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(回答先: 予防接種の驚くべき歴史 投稿者 てんさい(い) 日時 2002 年 11 月 03 日 03:59:42)
予防接種の「成功」に対する批判と反論
病気の減少は予防接種の効果なのか
ここで、他の考慮しなければならない問題はさておいて、「予防接種と受動免疫法のおかげで、過
去一世紀以上にもわたって成功がおさめられてきた」という説に対する批判をよく検討してみること
が大切である。
まず、医学における偉大な金字塔の一つは天然痘の根絶であるといわれているが、この痛気は種痘
の集団接種が制度化される以前に減少状態にあったという事実は忘れられており、指示どおりに接種
を受けた人の中にかかった人が多いことも忘れられている。グレン∴アットマン博士は、「まだ人口
の一〇%しか種痘をしていないときに、我々はワクチンによって天然痘を制圧したというのは、感情
的で滑稽である」と述べている。たとえ種痘で救われたと見られている数千人の中の数十人の命が本
当にそのおかげであるとしても、反面、種痘が短期または長期にわたる損害をもたらしたと推定され
る証拠もある以上、我々はこのケースの賛否両論を注意深く比べてみる必要がある。しかし、種痘に
よってもたらされる防衛力が外見上いかに大きいとしても、実際にはたいした根拠をもたないならば、
種痘に反対することは相当に明確な意味があることになる。
次にジフテリアの予防接種については、バーナード・ディクソンが、その著書『魔法の弾丸の彼方
へ』の中で、次のように述べている。
「完四〇年頃から大がかりに導入されたジフテリア予防接種は、この病気の流行の点では、劇的な
効果を上げたように見える。たしかに、イギリスでの発病者数は、一九五五年までは、散発的な流行
しかなく、毎年五〜六〇〇〇人に低下していた。しかし、前世紀からの長いタイムスケールを取り、
判断基準を変えるならば、また違った様相を見ることになる。ジフテリアによる子どもの死亡数は、
一九六〇年に年間三〇〇人だったのが連続的に低下し、一九四〇年には年間三〇〇人になったが、
とくに抗毒素が最初に用いられた完00年頃には大きく低下している。最も急勾配の低下は、一八
六五年と六七五年の間に起こっており、なんとこれはジフテリア菌がどうにか分離される以前のこ
となのである」
これと同様な「常識はずれ」を、多くの専門家が、以下のように指摘している。ジフテリアや麻疹、
狸紅熟、百日咳といった幼児期の蒜的な感染症は、同じ期間に発生数においても、重症化の程度に
おいても、確実で不可避と思える減少を示していた。そして、それは予防接種、抗生物質いずれの導
入によっても、たいした影響はなかった。これは予防接種も抗生物質も効果がまったくなかったとい
うのではなく、病気の自然史を概観すると、ほんの小さな役割しか演じていないのだ。これらの感染
症で活躍する多くの微生物の毒性は、変化してしまった。たとえば、狸紅熱がものすごい勢いで国内
に入って来て、その患者を痛院に隔離した時代がかつてはあった。しかし、微生物が温和なタイプに
変異したことは、現在のわずかしか力を振るえない状態になってしまったことからも知られる。この
病気による一九世紀後半のイギリスでの死亡率は、人口一〇〇万人当たり、年間一五〇〇人台であっ
た。そして現在は、一〇〇万人当たり〇・五人以下である。このことはどのような型の予防接種もせ
ずに達成され、減少は今世紀の大半にわたって確実に劇的に起こったのである。それは抗生物質が導
入されるはるか以前のことでもある。狸紅熟思者が減少した原因は連鎖球菌属の一種である病原微生
物の進化による性質の変化とともに、保健衛生の改善(良い栄養状態、不摂生なスラム生活の減少な
ど)による宿主(人間)の病原菌と闘う力の増強に関係していると思われる。このときもしワクチン
が開発されていたならば、疑いもなく、その劇的な変化と多くの人命の救済に村しての信頼を勝ち得
たことだろう。けれど、こんな信頼は、こうしたたった一つの要素だけで得られるものではないので
あって、確信をもっていえるのは、それがワクチンのおかげではないということなのだ。実際問題と
しては、病気の減少は予防接種のおかげではないということを、厳しくいってもよいのである。
バーナード・ディクソンは、「古代では、人間集団は今よりも小規模で一家族当たりのスペースは
広く人口もまばらで良い栄養を得ていたので、彼らの生活全体として感染症はとるに足りないもので
しかなかった。こうした状態は、今の野生動物の現実として残っている」と指摘している。過密で不
衛生状態の下での低栄養といがみ合い、これが過去における都会人の間で、伝染病が大量発生した理
由なのだ。T・マックーン教授も次のように指摘する。「現代の改善された健康状態は、十人世紀と
十九世紀初頭における伝染病学上の研究を除いては、科学技術の貢献がほとんどないままに始まって、
長い道のりを経てきたのである」と。つまり、食糧生産の増加、摂生法と清潔な水の導入、家族数の
調節によって、感染性のパターンが劇的に変化したのだ。そして、そのために発症と死亡がともに減
少したが、これには予防接種という方法とその実施は、あまり影響がなかったわけだ。
また、予防接種の偉大なる成功の一つとして、腸チフスがしばしば議論の対象となる。だが、この
説もよく検討してみると、逆であることがわかる。混合TABワクチンに用いられた細菌には三つの
型があるが、これらは腸チフス菌そのものであって(感染した人の排泄物から培養された細菌を含ん
でいる)、パラチフスA及びBの細菌と組み合わされ、量的に五億以上の細菌を含むように作られて
いた。そして、この腸チフスワクチンの接種が第一次世界大戦中に広く行われたのだが、このときに
初めて、その成功に対する批判が注目された。ボーア戦争の初期には、イギリス軍のおよそ六万人が
チフスにかかり、八〇〇〇人以上が死亡した。このときには腸チフスワクチンは用いられなかったと
しばしば語られるが、事実はアルモート‥フィト卿によって開発されたワクチンが用いられ、四〇万
人分以上が南アフリカに送られ、軍隊のかなりの数に接種されていたのだ。有効性を疑う証拠につい
ては、当時従軍していたJ・ウォシュバーン博士の声明がある。彼は「(腸チフスの)中程度、重度、
致命的といったさまざまな症状が、接種を受けた者にも受けなかった者にも起こった。その頻度は、
私が判断するかぎり、同じであった」といっている。この大失敗後の一九〇二年には軍人への腸チフ
スワクチンの義務接種は取り下げられ、一九一因年になると任意接種として再度導入された。しかし、
実際は大戦中(第一次)、塑壕掘りの合間に、大多数の兵隊は予防接種を受け、その結果腸チフスは
二万人を少し上回る雁息があったのに一二〇〇人が死亡しただけに終わったので「成功だ」と、開発
した人たちによっていわれている。ボーア戦争での患者数、死亡数に比べて大戦中の数は大きく改善
された数になっているが、この真の理由は一九二一年発行のマルコム・モーリス卿の著書『チャドウ
ィク・レクチャー』 で明らかにされた。「主として先の戦争では、西部戦線の軍隊は良好な衛生環境
によって、赤痢、下痢、腸チフス、コレラによる損害を免れた」と。健康的な環境の提供は、一九〇
〇年に失敗したワクチンよりもはるかに重要であった。それなのに、ワクチンは一九〇〇年に失敗し、
さらにそれを繰り返して、軍隊に摂生を提供しなかったのだ。この声明の証拠は、ガリポリでもメソ
ポタミアでも衛生状態の悪い所ではワクチンは効果がなく、軍隊が消化器病やチフスの流行によって
無力化されるのを防ぐことに、完全に失敗したという事実に基づいている。
こうして、これらの流行からは興味ある事実が得られ、表向きに予防接種の「成功」をうたい上げ
た多くの論説について、疑問が投げかけられることになる。なんらかの予防接種によって「防衛力」
を与えられたはずの人間がその病気にかかってしまったというケースに直面したとき、医師はジレン
マに陥り、しばしば、なんの深い動機もなしに、見当違いの診断を下してしまうのだ。こうしたこと
は多くの場面で起こった。近年では、アメリカで、最新の予防接種によってポリオから守られていた
はずなのに、ポリオの症状をすべて呈した子どもが見られた。そのとき医師たちは、このことを別の
言葉で表現するさまざまな便利な方法を考え出した。腸チフスの場合には、当時医学関係者によって
作られた驚くべき自白が知られている。マーチン博士とアプジョーン氏は次のように語ったのだ。
「一九一七年に腸チフスと診断された三二五人の患者を担当したとき、この人たちは予防接種を受け
ているのではないかという疑念を抱いた。そこで、彼らの中の三〇〇人を診察名から除外し、二五人
を明らかな腸チフスと決定した」と。また、ドネガン中佐と同様、他の軍医が「上官の指示によって、
腸チフスの接種者を他の病名に分類してしまった」と自白した。このような状況下では、予防接種を
支持するために、医学統計をひけらかすのはナンセンスである。第二次世界大戦中は、腸チフスの発
生は低調であった。清潔な水と衛生環境の提供の効果は、完璧であった。そしてこれが病気の発生低
下の大きな理由であった。しかし、奇妙にも流行がいくつか起こっており、その一つは例証されてい
る。一九四五年九月十八日の『ランセッ土誌は、次のように報道した。自由陣営の軍隊で流行病が
発生し、八〇人が発病した。そのうちの半数以1が入院を要し、うち二人が死亡した。彼らの全員は、
少なくとも三年ごとに腸チフスの予防接種を受けており、大多数は四、五回の接種を受けていたと。
この証拠は、驚くべきことに、腸チフスワクチンが無効であることを示しているようである。じつ
は、このことは、無数の腸チフス菌を経口接種しても発症しなかったという有名なデモンストレーシ
ョンによっても裏づけられているのだった。それは、一九一大年トロントでフラザ一博士と彼の共同
研究者のグループによってなされ、数百万個の腸チフス菌を飲み込んでもなんの害も受けなかったの
で、細菌恐れるに足らずということを示したのだ。
つまり、腸チフスに対する真の解決策は、公衆衛生と個人の摂生なのである。『ブリティッシュ・
メディカル・ジャーナル』の一九三三年七月二十二日号は次のように述べている。「イギリスでは、
腸チフスのキャリア(保菌者)や腸チフス菌自体が識別される以前から、患者の減少が始まっており、
それは地方政府の担当部局によって行われた衛生面での改善のおかげであった、と指摘できるだろう」
と。我々は彼の章で再びこの特殊な予防接種による不幸な効果に目を向けるが、ここでは、それはし
ばらくおいて、他の予防接種武勇談の「成功物語」に話を進めることにする。
ジフテリア予防接種は無効であるばかりでなく(前章参照)、非常に重いリスクさえもたらす。一
方、ジフテリアという病気は、イギリスでは、戟争中を通じて減少した。これは、医師仲間では、予
防接種のおかげだと信じられている。だが、中にはこの見解に反村の医師もいるのだ。たとえば、戦
前にガーンセイで五〇人以上の医師のグループが、スウェーデンではどのような予防接種も用いてい
ないにもかかわらずこの病気がなくなったも同然の状態であることを指摘して、この島国でのジフテ
リアの強制接種に反対する陳情書に署名している。実際、ヨーロッパの多くの国々での予防接種の結
果は、望んでいたのとは逆であったことを示しているようである。まず、予防接種を強制していたド
イツでは、一九四五年にジフテリアの大発生があり、混乱とともに見込み違いが騒がれた。その発生
数は、全国を網羅した接種計画にもかかわらず、四万人から二五万人以上にも増加した。パリでは、
一九四四年に強制接種が行われたにもかかわらず、ジフテリアの発生が三〇%増加した。また、強制
