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日本:人権擁護活動家の逮捕、拘禁
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アムネスティ発表国際ニュース
(1998年12月22日)
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日本:人権擁護活動家の逮捕、拘禁
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今月はじめ、国会は人権擁護を掲げる決議を採択してい
る。これを受け、アムネスティは本日、首相に対して、
日本でも最も卓越した人権擁護活動家の一人が、逮捕さ
れ拘禁されている事実について政府としても関心を持つ
よう、書簡を送った。
安田好弘弁護士は12月6日逮捕された。容疑は、彼が顧
問弁護士をつとめる不動産会社「スンーズコーポレーシ
ョン東京リミテッド」が所有していた物件の賃料に対す
る強制執行の妨害であるといわれる。逮捕後、彼はずっ
と警視庁の警察留置場に拘禁されている。
このような形で弁護士が逮捕、拘禁されるというのはき
わめてまれなことである。安田弁護士は、警察の取調べ
に対しても、これまで大変協力的であったし、彼が知っ
ていることをすべて明らかにするとも約束していたとい
う。その彼を逮捕、拘禁するというのは、恣意的である
ように思われる。
安田弁護士は日本の死刑廃止運動の中心人物の一人であ
る。彼はまた、1995年の3月に東京で起きた地下鉄サリ
ン事件に関連して起訴されているオウム真理教の麻原彰
光教祖の主任弁護人の一人でもある。
麻原教祖の事件の弁護に際して、その主任弁護人の一人
が逮捕、拘禁されているということは、活動に大きな影
響を及ぼす。アムネスティは政府に対し、麻原教祖の公
正な裁判を受ける権利を確保するためにどのような手段
を講じているのか、詳しく説明するよう求めた。
安田弁護士の逮捕後、日本のメディアは安田弁護士が人
権活動をおこなっていることや麻原教祖の弁護人である
ことなどを集中的に取り上げた。
これに対して日本の人権活動家たちは、彼の逮捕や拘禁
が、今回容疑をかけられている事件よりもむしろ、これ
まで彼がおこなってきている人権活動に関することに起
因していると主張している。
人権活動家の逮捕は、どこの国でも大きな問題となって
いる。アムネスティは、日本政府に対し、安田弁護士の
逮捕、拘禁の状況について適切な調査をおこなうよう求
めている。またアムネスティは、安田弁護士が、警察か
ら虐待を加えられる危険性についても憂慮している。
日本では警察は、起訴なしに被疑者を最高23日間身柄拘
束することができる。アムネスティはこれまでも、警察
が被疑者から自白を引き出そうとして虐待を加えたとさ
れる事件をいくつか紹介してきている。
今年十月、自由権規約委員会はこの「代用監獄」問題に
ついて憂慮を示した上で、被疑者に対する警察内部での
取調べを、電子機器等を用いて、常に厳しく監視、記録
するよう求めた。
アムネスティは政府当局に対し、安田弁護士をはじめ、
警察留置場に囚われている被疑者たちの権利を保障する
ための措置について、詳細を明らかにするよう求めるも
のである。
(訳:寺中 誠)