、発行済み株式の過半数
が日銀となってしまう都銀も現れる。つまり実質的子会社であ
る。日銀は1999年3月から実質的に東京三菱を除くすべての
日本の大手銀行の「持ち株会社」となるのだ。

 厳密にいえば、銀行から直接的に株式を購入するのは「整理回
収銀行」。その整理回収銀行に資金を出すのが「預金保険機構」
(預保)。その預保が実際に資金調達することになっている。だ
から、預保が日銀から借り入れて、現実には整理回収銀行が大手
銀行の株主として登場することになるが、分かりやすくいえば、
上記の通り日銀が実質的な株主となるのだ。

 「金融機能早期安定化策」では、公的資金の資金調達方法は
「金融機関からの借り入れなど」と説明された。預保には債券発
行の権限も与えられているため、当初は債券発行で資金を集めよ
うとしたが、長期金利の高騰で断念。当面は0.5%という超低
金利の公定歩合で借り入れするのが得策と判断したもようであ
る。

 ただ、3月に調達して大手15銀行に注入される7兆4500
億円は米ドルで620億ドル。金額は1回の資金調達としては世
界的にも空前絶後である。

 これが金利市場に影響を与えないはずがない。日銀はすでに国
債保有に50兆円。預保貸し出しに7兆円。CP買い入れに8兆
円内外の資金を出している。CPは大手企業が発行した短期の"
社債"のようなもの。いずれにせよ通貨量の増大=日銀券増刷は
免れえず、どう弁解しようと将来のハイパーインフレにつながる
大きな爆弾をさらに抱え込むことになる。

 ●公的資金=日銀借り入れ
 さて公的資金という言葉である。なんとなく分かったようで、
具体的に説明しろと問い詰められれば言葉に窮してしまうはずで
ある。そもそも一昨年の1997年12月、「30兆円の公的資
金導入」(その後60兆円に)という表現で突然出てきた感があ
る概念である。

 「公的資金」は政府のお金である。ところが厳密に政府のお金
という意味合いでは「財政資金」しかない。財政資金は税金や国
債を発行して得た資金である。公的資金とわざわざ言うからには
この「財政資金」でないことは確かだ。何を隠そう政府にはもう
ひとつの打ち出の小づちがあったのである。すでに説明したよう
に最後の貸し手としての日本銀行だ。

 預保が債券を発行するという手もないわけでなはいが、その場
合でも誰がその債券を購入するかと言う問題に突き当たる。巨額
な資金源といえば、現時点では日銀か郵便貯金を牛耳る資金運用
部しかないのである。

 お金というのはそう簡単に貸してもらえるものではない。まず
信用力が問われ、返済能力も必要だ。でなければ担保を取られ
る。いうまでもないことだが、借り手に対して必ず貸し手が存在
する。

 しかし、過去の景気対策でも今回の公的資金問題でも議論はい
つでも借り手の事情ばかりに偏っていた。国会議員もマスコミも
誰が貸す側の事情にはあまり焦点を合わせてこなかった。まだ国
家に余裕があったからである。だがこれからはそうはいかない。
日本という国が必要としているお金の金額が昨年から桁違いに大
きくなった。銀行をつぶさないという政策の代償は限りなく大き
        い。

 次回は「預金保険機構」について解説したい。

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