接種が完三人年以来制度化されているハンガリーでは、二年周期にまたがって三五%増加した。中 畑
立国スイスでは、ジェノバ県が完三三年以来強制接種しているにもかかわらず、一九四毒と四三
年の間に三倍になっている。さらに、開戦時におけるドイツの状況とノルウェーの状況とは、対象的
である。ドイツで言方人の患者が発生している最中に、ノルウェーではほんの五〇人しかなかった
ことは、まさに注目に催する。
世界保健機関(WHO)の公表によると、ジフテリアは、ワクチンの非接種国も含めヨーロッパの
大半の国々で確実に減少している。そして、その減少は、予防接種が開発されるよりもずっと以前か
ら始まっている。イギリスでも、きちんと接種された子どもの中から三万人以上の患者が発生したと
いう記録に照らして、この予防接種が子どもをジフテリアから守るという保障は、確実にはないので
ところで、予防接種の副反応については後で論ずるけれど、ジフテリア予防接種の直接の結果とし
て、ポリオと見分けがつかない型の病気が起きるケースがあることは注目に催する。我々は、医学的
な宣伝によって、予防接種を受けない子どもだけが病気にかかると信じさせられている。しかし、奇
妙なことに、ここでは〈再診断〉という現象もまた起こつているのである。例を挙げると、いったん
「ジフテリア」という診断に到達しながら、その子どもが予防接種を受けていたことを知らされると、
医師は無理をしてでも病名を変えようとするのだ。そのために診断名の変更がときには六〇%にも達
したといわれているほどである。なのに、こうした理不尽を改革することは、予防接種に反対する人
人の再三の申し立てにもかかわらず、権威者たちによって拒否され続けてきたのである。
ジョージ・バーナード・ショウは『ネイション』(一九二三年二月十日) に寄稿して、予防接種の
効果に対して、問題をはぐらかすために、統計がどんなに頻繁に用いられたかを、次のように説明し
ている。
「通常の病院では、数人のパスツール主義の予防接種信奉者が、ひどい統計上の作為を行っている。
医学的統計によって、予防接種はすべての病気を一掃し、合理的また大成功裡に遂行されたというこ
とにされる。ところが、統計局長の回想によると、それらは効果がまったくないか、事態をさらに悪
くするかのどちらかであったのだ。このことを指摘されたとき、パスツール主義者は、統計局長の回
想は単なる租死亡率をいっているのであって、実際に調べられたのは特殊死亡率であったといい返す
ことに血道をあげた。特殊死亡率でいえば、一〇〇人の住民のうちジフテリアにかかって死んだケー
スが一件あると死亡率は一〇〇%となり、そのことが予防接種を導入する方向へと導く。そして、そ
の結果全住民がジフテリアに苦しみ八〇人が死亡しても、租死亡率でいえば八〇%に減少したことに
なる。そんなカラクリで、衛生上の大きな進歩が予防接種によってもたらされたと解釈されることに
なるに違いないのである」
この結果、あらゆる兆候や症状が揃っているにもかかわらず、患者は予防接種によって「守られて
いる」から、その痛気に苦しむことはありえないという医師の考えに沿って、治療法も決められてい
ると思われる。しかし、このように成功を示す手段に統計を用いていると、その反面、明らかに失敗
した場合には、なにかのタイプの免疫機構が事態を悪化させたのだとして、その主張の正当性を信じ ば
させることは困難になるのである。ショウがまさに現実の現象であることを誇張して挙げた例は、彼
自身が(虚偽と幻)と呼んでいる事態を浮き彫りにしている。こうして我々は、腸チフスのように予
防接種があろうとなかろうと減少した病気があるし、予防接種が強制された場合にはより大きな事故
が発生するという証拠があることを知った。しかも、再診断は、非接種者だけがその病気にかかった
ことにするという、公的な数字の馬鹿々々しさを示しているのだ。以上のことは、予想される副反応
とともに、この型のワクチンの大量接種に反対する理由を、かなりわかりやすいものにしてくれてい
るだろう。
種痘については、前述したように、医学上の大きな成果の一つとして、天然痘の根絶が挙げられる。
けれども、環境条件の向上する中での減少が予防接種に関連があるかど、ヾか、また前例と同様に他の
要因が含まれていないかどうかということの疑問が根強く残っている。天然痘はイギリスでは、第二
次世界戦争の閉幕までに、劇的に減少した。その結果、この病気で死ぬ子どもよりもワクチンで死ぬ
子どものほうが多くなった。一九六四年二月十二日付の統計局長の報告は、一九六二年十二月で終わ
った過去二十五年間に、イングランドとウェールズで生まれた赤ちゃんの三分の二が種痘を受けてい
なかった。この期間に、五歳以下の四人の子どもが天然痘で死んだ。一方、種痘をした子どものグル
ープの三分の一以上で、少なくとも八六人(五歳以下)が副反応で死亡し、さらに多くの子どもが大
きな被害を受けたQこの表向きの評価を比較しただけでも、種痘はまったく悪かったと思われるのだ
が、じつはもっと重大な真実が隠されているのである。当時の政府によって用意された解説では、ま
さに一九六二年に五歳以下だった子どもは、ワクチンの反応では一人も死んでいないと述べられてい
た。ところが、医務官の報告から採録された多くのケースがあるが、それによると誤って伝えられて
いるのだということがわかる。この報告は、予防接種に伴う特別な合併症の症状について、次のよう
に説明している。
[[ワクチニア壊疽]]
「この症状はーーーこれはまた慢性進行性ワクチニアとして知られているがーー−初回接種による針の傷
が治癒し損なって壊痕となり、しだいにその範囲を拡大していき、最後には壊症が全身に広がり、そ
こからは天然痘ウイルスが証明される。数週あるいは数カ月後にしばしば死を招く」
……医務官の報告は続く
「致命的なケースは、種痘を受けた四カ月の男児に起こった。彼の症状は記載された型どおりに進行
し、三カ月後に死亡した。天然痘の抗体を血液中に入れる間はなく、ガンマ・グロブリンのレベルは
異常に低い値を示した。他にも同様のケースがあり、報告は種痘後脳脊髄炎として知られている症状
を記録している」
報告は次のように書く。
「種痘後脳脊髄炎は、全体の中で六十例ある。そのうちの五例は死亡している。最初の死亡は、生後
八カ月の男児に起こった。この子は接種後十日目に発症し、激しい嘔吐と強い全身違和感を伴ってい
た。入院した翌日、明白な気管支炎を撃ししたが、それ以外には異常は認められなかった。一日後、 脳
右半身を起こし、身体をねじる動作が進行した。痘攣はどんどん広がり、ついに翌朝早く死亡した」
このように次から次へと事例が記載されているけれど、まだ一例として、その年の統計局長報告に
載せられたものはない。これもまた、なにかに賛成あるいは反対するために、状況をうまく(証明し
ょう)とするときに公式的数値に頼りすぎるのは、いかにも愚かであることを示唆している。だが、
ともあれはっきりしているのは、種痘は、その慈悲深い終焉を迎えるまでに、実際の病気で死ぬより
もずっと多くの子どもを殺してきたということなのである。また、ショウの個人的経験はたとえ過去
のものだったとしても、この病気は、まったく種痘が行われなかっかよりも、種痘をしたほうがもっ
と起こりやすかったのだ。
オタゴ大学の予防医学と社会医学のC・W・ディクソン教授は、予防接種を強く信奉していて、一
九六四年に次のように書いている。「もし予防接種が完全に害のないものであるか、あるいはそう作
りうるならば、幼児や学童の定期接種とその完全に実施可能な計画は、流行に対しては大きな防衛力
にはならないとしても、進歩ではある。個人が天然痘で死んだり激しくやられることはあっても、住
民全体としては、死亡率と重症度は低下するであろう」と。続けていうには、「我々が確信している
事実は、初回善感(最初の種痘によく反応した)あるいは水胞が発症した再接種善感の人の場合、ど
ちらかが三年以内のことならば、患者と密接な接触をした後でさえも、天然痘に罹患するリスクは非
常に小さい。しかし、時間が経過すればするほどなにが起こるかを予想することは、ますます困難に
なる」と。また、彼は、自らも初回接種か再接種で善感になり、自分は終生免疫ができたと信じてい
る医師たちの話を、次のように述べている。「私はこのような幻想はもっていない。私は約十五回も
再接種したことがある。そして善感が過剰で水胞ができ、それが後に小さな凹の跡になってしまっ
た」と。
要するに、ディクソン氏の主張は次のようである。「集団接種は、広域にわたる発症を引き起こす
原因だということ。それは流行を抑えるのにほとんど役立たなかったということ。そして大規模な幼
児への接種は、種痘の効果と天然痘の両方からの合併死亡率を、種痘を廃止した場合に予想されるよ
りも、はるかに高いものにしているということ」である。
今では、我々は、天然痘が地球上から追放されたといわれ、種痘が廃止されていることに感謝すべ
きであるQまた、効果的な薬による治療も今日役立つようになっていることもありがたい。そうして、
そのために、天然痘対策としてワクチンを用いることをめぐる議論は、ただ純学問的なものになって
きているのである。
しかし、我々は、狂気の考えにとらわれた歴史と、特殊な観点のみを支持する統計の判断から、多
くのことを学ぶことができる。まず、パスツール、コッホ、エールリッヒといった初期の医学研究者
は、一大学派を創成した。そこでは現代医学が、伝染病の自然史だけへの観点を選択し、そこから対
策を決定づけた。そのため、感染源の役割には集中と強調が注がれたけれども、人間に対しては関心
が向けられなかったのだ。コッホによって結核患者の体内の有機体が固定された時代には、ヨーロッ
パのほとんどの都市の住民がこの危険な細菌を体内にもっていたことは事実である。その時代は、乏 畑
しい栄養と疲労と不衛生な生活状況が身体の感受性を高めており、そのために細菌が増殖し、柄気の
発生を容易にしていたのである。[[現代でも、ほとんどの人の腸内あるいは唾液などの排泄物の中に、
さまざまな感染力をもつ痛原菌の存在を示すことはできる。けれど、なにか異常な出来事が起こって
微生物が気づかれないままに活動を広げるのに適した条件が生じるまでは、病気の発生はないのだ。]]
ところが、なんとこうした状況下でも、新しい伝染病が出現した。エイズは、かつて流行した恐ろ
しい症状のどの病気より罹患者が数十倍も多く、アメリカとヨーロッパに感染が広がっているという。
この病気は、症状が明白になる前に、健康な身体に働くチエいクとコントロールの機能を変えてしま
ぉぅとするのだ。そのメカニズムは変わっていて、普通の伝染病のように細菌なしには発病しないと
いうのとは同じではない。たとえば、コレラは特定のコレラ菌なしでは発病しない。けれど、体内に
微生物が存在していても、病気にはならない人たちがいる。それは感染症が起こる前には多くの要因
が同時に働かなければならないし、しかも特定の細菌に対する免疫によってはさほど影響されないと
いうことがあるからなのだ。その基礎的な要因になるのが↓身の衛生、過密と栄養(清潔で手近な水
を含めて)への注意であり、それらが身体の防衛力を高め、感染が起こっても十分対抗できるように
してくれるのである。つまり、免疫は、問題の表立った局面を処理するだけのものと考えられる。そ
ぅしたことは、感染症が前世紀の最盛期にわたって減少してきたという事実によってもうかがわれ、
この点でもやはり免疫は発病にほとんど関係がないと思われるわけである。そこで、発病に大きな影
響があって強調する必要があるのは、公衆衛生と栄養の改善だということになる。ペッテンコーフェ
ルのような勇敢な仕事師やロシアのメチニコフが無数の病原菌をなんの異常もなく飲みほすことがで
きたのは、まさにそうしたためなのだ。そこで、世の両親は、こういう理由と接種に伴う耐え難い副
反応があるという事実とを考え合わせて、子どもに予防接種を受けさせるようにという圧力に無条件
に従う前に、ちょっと手を休めて熟慮すべきなのである。
百日咳予防接種は、副反応が非常に多く報じられているので、大いに議論の余地がある。このワク
チンを支持する意見は、接種によって得られる防衛力が起こりうる喜作用よりもはるかに大きいとい
う点に根拠をおく。ところが、一九〇〇年から一九七〇年半ばまでの子ども一〇〇万人当たりの毎年
の死亡数を措いたグラフを見ると、一九〇五年に十五歳以下の子どもでは、九〇〇人を割る程度で最
高を示し、その後は一貫して劇的に低下している。そして、予防接種が大々的に導入された一九五〇
年までに、死亡率はおよそ八〇%にまで低下してしまった。以来、緩いカーブではあるが、低下は続
いている。この経過を見ると、百日咳の減少の原因として、予防接種に名誉を与えることはできそう
にない。もちろん、百日咳予防接種の効果の程度に関しては、多くの専門家による論争がある。なぜ
なら、接種と非接種の子どもを比べると、多くの流行時における発症数がほぼ等しいためである。け
れど、この病気は、最も基本的な点で、健康な子どもでは温和な症状なので、保存療法(自然に治る
のを助けるだけ)で十分に対処できるものなのだ。医学雑誌『ランセット』に以前掲載された報告に
次のようなものがある。「百日咳に感染した子ども(鼻讐拭った綿から分離した細菌高走して確
認した)のグループのほとんどは接種を受けていた。発病したケースの大部分は、接種を受けていて
も受けていなくても、軽い症状で、入院した子はわずかだった」。やはり、百日咳は、栄養が良く基
本的に健康享どもにとっては、恐ろしい病気ではないのだ。なのに、予防蓬を続けることは、付
随する危険因子のために(第五章)、怪しげな結果をもたらしかねない。
ところで、百日咳の発症数が減少していく姿は、予防蓬によって守られると想像されている他の
急性感染症のそれと似ているし、ま喜防接種が行われていない狸紅熱のような病気の減少とも類似
していることが皆される。グラスゴー大学の社会医学部長ゴードン・スチュアート教授は、広範囲
にわたる百日咳予防接種の研究を行った。以下は、その効果に関する彼の見解である。
「この間題での私の見方は、一歳以上の子どもにおけるワクチンの最低の利益でさえも、ワクチン自
身による不利な効果によって相殺されなければならないということである。この不利な効果は、日常
茶飯事のように起こり、ときに回復不可能な脳の損傷、麻痺、精神障害が伴うかもしれないのだ。こ
の危険を恐れて、多くの親や医師が子どもへの接種に尻込みしている。なにかの伝染病の流行または
衰退を評価する場合、まず第一に、現在だけでなく過去になにが起こったかも批判的に吟味すること
が大切である。そうした見方がされるなら、主要な伝染病のほとんどは、とくに幼少期のそれは、す
べての先進国で、五十年以上もの間、多少の変動はあるにしても、継続して流行と死亡率が共に減少
していることが明らかになるはずである。
もちろん、たしかに百日咳が狸紅熱、ジフテリア、麻疹と同じく、多くの死亡をもたらしたり一時
的、ときに永久的な合併症をもたらした時期はあった。しかし、イギリスでは、そのような時代は少
なくとも三十年以上も前に過去のものになっている。今日では、これらの病気による死亡は非常にま
れだし健康を損なうような合併症もきわめて少ない。これらのほとんどは、とりわけ麻疹の苦痛や百
日咳の発作になると、そのときは辛いけれど、短時日のうちにすんでしまう。いずれにしても、本質
的な問題として、これらの感染症やその他の病気の流行と重症度が、国家的な予防接種計画の実施よ
り以前に減少しているという事実が重要なのである」
「伝染痛の流行や重症度の減少に関しては、予防接種よりも、他の要因のほうが大きな役割を担って
いたことは明らかである」
「そこで、次のような問題が生じる。つまり、予防接種が他の要因と比べて流行阻止に(それが完壁
だったとして)どの程度貢献しているか、そしてその利益は(あるとして)どの程度危険または潜在
する副反応と相殺されるのか、という疑問である」
スチュアート教授は「一九七四年五月及び一九七人年九月のイギリスでの流行と一九七四年のアメ
リカ及びカナダでの流行では、十分に予防接種を受けた子どものうち百日咳を発病した子の割合は三
〇〜五〇%であった」と語っている。
スチュアート教授は予防接種を信じているのだが、しかし、現在の形での百日咳に対する予防接種
には否定的である。この見解は、一九八三年七月の『ブリティッシュ・メディカル∴ンヤーナル』に
掲載された最近のレポートで説明された。彼は、編集者への嘉で、百日咳予防凛種についての立場
を新たに陳述し直して、以下のように、いくつかの要領を得た指摘をした。
「百日咳予防接種については、丁些二三年以来公表された論文及び非公開の報告の中に哀した記録
が見られる。これらの記録は、他の予防接種とは比較にならないほどの重大な神経毒性や後遺症に関
するものであって、しかも報道機関がなんらかの反対の‥ユースを流すようになるずっと前のもので
「さまざまな情報源からの臨床報告は、七〇年代と一九八二年の百日咳の流行では重い感染を起こし
た多くの赤ちゃんが入院したこと、また、確かめてみるとアメリカでも同様であったらしいこと、そ
して現在の予防接種計画は必ずしも子どもを守る結果にはなっていないことを示している」
「それらの報告は、実際に百日咳にかかった子ど鴨が後遺症として永久的な脳障害を伴う脳炎を起こ
す危険ニ‥望00)が三種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風)の接種後に脳炎を起こす
危険ニ‥N芸○と=−Obgの間)より少ないことを示している。また、百日咳にかかって死亡す
る危険(=岩00)が百日咳予防接種によって死亡する危険(=00営○)とあまり適わないこと
をも示している」
最後にスチュアート教授は述べる。
「人間社会での経済的搾取と過密とを緩和できるなら病気の発生もその激しさも減るであろうが、そ
れまではワクチンが必要だと信じさせようとするデータには十分な説得力がある。だが、そうしたデ
JJク
一夕も、現在のワクチンでは流行を抑止しえないことを示している。私は、現在のワクチンは不十分
な効果しかなく、集団接種計画にはあまりにも危険がありすぎると信じている」
ジュリアン・ケニョン博士は、この間題について、『ジャーナル・オブ・オールタネイティブ・メ
ディシン』の編集者に送った手紙の中で、次のように論じている。
「グラスゴー大学のゴードン・スチュアート教授は最近の報告で、第一子の赤ちゃんの予防接種によ
る危険は、家族平均にして、百日咳に罹患した場合の危険と同じだと指摘している。保健省はそうし
た調査結果に混乱し、人力月にもわたって、この報告を審理した。そのあげく我々は、予防接種政策
がますます事実に反しているようなのに、さらに別の(弁解)にまもなく直面させられることになる
に違いない」
「最近百日咳ワクチン論争が白熱化したときには、その争点は政治的キャンペーンの特徴を呈した。
それは、百日咳ワクチンは非常に良いものだから、誰もみな接種を受けなければならないという趣旨
の、保健大臣の従来の声明を堅持する姿勢を極端に示していた」
「この間題をそのように判断すべきであるというのは、たいへん奇妙なことだ。なんとチャールズ皇
太子やダイアナ王女でさえも官界筋に屈し、ウイリアム王子は因襲的な方法で型どおりに接種を受け
た。しかも、その接種は、官界筋から熱心に情報提供を求めるすべてのメディアをフルに利用して行
(注5)
われたのだ。もしかすると彼はホメオパシー(類似治療法)で家族を守りたかったのかもしれないけ
れど、でも、たぶん、保健省の巨大な力で脅かされたのであろう」
「予防接種のリスクには軽微なものから重度の脳障害、さらに死亡に至るまで、さまざまな種類があ
る。そもそも予防接種というものは長期にわたる異なった種類の副反応を伴うのが普通であって、し
かもそれらは識別されず、したがって記録もされないのだ。こういった事実は、ホメオパシー(第八
草)の医師たちによって述べられることであろう。私自身の経験は、次のことを明らかにしている」
「百日咳のリスクが致命的になるのはまれなようだが、肺障害をもたらす長期の激しい症状が出る可
能性もある。もし私が、脳障害と肺障害のどちらかを選ばねばならぬとしたら、絶対に後者を選ぶ。
そして、毎日の体位変換による排膿や、ときどき起きるわずかに血液の混じった咳、たぶん少なから
ず努力を要する呼吸困難−それらと闘う〈だけ〉ですむことに感謝する」
「最終的には、最悪の場合、しばしば侵された肺葉の切除で助けられるとしても、もし脳を侵されて
しまったら、いったいなにができるのだろうÅ
「当然のことだが、ワクチンの接種率が低↑したらもっと多くの子どもたちが次の流行時に雁息する
と心配する向きがあるし、そうでなくても次の流行は約二年で再びやってくるというように、接層を
してもしなくても、苦労の種はつきない。けれど、そのほかにどんな選択があるのだろう? ホメオ
パシーの医師たちは、それがあるのだという」
ポリオの場合、この病気の死亡率のグラフを見ると、予防接種導入前六年間と後六年間では、前の
ほうで八二%の減少を示している(イングランドとウェールズ、死亡数は一九五〇年七五五人、一九
五六年三七人)。そして、その後の六年でさらに六七%の低下(一九六二年の死亡は、些五人に低
下)を示し、そうした低下はずっと続いたのである。ここで、再び、この病気の減少に予防接種がな
にかの貢献をしたのだろうか、という疑問が提起される。このタイプの予防接種は、注射より経口
(口から飲む)法が優勢になっているので望ましいとされ、関心を集めているのだが…・‥。ポリオそ
のものは、大半の病気と共通してさまざまな程度の害はあるが、多くの場合は無症状で、ときに一時
的な下痢と他のたいしたことのない症状を伴うくらいだといういくつかの証拠がある。麻痔症状の発
生については、多くの研究者によって、扁桃摘出後とジフテリア予防接種後の感染に関連があるとさ
れてきた。これについては第三章で論じたが、繰り返すと、激しい感染になるかどうかを決定づける
のは宿主の状態にあるのであって、微生物の有無ではないのだ。
さらに、これと同様なコメントが、ジフテリアや麻疹などについても通用する。そして、この場合
も、やはり、予防接種を支持する議論の難点は、病気が減る主たる要因として大がかりな接種の効果
が挙げられるとする説に証拠が乏しいという点にある。たとえばジフテリアのケースでは、現在、工
業国では発病がきわめて少ないのに予防接種が行われ、それによる利益はないかあるとしても、限ら
れていることを示す豊富な証拠にもかかわらず、漫然と続けられている。一九六九年のシカゴの流行
では、患者の一六人中四人が完全に予防接種されており、また他の五人のうち一人は少なくとも一回
は接種を受けていた、ということを市当局は報じた。その他のジフテリアの流行では、三人の死亡の
ぅち一人は完全に接種を受けており、さらに確認された二三人のキャリアのうち一四人は接種されて
いたことが報告されていた。一方、予防接種の長期にわたる副反応については議論が残る。しかし、
この病気に対する接種の効果についての多くの証拠は、副反応の危険を考えなくても、非常な不信感
をもたせたままにする。「生体解剖廃止・英国連合」が発行した解説によると、ジフテリアの三万人 川
以上が十分に予防接種を受けている子どもであったことが、一九九二年、イギリスで記録されたとい
こうして、我々は、百日咳あるいはジフテリア、天然痘あるいはポリオを重要視しようとしないと
にかかわらず、やはりこの方法(予防接種)は信じないという同じ立場に立ち戻ってくるほかはない。
それは、この反生理学的攻撃にさらされた身体に、どのような付加的な害が生ずるかという問いに入
る前から、そうなのである。前述した腸チフスに関連した証拠、とくに戦時中によく記録された証拠
は、発病の減少には、予防接種でなく、摂生と清潔な水の供給が影響するという説を圧倒的に支持し
ていた。第二次世界大戦中は腸チフスの発病は低率であったが、その主な要因は衛生だった。実際、
イギリス自由軍では軍の給水車で供給される以外の水の使用は、軍事法廷で犯罪者扱いされていたの
だ。
副反応の危険性
最初の麻疹ワクチンは、一九六三年にアメリカで認可された。このワクチンの危険性の一つは、後
の章で見るように、病気そのものの危険が大きいといいはやされる度合に比例して、非常に多くのケ
ースで、脳炎が引き起こされていることである。また、有効期間の点でも、期待とは大きく離れてい
るのだ。ロバート・メンデルスゾーン博士は、この点について、「私は、たとえワクチンが有効だと
確信させる証拠があっても、麻疹ワクチンに関連した危険は受け入れられない、と考える。しかも、
そのような証拠はないのだ。一方、ワクチンの導入が開始されるずっと前から、この病気の発生は減
少していた。アメリカでは一九五八年に約八十万件の麻疹が発症したが、ワクチン導入直前の一九六
二年までに、三十万件にまで低下してしまった。そして、次の四年間に子どもたちは効果がなく現在
は廃止されている(死菌ウイルス・ワクチン)を接種されたのだが、この間に発病はさらに三十万減
少した」と述べている。麻疹による死亡率も、予防接種とは無関係に、同じく劇的に減少した。一九
〇〇年には麻疹による死亡は.、人口一〇万当たり一三二二であったが、最初の麻疹ワクチン接種前の
一九五五年までに死亡率は九七・七%減少し、人口一〇万当たり、たった〇・〇三になっていた。そ
こで、メンデルスゾーン氏は続けて、「これらの数は、ワクチン導入前に麻疹は消えつつあったとい
うことの劇的な証拠である。麻疹にかかった子どもの半数以上が、十分に接種されていたという事実
を一九七人年の三十州の調査は示している」という。
(♯45)
一九七二年の『ジャーナル・オブ・ペディアトリックス』に現れた論文は、都市型麻疹流行に関す
る伝染病学的血清学上の要因を研究していて、次の情報を含んでいた。一九七〇年と一九七一〜七四
年にかけてセントルイス市と州で起こった麻疹の流行では、四週間に四三〇人が発症し、一三〇人の
子どもが入院、六人が死亡した。ある学校では、接種を受けたことがわかっている九〇人の子どもの
Jj古 第四章 予防接種の「成功」に対する批判と反論
中から、−九人に麻疹が発症した。失敗率は二〇%である。他の学校では一二五人の子どもが罹患し
たが、その二八%の三五人は攫種を受けていたと臨床データ表が示している。
そこで専門家は、失敗した場合に備えて、再接種計画を勧告した。「しかし」と勧告はいう。「二凶
接種の失敗から考えて、再接種でも失敗を繰り返すかもしれない。したがって、これさえも無用かも
しれないということは認める」と。
】九大七〜八年の冬中、シカゴで麻疹の流行が起きた。ヲメリカン・ジャーナル・オブ・エビデ
ミオ口語宗報じた毒に、「次の二つの特徴に、特別な注意が必要である。1・予防接種された
就学前の子どもの間では、発生率は高い。2・麻疹流行抑止のための徹底した学校接種計画の失敗。
七二%のケースは五歳以下の子どもで起こっている。シカゴの接種計画では、流行している間も明ら
かに効果がなかった」のだ。しかも、後章で見るように、このとき用いられた麻疹ワクチンは(非定
型〉麻疹として知られる状態を作り出してしまった。そして、これは広い範囲にわたる長期の問題を
含んでいると思われた。また、この方法の失敗については、合理的な疑いを差しはさむ余地のないも
のであることが、十分に報道された。ところが、それにもかかわらず、同じような方法が今でも引き
続き行われているのである。
こういった最近の出来事は、一八七〇〜七二年の天然痘の流行にイギリス国民を落とし入れた悲劇
を再現するものにほかならない。人口の十分な割合が少なくとも二凶は種痘を受けていたが、それで
もなお四万四〇〇〇人を殺す流行が起こったのだ。そして、バーナード・ショウ氏から聞かされてい
たように、これがワクチンへの期待を裏切ったのである。しかし、辛か不幸か、あれこれの失敗と承
認しがたい多くの副反応、そうした不幸のおかげで世論は強制接種の変更を求めることになった。こ
のことは、ちょっとした歴史的興味にすぎないと受け取られるかもしれないが、なおつけ加えると、
一九六一年後半にイギリスで天然痘の流行があった。このときは五九人が罹患したが、うち三四人が
接種者、二五人が非接種者であった。この件については、保健省の主任医務官が一九六二年に報告し、
接種着では五人しか死亡していないのに、まったく接種していなかった一六人の患者は死亡したとい
う事実に気休めを見ようとした(じっは、この統計は外国からこの病気を持ち込んだ人を計算に入れ
ていない。このうちの二人が死亡している)。このようにいろいろなハプニングに懲りたので、予防
接種推進派のスポークスマンは、その後は予防接種をすれば免疫が完全に得られるという立場を捨て、
「この病気に対して改善された効果をもたらす予防接種でさえ、それへの支持は、好意的に見ても、
まだまだ著しい隔たりがある」と述べるようになった。以下に見るように、こうして得られた長所が
慢性の健康障害というかなりの危険にさらされていたのも、もっともなことだ。しかし、それにして
も、最初にこの手法が考えられ始めたのは、ほかでもない生命に免疫を与えたという強烈な要求に基
づく、人類のはるか昔からの叫びではあろう。
実際一九六〇年までは、種痘の利益を期待しているのは、個人ではなかった(感謝しよう。もはや
我々には無縁だ)。次の医務官声明は一九六四年一月十日のものである。「種痘の個人に対する価値と
社会に対する価値との間には基本的に違いがあることを認めないために、多くの混乱が起きている。
数年前に種痘を受けた人でも、天然痘で死ぬかもしれない。しかし、種痘を受けたグループの死亡率
は同じような感染にさらされても、非接種のグループの死亡率よりも低い」。だが、これさえも疑
わしい。というのは、一九二六年の流行では、摂取率が非常に低い地域ーーーたとえば、幼児の七%だ
けが、種痘を受けていたウエスト・プロムウィッチーでは、そのようなことは起こらなかったのだ。
さて、我々は、ここで話警天然痘から転じて、予防接種の失敗という方面での、同様に関心のあ
る、しかも異質な災害について語ろう。一般的に三日ハシカ(風疹)と呼ばれる病気は、子どもにと
って恐ろしいものではない。けれど、それは胎児に対しては脅しをかけてくる。もし妊娠初期に女性
が感染すると、新生児に障害を生じさせる結果を招く。そこで、妊婦が風疹にかかるのを防ぐことを
期待して、子どもたちに、男の子まで含め、予防接種を受けさせようとするのである。そして、少女
に関しては、成熟する前に、この方法で病気を締め出しておこうとも考えられているのだ。だが、こ
のようにして、病気にかかれば自然にできる免疫を回避することは、女性の多くに、子どもを産む可
能性がある年齢の間中、風疹にかかる恐怖をあおることになるだろう。しかも、幼小児期に予防接種
を受け妄性の体内に抗体が存在するという証拠はしばしば不足していることを、多くの研究が示し
ている。実際にも、早期に予防接種を受けた多くの人々が、この病気にかかっているという事実によ
って、このことは確信されるのだ。メンデルスゾーン博士は、つけ加えていう。「子どもの大部分は、
風疹ワクチン接種後わずか四去年間に行ったテストで、血液中に免疫の証拠が示されない。現在で
は、予防接種のために、大半の女性は自然免疫をまったくもっていない。もしワクチンがもたらした
免疫がなくなれば、彼女たちは、妊娠中に風疹にかかって、胎児に障害を及ぼす結果を招く可能性が
ある」。さらに、メンデルスゾーン氏は指摘する。「風疹の最大の脅威は胎児に対するものだから、も
しそれへの対策が予防接種であるとすれば、人々は妊婦に感染させないために、産科医は必ず予防接
種を受けていると思うであろう」と。当然、そうしておけば、産科医自身が女性の患者に感染させる
ことはなくなるはずだ。ところが、『アメリカ医師会雑誌』に報告されたカリフォルニア州の調査で
は、インタビューを受けた産科医と婦人科医の九〇%以上が、なんと、このワクチンの接種を拒絶し
ているのだ。このように多くの医師が自らへの接種を拒み、重度の副反応(第五章)を伴うことが知
られているこのワクチンを、なぜ子どもに押しつけるのかという疑問をそのままに、強制的に接種す
ることは大いに非難されなければならない。
『オーストラリアン・ナーセス∴ンヤーナル』一九七人年五月号掲載の論説は、ワクチンの有効性を
圧倒的に否定する証拠があることを明らかにした。メルボルンのオースチン病院大学部のペパリー・
アラン博士は、彼女の詳細な調査の後、そうしたことがわかって非常に驚き、集団予防接種に期待す
ることへの疑問をもつようになったという。彼女は、軍隊で新兵に試験的に調査を行い、血液検査で
彼らの風疹免疫が低いことを証明した。
彼らは弱毒ウイルスを接種され、その後訓練キャンプへ送られていたのだが、そこは過去において
風疹の常在地であった。こうして流行は接種後四カ月に起こり、(防衛)されていたはずの男の八〇
%が発症したわけだ。その他、アラン博士によって設定された精神病院での別の試みでも、予防接種
はこれらの病気を予防できないという同じ結果が得られたという。もちろんのこと、これらのすべて
は出産障害を予防するという名目で行われている。そして、議論されたのは、この目的(出産障害の
予防)だけがただ;重要なものであり、病気(風疹)が出産障害を招くことは確かだとしても、ワ
クチンがなにかの原因によって障害を発生させるのではないかという問題だっただろう。
他方、保健省の主任医務官ヘンリー・イエロウレス卿による桁離への声明は、この防衛方法が、胎
児に対してさえも、すぐ成立させられるものではないということを明らかにした。そして、さらに、
接種率が高いにもかかわらず、出産障害をもった赤ちゃんの数が目に見えて減少したということはな
かったとも述べている。ところが、この混乱させるような声明が、かえって予防接種を推進させてし
まった気配が十分にある。行政官がこのワクチンの防衛力の限界を気づかうあまり、その当時は統計
がマニュアルで行われていたのを幸いにして、予防接種が失敗だったと実感されたときには、診断名
を変えるよう医師に強い圧力がかけられたのである。それにもかかわらずFランセット誌は、イギ
リスでは、この型の風疹ワクチンの接種が小学校入学前の子どもに義務づけられるだろうことを示唆
した。
要するに、細菌の存在は病気の赤信号ではない。宿主、つまり個人の身体の健康状態が発病するか
どうかを決める要因なのである。たしかに、毒性物質の導入は、身体の一部に反応を挑発し、特定の
微生物に対する防衛が得られるという限られた利益はあるかもしれない。しかし、これは必ずしも望
ましい状況ではない。そして、長期的に見ても、大多数の人の健康にとって最低限度の効果しか得ら
れないのだ。次の章で、我々が取り扱うことになる危険性は、こんな程度の怪しげな利益よりはるか
に重大なのである。なのに、予防接種を推奨する宣伝は、大衆の心をつかみ、病気をコントロールし
ようとする医学上の考え方と政府や国際間の法令にも影響を与えている。こうしたことが、さまざま
の病気に対して危険な状態にある人々への福祉の水準を臭から引き上げる方法を犠牲にしてしまった
かもしれない。ところが、予防接種というのは収益は大きいけれど、そのじつ、いつも好調であると
はかぎらないので、この王国(イギリス) の政治と経済は壁に突き当たり始めているのだ。また、収
入内でやっていくことが困難な国々では、予防接種による防衛とい・う考えを排除して、高くついても
栄養を改善する方策を講じることは、たとえこの事実に政治家たちの耳を傾けさせることができたと
しても、けっして歓迎されることはないであろう。けっきょくのところ、政治家たちにメッセージを
伝えるのは、国民自身による勉強とメディアを通じての啓発なのである。我々の最初の明白なメッセ
ージは、予防接種は限られた防衛力しか与えてくれないということであった。そこで、次に、私たち
に必要なことについて考えてみることにしよう。それは、予防接種のために国民と国家の健康がいか
に損なわれ、危険にさらされたかという多くの事実についてなされることになるだろう。
予防接種による急性の害作用(SIDSと脳障害)
先に第三章で、予防接種が有効だと考えられている風潮に注意を促すために、我々は結核、ジフテリア、ポリオの予防接種の怪しげな効果に関する証拠のいくつかを見た。 また、第四章では、予防接種の効果についての批判と反論を、その害との関連で、検討してきた。 しかし、予防接種に関してマイナスの知見を、ただ効能、急激な有害作用、長期にわたる災害などに分類することだけでは恋意的になる。
なぜなら、これらは、互いに重なり合う部分をもっているからである。 したがって、読者はこうした分野について考えるとき、そこに収録されている証拠や見解を見落とさないように、関連する章を何度も調べてみていただきたい。
さて、我々は、予防接種の効果に関する証拠を調べるとき、これらが二つの大きなカテゴリーに分けられることを発見する。 効果の中には、劇的に早く起こり、予防接種と直接結びついていることが識別できるものがある。
またさらに、結果が現れるまでに多くの年月を要し、調査したりすでに接種された人たちの傾向を観察して関連性がわかるまでは、予防接種とのかかわりを決定することが困難なものもある。
たとえば、多発性硬化症(MS)のような特殊な症状を考えようとするならば、患者の中でのありうる共通の園子を振り返ってみることと、こういった個々人が共通に、ある特定の感染 肋ないしは予防接種の経験をもっていることとに注目しなければならない。 後で見るとおり、幾人かの研究者は、実際に麻疹ウイルスがMSと関係があるという仮説をもっている。 またただちに現れる副作用ほど明白ではないが、後年慢性疾患にされてしまいさえする変化が予防接種の結果として発生する可能性もある。 しかし、このような変化は特定の機能や組織における複雑な全般的変性と関連があるので、予防接種との関連を確定するためには、十分な探索作業を必要とする。
まず、こうした変化は、多くの慢性の健康障害の前兆であり、バイタリティーやエネルギーの低下とともに免疫機能の全体的な減退を起こしている結果なのかもしれない。 また、ワクチン中の異物が体内に入ることで直接起こりうる主な変化は、体内細胞の複製を支配している遺伝物質に生じているのかもしれない。 もしそうなら、これは予防接種のすべての長期にわたる効果の中で、最も恐ろしいものである。
というのは、その場合は予防接種とリンクして細胞に変性が起こってガンに転化する可能性があり、しかも、そうして侵された細胞を〈異物〉と識別し、それらに対する免疫応答を呼びさますように身体を作り変えるからである。 以上の説明で、自己免疫鮎加が起こる道程が理解できるでぁろう。 こうした状態では、身体の義分が自身に対してアレルギー反応を起こし、リウマチ性関節炎(自己免疫疾患)で起きるような炎症性反応に至るのである。
とにかく、こうしてあらゆる反応と変化について見てくると、我々は人間のもつスケールがいかに巨大なものであるかということを心に留めなければならなくなる。 そこで何十億人もの人間の単位で、しかも百年以上の時間的スケールで考えることにすれば、この半世紀の間に行われている努力に対しては酷評を加えざるをえなくなるのだ。
もし慢性疾患が、世界的規模で、幼い子どもたちにおいてさえも劇的に増加−工業国の出産障害の増加と精神的疾患の大量増加−していることを客観的に評凪するならば、我々はこれらの要因と予防接種の間に証明でき、または仮説となるような関連性があるのかどうかについて、評価を始めなければいけない。 そこで、我々は、以下に自ら招いた人類史上最大の災害のいくつかについて、検討することになる。
乳幼児突然死症候群(S−DS)
最初に行う検討は、予防接種と最も悲劇的な出来事、つまり乳幼児突然死症候群(SIDS)との関連の可能性についてである。 突然、予防接種の数時間あるいは数日以内に(中には他の原因との関連性が濃いケースもある)、一見健康である赤ちゃんが突然不可解な死を遂げることを多くの研究者が注目してきた。 しかし、幾度も力を込めて警告と抗議が叫ばれてきたのにもかかわらず、医学団体にも広く公的にも、何ら意識上のインパクトを与えていない。 そのことは、恐ろしい勢いで増加している予防接種に伴う乳幼児の死亡事故が単なる栄養の変化、とりわけビタミンCの補給を導入することでコントロールされるようになったというオーストラリアのよく記録されたプロジェクト(これについては後で詳述する)の報告があるにもかかわらずなのだ。
ロバート・メンデルスゾーン氏は、次のように明確に述べている。 「私の疑念は、職業上の仲間も抱いているが、毎年アメリカで起こっている一万件に近いSIDS死亡は、子どもに定期接種でなされている一つあるいは数種のワクチンに関係があるということである。 百日咳ワクチンが最も悪いようであるが、他のワクチンでもありうるのだ」。 また、ネバダ大学医学部のウイリアム・トーチ博士は、DPT (ジフテリア二白日咳・破傷風ワクチン) は、SIDSの原因であるかもしれないと注意を促している。
彼はSIDSで死亡した一〇三人の子どもの三分の二が、その三週間以内にDPTの接種を受けていたということを報告書の中で述べた。 その多くは、接種後二十四時間以内に死亡したのだ。 「これは偶然の一致ではなく、少なくともいくつかのケースでは因果関係がある」と彼は語っている。 一九七九年テネシー州の予防接種キャンペーン中に、DPT定期接種の直後、人件のSIDSが起こった。 この事件は、特定のワクチンの使用中止という公衆衛生局長官の調停で決着した。 このグループでは、接種後二十四時間以内に五人の子どもが死亡している。 このように非常に強い関連があるにもかかわらず、公的な診断では因果関係は否定された。
この種の官僚式の発表は医療問題では珍しくなく、少しだとしても自身についての配慮を求めている。
かくして、この特殊な事件では、予防接種とテネシーの死亡事件との間に因果関係はないという公的な否定が次の理由、つまり(これとは関係のない)他のケースを分析すると百日咳ワクチンはSIDSを起こしえないと信じられるからであるという理由に基づいて行われた。 けれど、あるケースの関連を示す確たる証拠が他の調査で見出された事柄によって否定することができるというのは、まったく道理にかなわない。 しかし、実際にはこういうことが聾しるのである。
一九八葦ハリー・コ〜タ一覧はホメオパシー協会への手紙で、この実際の状況について、次のように述べている。 「用いられた方法は、〈レトロスペクティプ(遡及的)ケース駁撃であった。 四〇〇例のSIDSが集められ、死亡した赤ちゃんの各々に対して生年月日、出生時体重、人種が合敦する二人の生存している(対照〉が選び出された。 二つのグループの予防接種歴を比較すると、SIDSグループでは八%が接種を受けただけなのに、対照グループでは五六%が受けていたことが判明した」。
CDC(疾病コントロー〜センター)の所長は一九八三年六月、委曇議に対して「このことは、DPT接種がSIDSの原因論において要撃はなりえないという見解を、強く支持した」と言明した。 これに対して、コルター博士とフッシャ美人が大変な困警冒して指摘したのは、この種の事柄については、こうした仕方では何の証拠にもならないということであった。 なにより、二つのグループは十分にマッチしていなかった。 遺伝1、栄養上、医学上その他のさまざまな要因が強く乳児の感受性に影響するのであって、これらは生年月日や人種とは何の関係もない。 子どもが母乳で育てられているか否かというファクターのほうが、免疫学1の障害に脆弱性をもたらす点で、大いに婁なのだ。 この実例は、先にコルター氏が「不思議の国のアリス的な性格嘉びた、科学的真理を求める医学上の業績」
ところで、と述べているものに相当する。 ある研究がカリフォ〜ニア大学ロスアンゼ〜ス校において、食品医薬品局がスポンサーとなって完七九年に着手された。 その結果はアメリカでは毎年約一〇〇〇人の乳児がDPTワクチン接種の直積の結果として死亡し、これらはSIDSとして分類されているということを示した。 そ ぼして、このことは他の研究でも確かめられたのである。
これらは、アメリカで毎年起こるSIDS死亡総数の約一?妄%を表している(用いられた統計によると八〇〇〇人から一万人の間)。
引き続いてこの分野では最も重要な実際的な仕事が、アーチ・カロケリノス博士とグレン・デットマン医博によって行われていた。 それはオーストラリアにおける先住民の子どもについての研究であった。 。 れはカロケリノス博士の著書芸んなボケて哺cに記載されている。 先住民の乳児死亡率は、完七〇年初期に劇的な増加を示した。 完七〇年に倍増し、一九七妄にはさらに増加し、ノーザンテトリーのいくつかの地域では乳児死亡率は】000人当たり五〇〇人以上に達するという様相を呈した。 これはまったく容認し難い水準であり、しかもこの間題に対する解答はなさそうなのでそのときカロケリノス博士は、その地域の内務長官に助言を求められた。 彼はその回答がどのようなものであったかを記載している。 「突然納得できた。 諾々は予防接種キャンペーンを強化していたーとラルフ長官はいったのだった。 助け給え! 私は、キャンペーンが危険なものになりうることを長年知っていた。 しかし私はこれを理解していただろうか?もちろん理解はしていた。 アリスの泉(特効水のある泉)へ行く必要はなかったのだ。 わかった。
保健チームがこの地域にさっと入って来て、先住民の赤ん坊と幼児を並ばせ、予防接種をする。 検査はされず、病歴も取られていない。 栄養欠乏のチェックもないだろう。 ほとんどの乳児は風邪をひいているだろう。 彼らが死ぬのも不思議ではない。
中には予防接種によって、急激なビタミンC欠乏に陥り、数時間以内に死亡した子もいる。 その他は後で(肺炎)(胃腸炎)(栄養不良)を起こして死亡した。 たとえ何人かの赤ん坊と幼児が生き残れても、一カ月以内に他の予防接種のために、再び並ばされるであろう。 これにも幾人かがなんとか生き残れても、また再度並ばされるであろう。 そして彼らは追加接種、風疹接種、ポリオ接種、結核の接種までも受けさせられる。 彼らの死はあまり驚かれない。 生き残ったほうが不思議である」
これはたしかに特殊な人間集団であり、彼らが直面している問題は、他のグループと共通ではない。 彼らの栄養欠乏の程度は、目を見張るほどひどいものである。 しかしながら彼らは我々の日を、SIDS(揺り籠の死ともいう)あるいはこの唆味な悲劇が何と呼ばれるものであろうと、それらの本質をより明白に理解することに向けさせてくれる。 カロケリノスとデットマンが、ビタミンCの栄養補給という簡単な手段で乳児死亡の問題をほぼ完全に解消できたという事実がなければ、メンデルスゾーン博士の考えは単なる推測として忘れ去られたに違いない。 免疫学的ショックあるいは栄養的免疫的相互作用による麻痔と呼ばれるもので死亡していた先住民の子どもの経験とSIDSという先進国に広がっている現象とを関連づけて、カロケリノス博士は次のように語った。 「(揺り寵の死)のあるものは、事実急性ビタミンC欠乏症である。 そしてこれは、食事が適当であっても起こる。 − そして感染予防のワクチンに対する反応が、常に良くない。 まず最初に、ビタミンCの利用が増加する。 そしてとくに食事の欠乏や腸内吸収の不完全なときに、これが欠乏を促進するのかもしれない。 この欠乏が免疫を低下させ、免疫物質が一時的低下を促進する。 肺炎や胃腸炎のような感染症がどうもそうらしいのだが1こうして乳児は、接種後数日に死亡するのかもしれない」
そのメカニズムがどうであれ、ついに今や、栄養上危険な状態にある乳児たちが、予防接種後に死亡することが証明された。 カロケリノス博士は「良い食事でも栄養欠乏があるかもしれない」という。 これはどうしてなのか?一つの解釈として、今や立派に確立された(生化学的個性)と名づけられた知識体系がある。 この知識は、テキサス大学のロージャー・ウィリアムズ博士の著書『生化学的個(♯51)性』に負うところが大きい。 博士はその研究において、次のことを示した。 後天的な理由と並んで、遺伝的な理由によって、我々は皆、ある二疋の栄養素に対して特別な個性的体質による要求をもっている。 そして、それはしばしば我々の二−ズを、同じような年齢や性や環境の人たちよりも何倍も大きなものにしているかもしれない。 まさにこのようにして赤ん坊は、一見バランスの取れた食事でも、十分に供給されない特定の栄養素に対するさまざまな要求をもっているかもしれない。 そして、このことが予防接種によって引き起こされるような危険を受けて、十分に対処できない状態へと、子どもたちを追いやるかもしれないのである。 そこでは、悲劇的なSIDSへとつながる免疫学的ショックや呼吸の不随意運動に当然影響する中枢神経組織の障害を、起こしうるのである。 この状況に対する最良の回答は、いつでも可能なかぎりできるだけ長く母乳を与え、栄養はすべて見直して、欠乏にならないように、食物は(母子ともに)最善の選び抜かれたものにすることである。
*SIDS(乳幼児突然死症候群) の原因は、現在のところ確定されたものはない。 ここで強調されているビタミンCを始めとする栄養の欠乏が主因だとする主張は、考慮に催するとしても、仮説であって、広くは認められていない。 現に突然死する乳児の多くはむしろ栄養状態は最適なのである。 それより目下のところでは、突然死の主因は慢性の酸素不足と考えられているので、うつぶせ寝のときに敷ぶとんを固くするとか、あおむけ寝でも掛ぶとんが顔にかぶらないように注意して、呼吸が楽にできるようにしておくことのほうが大切である。 (毛利)
世界の豊かな西と北の国々では過食による栄養不均衡が問題になり、一方、低開発の国々では食料不足による栄養不足が起こっているのは皮肉である。 アメリカやヨーロッパではSIDSの発生、そしてカロケリノス博士によって記載されたある種の病気の発生、これらの証拠が示すように、両方の世界で、乳幼児は予防接種による危険に直面している。 つまり予防接種に対する神経的反応の証拠についての調査でわかるように、栄養の不均衡は、この現象の根底にある要因なのである。 しかもこうした事態はSIDSよりももっと無限に広がっており、実際極端な神経反応を現し、遂には衰弱、死に至ることがあるかもしれないのだ。 一九八五年にスコットランドで、男の双生児の赤ちゃんの二人ともが、三種混合ワクチン (DPT)接種後二十四時間以内に死亡した。 死後の剖検はSIDSを示唆していた。 そこでワクチンは、一回の生産量分を調べるために、使用禁止となった。 ところが結果は調査者の偏狭な見方を示していた。 ワクチンは純度とその質に影響するかもしれないその他の因子がテストされた。 生物製剤規格研究所の発言では、「これらのワクチンに対する再検査は完全に行われ、何の異常も発見されなかった」となっている。 そのためにスコットランドでは、このワクチンは有効性を認められ用いられるまでに復活した。 当該ワクチンを製造したウエルカム・ファウンデュイションは次のように語った。 「乳幼 g児の一〇〇〇人当たり二・五人は、SIDSで死亡する。 そして乳幼児人口の三分の二が、DPTワクチン接種を三回受ける。 したがって一年間に、偶然ではあるが五〜一〇人の子どもが、接種後二十四時間以内に死亡することが予想される。 とくに双生児のケースは危険である」。 今や、たとえわずかでも輝く知性をもっている人は、もしSIDSがしばしば予防接種の結果起こるならば、当然予防接種と幼児死亡の間に符合する点があると考えることができるに違いない。 もし二つのファクター(幼児死亡と予防接種)が無関係であると仮定すると、会社が発表した疑わしい詰もある程度、辻棲が合うとみなせるであろう。 けれど、証拠は両者にしばしば関連があり、虚弱体質の子どもは直接予防接種に起因する激しい免疫学的ショックのために死亡することもあることを示している。 これがオーストラリアにおいて、大変明確に言明された証拠である。
しかし、双生児は、ほとんど同程度の栄養欠乏になるものだ。 スコットランドの双生児は、イギリス (北アイルランドは別にして) の多くの地方よりもさらに栄養が不足していたようである。 その食事は新鮮な野菜と果物が大変少ない場合と、精製度の高いものである場合とがあったことを示している。 また、栄養欠乏(殊にビタミンC) の内容など母方の健康水準は、子どもに伝わるものである。 上記の双生児では、そのケースであることはわかっていない。 だが、それは、スコットランドの双生児に関しては、一般的に観察されることである。 その可能性は、カロケリノス氏によって書かれた先住民の子どもと同様で、これらの子どもたちは、病原となるワクチンの攻撃から回復する機会はわずかしかない。 したがってワクチンは(正常)であり、だから(安全)であるとされていることは、仮に、あることからワクチンは不完全なのだと判明した場合よりも、はるかに恐ろしいことなのである。 悲劇は続く。
予防接種の結果としての神経と脳の障害
DPTワクチンの効果を取り扱っている主な調査研究の中に、ハリス・コルター医博とバーバラ・ル・フィッシャー女史が、典型的な急性反応の目録を、労を惜しまずに作ったものがある。 彼らは「記録された反応は、多様で薫くべきものである」と語っている。 多くの典型的な軽い反応は、次のものである。 発疹、接種部位の腫脹、軽い発熱、なだめても始まらない泣き叫び、耳痛。 これらは通常一過性(一時期のもの)で、接種担当医によって「正常」と考えられている。 反応がさらに急性で、もっと重いときは、しばしば高熱(四〇〜四〇・六℃)を伴い、同時に虚脱、痙攣、さらには「脳炎性号叫」と記載される特別なタイプの泣き、または、ハイピッチの金切り声の叫びを起こす。 そのような場合には、死亡も起こりうる。 重い反応を起こした子どもは、たとえ回復しても、重篤な慢性の症状を引き起こしているだろう。 これらのうちで最も面倒でないのは、たぶん慢性的な耳の病気、アレルギー(多発性)、喘息、睡眠障害などである。 さらに重い長期にわたる副反応には、精神発達遅滞、小児痙撃(たぶん小発作または大発作)、片麻痔あるいは対麻痺(部分麻痔)、感覚器官の障害(聴覚・言語・視覚の損傷、苧盲の可能性を含む)があるようだ。 これらの感覚の損傷は(小児自閉症〉として知られている状警起こすかもしれない。 その状態では、子どもは人とのコミュニケーションが不可能に育、自2の殻に閉じこもるようになる。 これらよりも少し激しさが軽い状態では、知覚の障害が失語症や多動症を含む学習不能を起こす。 UCLAとFDAの研究(SIDSに関する編ですでに述べた)は、次のことを示唆している。 「DP↑ワクチン接種の結果、不治の神経障害を受けた例が、毎年妻00?二三000起こっている」。 コルターとフィッシャーは、これは災害の規模を低く見積もっての数だと述べている。 そして彼らは次のようにいっている。 「アメリカの学童の約三三〇%は、公的に学習不能に陥っていると分類されている。 アメリカでは、州立学校組織に在籍する約三〇〇万人の子どもの中には、毎年、特別授業プログラムに登讐れる者がいる。 これらの子どもの多くは、百日咳ワクチンによる障害の結果と断言されている。 そしてその程度は、引用された調査の見積りよりもさらに高率である
*学習障害症候群(LDA)が百咳ワクチンに基因すると断定するのは、だいぶゆきすぎだと思う。 現にLDAには脳の異常が見出されない場合がほとんどで、臨床神経学的にもはっきりした異常を認めることも少ないのである。 私は、1DAは教育1の概念で、学校がそうした子どもたちにマッチした授業なり学級運営をしてくれれば、LDAは相当に減少するはずだと考えている。 (毛利)
子どもたちが先天的精神遅滞あるいは先天性発作(疫攣)ありと診断されるのは、
通常生後数カ月であり、その場合、正常発達標準なるものが欠如しているか、達成程
度が遅滞していることが注目されている。 そして、こうしたことは、コルク一博士
とフィッシャー女史が観察したところでは、通常赤ちゃんが生後二、四、六カ月にい
くつかの予防接種を受けた彼のことである。 主要な教育機関で行われた調査が、そ
の結果が他の機関で行われた評価と合わないからというだけで不正確であるというの
は、公平なことであろうか。 もしこれが非常に無造作な方法で行われ、その方法に
検討が加えられていないならば、公平とはいえないであろう。 しかし、これらの方
法はいくつかの確実な実例から疑わしいものであると思われ、しかも彼らが百日咳予
防接種で発生する被害の程度や死亡を非常に低く見積もっているというコルター、フ
ッシャ一両氏の主張をいっそう補強していると思われる。
たとえば、調査はロスアンゼルスの医師たちに、接種後四十人時間以内に起こった
すべての反応を報告するように求めている(二年間以上)。 この場合の疑問は、な
ぜ四十人時間を限度とするのかということである。 というのは、ワクチンの副反応
は、この時間帯を超えては起こらない、ということを示す研究は行われていないから
である。 この期間切り捨ての結果として、接種後まもなく死亡した二人の子どもは
この統計には含まれていないのである。 このうちの一人は接種後四時間以内に発症
し、四日後に死亡した。 これは四十八時間の制限を超える。 他の一人は接種後三
日目に発症し、翌日死亡した。
この子もまた調査からはずされた。 死亡は別として、調査統計に含まれるべきだ
ったが、実際には含まれなかった副反応が他にも多くあった。 この中には、痙撃と
虚脱であった九人の幼児が含まれている。 しかし彼らは「それほど重篤ではない」
という理由で除外された。 さらに十七の症例では、ハイピッチの泣き叫びが顕著で
あると報告された(これは大脳の興奮に関連するものと考えられた)。 これらもま
た調査からはずされ、そうした子どもたちに、長期にわたる障害が残るかどうかを見
極めようとする追跡調査は、まったく行われなかった。 このように、コルター博士
とフィッシャー女史や他の人たちは、公表された結果には批判的であるが、これらの
結果でさえ、ワクチンのもつ非常に有害な副反応を示しているのである。
コルターとフィッシャーは、メリーランド州は別として、医師に、用いたワクチン
のメ」ヵー名、ロットあるいはバッチ(一回の生産量)ナンバーの記録と保存を求め
るという法律がないことに、注目した。 これは激しい反応を起こしたバッチを追跡
しようとした場合それを困難にし、ときには不可能にする。 彼らは「アメリカで百
日咳ワクチンの安全性の検定に用いられているマウス毒性試験と呼ばれるテストのみ
では意味がない。 なぜならば、それは子どもに死亡や脳障害を起こすワクチンの能
力とは相関関係がないからである。 これはもう何十年も前からFDA(食品医薬品局)
やメーカーは知っていることだ」といっている。 毒性に関するより確実な試験法
は、とくに日本において開発された。 しかしアメリカで用いられたそのうちの一つ
の試験法は四〇〇以上の力価があり、したがって、他より潜在的に毒性が強いワクチ
ンの一バイアルを見逃し、いまだに適法として使用可能として残しているのである。
FD.Aだけ、四十年以上にわたる百日咳ワクチンの有害反応を評価しようとして行
ったのが、UCLA・FDA共同研究であった。 その結果は一九八一年『小児科ジャーナ
ル』に発表され、有害反応が発疹から耳への感染、高熱、激しい痙攣、脳障害、さら
に死亡に至るまでの範囲にわたることを示していたが、しかしこの報告書は、一般の
人間には入手不可能であったー・メンデルスゾーン博士(ニュースレターのいわゆる
民衆の医師)はいう。 「おたふくかぜワクチンの価値は非常に怪しい。 というの
は、接種された子どもは罹患する機会を減らすかもしれないが、防衛効果は終生続き
そうもないので、大きくなってからかかって病気の危険を増すかもしれないからであ
る。 おたふくかぜの危険性は誇張されているけれども、男性不妊の確立はほとんど
ゼロである。 なぜならば、まれに起こる華丸炎は、ほとんどが常に一つの皐丸だけ
に起こるからだ」。 そして博士が指摘するように「男は一つあれば、人間を増やし
ていける」
さらにメンデルスゾーン博士は指摘する。 百自咳以外の他の多くのワクチンは、
神経系の反応を起こす可能性がある。 麻疹とおたふくかぜを含む予防接種は、子ど
もを、熱性痙撃(高熱に伴うひきつけ)、片側聾、脳炎など、中枢神経系組織の錯乱
にさらすかもしれない。 これらのリスクは小さいけれども、守られたいと期待して
いる病気の最小の危険状態よりも、はるかに耐えがたいものである。 なのに麻疹ワ
クチンを用いる大きな理由は、脳炎のような麻疹の合併症(それは十分な栄養で育て
られた子どもならば非常にまれなもの)を防ぐということになっている。 たしかに
公的な見積もりでは、麻疹罹患児のうち脳炎を起こすのは一〇〇〇人に一人である。
だが、これは、メンデルスゾーン博士のような専門家によって論駁された。 博士
は批判する「このことは貧困生活や栄養失調の子どもだったら真実かもしれない、し
かし衛生状態にある栄養の良い子どもには関係がない。 そのような子どもでは、合
併症の率は、一〇万人に一人よりもっと少ないと思われる」。 カロケリノス、メン
デルスゾーン両博士の主張するように、真実は、ワクチンそのものが脳炎だけではな
く亜急性硬化性全脳炎(これは脳物質を固くして、通常ほとんど致死的である) の
ような他の重篤な状態を高率で起こすということである。 麻疹ワクチンはまた、運
動失調(運動調整機能の欠落)、精神発達遅滞、髄膜炎、痙攣、片麻痺などの重篤な
反応を引き起こすかもしれない。 これらは接種後短期に起こる可能性のある反応で
あるが、後で述べるように、たとえば多発性硬化症にみられるように、長期にわたる
神経退化の危険性も、麻疹ワクチンに関連性がある。
しかも、こうした主張は、麻疹ワクチンに防衛効果すらなく、麻疹の罹病率の減少
はワクチンの使用とはあまり関係がないという山のような証拠に直面して出されてい
るのである。 事実、アメリカの麻疹患者数は、一九五人年八〇万人だったが、ワク
チン導入の前年の一九六二年には五〇万人に減少した。 そしてこの減少は導入後も
続いているのだ。 我々はすでにポリオワクチンについて、また生ワクチンと死菌ワ
クチンと、どちらがより望ましいか(第三章)ということについての議論を、簡単で
はあるが調べてきた。 我々が見たように、両者ともに危険が伴う。 死菌ワクチン
の開発者ジョン・ソーク博士の見解は、セービン博士の開発した生ワクチンに関係す
る部分に限り、たぶんに興味深いものがある。 ソークは『サイエンス』の一九七七
年四月四日号に次のように書いている。 「ポリオ生ワクチンは一九七二年以来、ア
メリカ国内での麻痔性灰自髄炎の増加の主な原因である。 このようなケースの発生
を避けるために、ポリオ生ワクチンの定期的な使用を中止する必要がある」Jこぼ不
幸にも我々はソークワクチンについての、セービン博士の見解を入手していない。
博士の見解は、前述のことなども考え合わせると、どちらもけっして用いるべきでは
ないとの結論に我々を導くものあった。 彼はグラスゴー大学公衆衛生学教授として、
同僚と翌してもへこたれず、ワクチンを使うことには寔しがたい危険があるというの
で、強く反対した。 ワクチンには固有の危険があるばかりでなく、防衛するのにも
不適当であると強調した。 妄八範に彼は次のように書いた。 「官咳ワクチンは
三種混合ワクチン≠ニして、ジフテリア、破傷風主ソイドとともに接警れた。 一九
五七年の導入である。 このワクチンは一九六〇年までは七〇%の乳幼児に、垂ハ九
年までにはすべての子どもの七〇%以上に接種された」「この予防接種プログラムは、
公衆衛生研究サービスによって一九五七1ハ八年の間モニターされた。 一九六九年
にこのワクチンは、葉の抑制にも、また十分に接種された子どもを感染から守ること
にも失敗したという理由で、〈あまり効果がない〉と報告された。 このとき以来接
種された子どもの割合は八〇%以上に増加し、百日咳は漂皇症産も軽減を続けたと記
録されている。 しかし同時に、十分に接種された子どもが百日咳にかかるばかりで
なく、ワクチンの激しい副反応が間讐懸念を起「もしアメリカとイギリスで、百日咳
ワクチンが単独で(三種混合の一部としてではなく)接種されヱガ 第五章 予防接
種による急性の害作用であろう。
イギリスでは、官咳ワクチンの使用に反対す皇要な発言は、ゴードン・スチュアー
トのそれで
た初期のテスト期間に事件について論及されていたならば、百日咳ワクチンを含めた
ことが三種混合ワクチンを心臓や神経組織に関連した副作用をより起こしやすくした
らしいということを明らかにし 脚ていただろう。 このような反応にはショック、
衰弱、金切り声をあげる痙撃などがあり、これらすべては、百日咳ワクチン単独試用
中に接種された子どもの中に記録されていたのである」「この間題には、さらに光が
当てられた。 ハンブルグのW・干レングート教授と、重症小児病院のジョン・ウイ
ルソン博士とその仲間がそれぞれ独立に、三種混合ワクチンの副反応が起きた直後の
子どもたちの中に、重篤な脳障害の兆候が現れ始めている子どもがいる、ということ
を報告した。 ほぼ同じ頃イギリスの異なる所から、幾人かの子どもたちに関するい
くつかの情報が、報道関係に寄せられた。 それは、以前は健康だった子どもたちが
三種混合ワクチンの接種直後に、精神的発達遅滞あるいは麻痔を起こしているという
ものであった。 これらの報告に対して、政府は諮問委貞会の勧告で、百日咳ワクチ
ンの有効性と安全性を再び肯定し、このワクチンは、三種混合として継続されるべき
でぁるといい張って抵抗した。 また、感染症が防げるならば、すべての年齢の子ど
もにワクチンの高接種率が保たれなければならない、ともいい張った」一九七四年当
時、ワクチンの接種率は全体として約八〇%、まれには七〇%を下回ったり、しばし
ば九〇%を上回ったりであった。 百日咳のその頃の最後の流行は、一九七〇〜七妄
であったが、流行は二丁四年ごとに繰り返し起きやすいものなので、次のは一九七四
〜七五年に発生すると予想され、事実そうなった。 これは百日咳ワクチンの効果を
見直す機会を提供した。 まもなく次のことが明らかになった。 防衛力はやはり不
完全で、最もひいき目に仮定しても、当時公表されたすべての報告では、発病者のう
ちのかなりの割合(三〇〜五〇%) で、完全に予防接種を受けていた子どもたちに
起きていた。
スチュアート教授は説明を続けて、「この方法で接種された子どもの脳障害の報告
は、一九七〇年代初期に懸念の声が起こるまで続けられた。 ワクチン被害児への補
償は一九七八年に導入された。 一九七〇年代には三種混合ワクチンは百日咳を混ぜ
ないで、代わりに破傷風とジフテリアだけのt一種混合ワクチンとして接種された。
流行が来るという予測によって、多くの医師は百日咳ワクチンを復活することに駆
り立てられた。 実際に一九七七〜七人年から七九年にかけて大流行が起こったとき、
この危険は確認された。 しかし百日咳に罹患した人の数が増えているにもかかわら
ず、死亡率は過去最低であったことが注目された。 罹患者は非常に高率に予防接種
を受けていた。 同様なパターンは海外でも起こった。 百日咳がなくなりつつある
という反村がある一方で、カナダとアメリカでは百日咳ワクチンは広く用いられてい
た。 それにもかかわらず一九七四年に大流行が起こったとき、罹患者の三〇%から
五〇%の人が十分に接種されていたことが判明した。 西ドイツでは、毒性と事故へ
の懸念の結果、ワクチン使用を断念する地方があった。 たとえばこの事態になった
ハンブルグではワクチン中止後、患者数も発生率も全然遠いがなかったことが注目さ
れた。 よく似たパターンがイタリアとエジプトで浮かび上がった。 そこでは、多
方面にわたる予防接種をしていないのに、患者数は減少を続けたのだ。
スチュアート教授はこうした経過についての調査を、次の言葉で締めくくった。
「私の四人の子どもたちは、一九五丁五大年に規定の方法で予防接種を受けさせたが、
自分で経験と調査を行った今 招となっては、子供に接種させようとは夢にも考えな
い」。 これに関する彼のステートメントは、明白で率直だ。 「イギリスで、数千
ではないとしても、数百人の健康な子どもが、不必要に回復不能の脳障害を被った。
そして彼らと両親の一生は、そのために破滅させられたことは、疑いのない事実で
ある」
子どもを守るために行われている予防接種で、かわいいわが子の一生が破滅させら
れるのを手をこまねいて見ることほど、深刻な胸のつぶれるようなことがいったいあ
るであろうか。 これはなんと苦悶に満ちた悲惨な事態を引き起こしたものだろう。
神経学的な障害は、ほとんどが死よりもさらに悪い事態である。 植物人間と化し
た生ける屍のわが子は、それを経験しない人には想像を絶することである。
百日咳ワクチンの副反応の程度は、ビンセント・フルギニッツ博士(アメリカ小児
科学会議長、感染症委員会委員)が、丁九七大年に「現代予防接種実施の論点」とい
う論文に書いている。 彼のコメントの中には次のようなことがある。 「(百日咳
接種を受けた)被害者の中の任意のグループについて、すべての合併症を組織的方法
で、周期的に記録することが試みられた。 その結果、効果については記録とは異な
っていた(第四章参照)。 スウェーデンのストロームは、百日咳ワクチンの被接種
孝二万五〇〇〇人の中の接種後の重要な神経疾患の三十六例を詳細に記載している。
これはおよそ六〇〇〇人に一人の割合である。 さっそく彼は、データの再検討に
着手した。 分析の結果は五〇〇〇人に一人であることを示していた。 他の国の見
積りは、ゼロから一〇万人に一人と、さまざまである。 驚いたことに、アメリカで
は、すべての子どもに接種を勧告しているにもかかわらず、副反応はないということ
である」(注) アメリカでは一九七九年から全米にわたる副反応サーベランスを実
施し、多くの副反応データを得ている(訳者)。
フルギニティ博士は、取るに足りない程度のものと重篤なものと、両方のすべての
副反応の総数を入手して、次のように報告した。 「ある医療調査審議会の報告書で
は、すべての副反応の総数は接種者の七〇%であった」。 博士は引き起こされた重
篤な症状とワクチンとの関連に、なぜ疑いがあるのかを説明している。 「混乱させ
られる要因は、予防接種の実施と不幸な出来事とのあいだの時間的関係である。 ワ
クチンが中枢神経組織を侵襲したり他の面倒な症状を呈したりするのに可能な時間間
隔はどれほどなのか?
ストロームが記録した数人の患者は、接種後一週間に最初神経疾患を発症した。
この病気はワクチンと関連があるのだろうか? 多くの専門家は、接種と脳症の始ま
りとの間隔が二十四時間なら認める。 脳症の始まりが二〜三日と推定されるわずか
な例があるが、それだけが認めうる遅れである。 しかしどのような間隔に対しても、
完全な証拠はまったくない。 事実、百日咳後の脳症の性質そのものは、子どもが死
んだ場合でも明白ではない。 このような病歴で回復した患者についても、百日咳ワ
クチンと神経疾患との関連の確実な診断法はない。 この合併症の問題に混乱が存在
することは、ほとんど不思議でも何でもない」
しかし、なんとしても、わが子を永久に脳障害者にされた両親、あるいはこのよう
な予防接種を受けてから数日以内にわが子を死なせてしまった両親が、「関連がある」
と感じるのもまた、ひとつも不思議ではない。 いくら医師たちが否定しても、悩む
のは患者であり、公衆であるからだ。 公衆が子どもたちを危険にさらすのを拒んで、
特別に免疫付与のこの形式を用いることに反対するのもまた当然なことである。
こうして百日咳予防接種が、さまざまの災難を引き起こすので非難されている以上、
現在の定期接種はただちに中止されるべきなのである。 他のワクチンに反対する証
拠は、神経障害に関するかぎり、あまり明確ではないかもしれない。 もっとも、明
白な証拠が欠如しているからといって、ワクチンは疑わしくないといっているわけで
はない。 我々が長期間にわたる障害(たとえば接種から数年後にならないと症状を
示さない障害)について、後の調査で見るように、他のワクチンにも反対する証拠は
ある。 もし我々がスチュアート教授、メンデルスゾーン博士、カロケリノス氏とコ
ルター氏の証拠を一緒に入手したならば、懸念に対するまったく話にならない理由と
実例に対する回答を攻撃できたのである。 けれども、事態は、予防接種の祭壇に(い
けにえ)にされた脳障害の子どもたちにとって、あまりにも遅すぎた。 たとえどん
なに動機を正当化しようとも、障害者にしてしまったという十分な証拠の前には、不
適当で犯罪的な無感覚についての一章をなすほどの大問題である。 それはけっして
二度と起こしてはならないのだ。
次に我々は、予防接種の他の副反応に関連する証拠のいくつかを検証する。
この副反応は、脳障害とか死亡よりはいささか悲劇性は劣るのだが、しかし、しば
しば子どもに影響して重い障害を与える。
その中には免疫機能障害、ある型の予防接種に伴う関節炎と疑関節炎といったケー
スがある。
免疫組織を健全に保つ鍵の一つは、体内のリンパ球の中のTヘルパー細胞とTサプレッサー細胞と
の割合である。ヘルパーTリンパ球は抗体形成においてBリンパ球を助け、またTリンパ球によるり
(注9)
イルスあるいは腫瘍細胞を破壊する機能を援助する。
サブレッサーTリンパ球は、どのような抗ウイルス、抗腫瘍活動に対しても、応答の程度を加減し
統制する。これら二種のリンパ球は、協力して免疫機能を調整しているのである。T細胞の約六〇%
はヘルパーで、二〇〜三〇%がサプレッサー細胞である。この割合は非常に重要で、もしこれに変化
が起こると、免疫組織が激しく損傷された症状を呈するに違いない。
ヘルパー、サブレッサー間の割合は、エイズ(後天性免疫不全症候群)の初期の兆候を評価する重
要な方法の一つである。『ニュー・イングランド∴ンヤーナル・オブ・メディシン』(一九八四年一月
十九日)は次の報告を伝えた。「定期の破傷風追加接種の効果を決定するために、二人の健康な人
のヘルパーとサブレッサーの両Tリンパ球の割合が研究された。この決定のために用いられた方法は、
接種前と接種後の間接免疫蛍光研究法という精巧なものであった。その結果、周合は、(健康な)被
験者の一一人の中の四人に顕著な低下を示した。接種後三日と十一日の間で最も低いレベルに達し、
その後は正常な割合に戻った。この効果は一時的なものではあるが、免疫機能への激しい影響を示し
ている。これと似たどんな影響が乳幼児の体内で起こるかということが、将来の研究課題として残さ
れている。しかし、次の結論を避けることはできない。すなわち、乳幼児がとくに生後一年以内に否
応なしに受けさせられる、一つあるいは他のタイプの、繰り返される予防接種が、ヘルパーとサブレ
ッサー両細胞の比率になんらかの程度の変化を引き起こすに違いないのだ。これは幼い子どもたちに、
アレルギー反応が増加している要因でもありうるのである(これについては、この章の後で述べる)」
このような反応は、医師仲間ではモ:ターされないままである。だから、この点でも、子どもに接
種をするようにといくら助言されても、注意深く考え検討するべきなのである。
関節炎と風疹ワクチン
風疹は重い病気ではない。であるのに、子どもを守るように計画された予防接種(それは効果がな
いと思われる)の副反応は、実際のところしばしば大変激しいものだ。それには関節炎、関節痛そし
て多くの神経が焼けるような、うずくような、感覚を失ったようになる多発性神経炎の痛みなどの症
J46
状がある。これらの症状は通常、持続時間が限られているが、数カ月は続くかもしれないし、予防接
種後数カ月までは発症しないかもしれない。こうした現象は、いったい、どのくらい広がっているの
だろう。なんともいえないが、強力な証拠の一端がアメリカから雑誌『サイエンス』(一九七七年三
月二十六日) の報告としてやって来た。「アメリカ保健教育福祉省は一九七〇年に次の報告をした。
国の試験計画で、風疹の予防接種を受けた子どもの二大%ほどが、関節痛あるいは関節炎にかかった。
多くの子どもは医療手当を受けなければならなかった。そして何人かは、.リウマチ熱とリウマチ性関
節炎の検査のために、入院させられた。ニュージャージー州では同じ試験計画で、仝接種児の一七%
に関節炎や関節痛が発症した」。この格式の高い雑誌は、続けて次のように指摘した。「昨年を通じて
全米で八十七件の妊婦の風疹感染による先天性出生障害があった。しかし前に引用した数字は、ニュ
ージャージー州だけで三四万人の子どもが病気に対する防衛手段という美名によって重い健康障害の
危険の崖っぷちに立たされたこと、そしてその病気では前年に同じ州でたった十二件の出生障害が起
こっただけだったということを示している。このことは、すべての証拠が否定している予防接種が仮
に価値のあることを示しえたとしても、まったく割に合わない」と。また、他国の報告も、風疹ウイ
ルスは関節痛発症に関連することを示している。たとえばグレン・デットマン医博は『予防接種の危
(♯53)
険』という本の中で、次のことを引用している。カナダで風疹ワクチンを接種された大人の三〇%が、
四週間以内に関節炎の発作に見舞われた。中には強度の四肢の障害になった者もいる。デットマン博
士は、生きた風疹ウイルスは、子どもとリウマチ性関節炎にかかっている大人の三分の一に見出され
J47 第五章 予防接種による急性の善作用
ごユー・イングランド∴ンヤーナル・オブ・メディ浦姥』は、「小児の慢性関節炎に続発した持続 淵
性の風疹ウイルス感染」と題する調査報告を掲載した。この報告は次のことを確証している。「風疹
ウィルスの感染あるいは予防接種は、急性の関節膜炎を引き起こすことが明らかになった。それは通
常は一過性であるが、一部の人で急性期の後、数カ月あるいは数年間にわたり再発する。また風疹の
予防接種を受けた子どもの侵された関節から、接種後何カ月も経過した後でも、しばしばウイルスを
同定することができる」と。さらにこの報告は、予防接種後の関節炎が慢性化した女性の末梢血から、
ウイルスが同定されたことも述べている。
正常な接種後の反応だったけれども、接種後八年もして、彼女たちの血液中にウイルスが見つけら
れた。これが、多くの人の慢性の関節症の説明となりうることを示している。子どもでは、慢性の関
節の病気にかかった子の三五%以上がリンパ細胞に風疹ウイルス粒子を保持している、ということが
わかった。青年期のリウマチ性関節炎はとくに恐ろしい病気で、若い関節を永久に破壊する。そして
これが予防接種と関連しているということが、両親と医師の両方にものすごい不安を生じさせている
に違いない。この報告に善かれている女性たちは、風疹にかかると障害児が生まれる危険の可能性が
あるので、それを予防するために接種を受けたのだ。こうした場合には、母親に対して危険があって
も、なんらかの重要性をもった決断が必要であると思われる。この調査で、風疹ウイルスの存在と関
連するものとして注目された病気のタイプには、青年性リウマチ性関節炎、脊椎関節炎、多発性リウ
マテ性関節炎などがある。このウイルスは健康な人、機械的な関節障害(過労、怪我など)、他の結
合組織の病気の人には見当たらない。このウイルスと関連があるという評価の中に含まれる人々の大
半は、過去に予防接種を受けていた。この病気について、すべての人ではないが、検査された組織内
にワクチン粒子が広く見られるという事実は、体内のどこかにワクチン粒子が存在しているというこ
とを除外しては考えられない。これは、他の予想できないような場所が、これらのウイルスの主な棲
みかであるかもしれないことを示している。というのは、兎では風疹のウイルス粒子が、ヒアリン軟
骨組織中に、密度高く見つけられたからである。もし人間の軟骨ならばそれを解明する手術をしよう
としても、研究者の承認は容易には得られないような場所にである。この証拠は、子どもや大人のあ
る種の萎縮性関節痛の発生に予防接種の果たす役割を、圧倒的に支持している。
ノーベル賞受賞者、ジョン・エンダース博士は、ヲーユー・イングランド・ジャーナル・オブ・メ
ディシン』で次のように書いている。幼い少女は予防接種をしても、大きくなって風疹にかかること
がある。なぜなら、予防接種は部分的な防衛を与えるだけで、自然にかかった風疹が再感染を十分に
防ぐ力を与えてくれるのとは違っているからである。
また、中には特定の病気に村する予防接種が、後に同じ病気を修飾された形ではあるが発症させる
と思われるような状況を引き起こす。麻疹がこのような例である。下記の一連の出来事が、『ジャー
ナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション」に掲載されている。アメリカでは麻疹死
菌ワクチンが、一九六三年から一九六八年の間、麻疹対策として用いられた。約七五万人の子どもが
J4タ 第五章 予防接種による急性の喜作用
この予防接種を受けた。おびただしい数のこれらの子どもたちが、今や若者として、「非定型麻疹」
といわれるものに直面している。そういう現れ方は大変困った病気の型である。そこでは、予防接種
のために免疫反応に対する障害が起こり、その結果、麻疹ウイルスに対する感受性の高まりが生じて
いると思われるのである。「非定型麻疹」 の出現は、予防接種導入後十六年経って注目された。この
方法(生後十二カ月以内)で接種された子どもの約五〇%が免疫組織に損害を受け、この特定のウイ
ルスに反応する能力に永久的な改変を起こしていると見られる。このことが他の微生物に正常に感応
する能力にまで影響するかどうかはわかっていないが、動物での研究によれば、その可能性は強い。
否定型麻疹はしばしば、腸炎を引き起こし、その可能性が予防接種を無価値にしている。次のステー
トメントは、アルバート・アインシュタイン医科大学のウイルス学者マーシャル・ホロビッツ博士の
ものである。「免疫機能がいつストップするかを予測する手段はない。初回の接種後、時間の経過と
ともに、それが低下してゆくとは予測したくない。報告されない非定型麻疹のケースが、おそらく数
百(あるいは数千)もある。そして医師はロッキー山紅斑熱と診断して混乱している」。もし医師が
混乱しておれば、一般大衆も混乱することは明らかである。
麻疹とは違い、近代工業社会では、もしこのような病気にかかっても、これに対して効果的な抗生
物質がある。我々がすでに見たように(第三、四章)ジフテリアに対する予防接種の効果は極端に疑
わしい。それにもかかわらず何千万もの接種が、毎年この病気に対してなされている。流行はまれで
あるのに大勢の「免疫ができた」はずの者が発症し、すべての予防接種に固有の危険によって、弁護
J5P
の余地のない状況が作り出されているようである。しかしながら近代医学の独断は、このようなやり
方を継続することを求めている。種痘は、その病気自体なくなった後も、子どもの命を軽視する行政
のために長年にわたって続けられ、一九六一年までの二十八年間に、五歳以下の一一五人を下らない
子どもを死なせるという時代錯誤の悲劇を生み出している。いいかげんな行政行為で ー。この間に
イングランドとウェールズで生まれた子どもの一人たりとも、天然痘では死んでいないのにである
(保健大臣の議会答弁…一九六三年十月二十四日)。同様な状況は今でも続いており、アメリカで報
告された大半のケースは、少なくともポリオワクチンに関するかぎり、予防接種の直接の結果だとい
いうるのである。
病気の発症原因
歩みがスローダウンして、益になるよりも害を及ぼしている予防接種が中止されるまでには、まだ
長い年月が必要であろう。
ここではジフテリア予防接種のケースについて述べる。統計的証拠は、ジフテリアの発症が予防接
種の始まるずっと前から減り続けていることを、圧倒的に示している。ジフテリアのような予防接種
の最も奇妙な副反応の一つは、ポリオのような、他の型の感染発生を刺激することである。サー・グ
ラハム・ウイルソンは一九六七年、彼の著書『予防接種の災害』 の中で、いわゆる「病気の発症原
J古J 第五章 予防接種による急性の善作用
因」について論じた。病気は、予防接種を受ける人の体内にすでに潜伏する感染が存在する場合に起
きるのであって、その感染がただちに発症につながるか、あるいは身体の防衛機能が発症に至らない 畑
ようにうまく処理するか、どちらかである。もしそのような時期にジフテリアに対する予防接種を受
けたならば、他の病気(例えばポリオ)の潜伏期が早められたり、あるいは活動性の病気として今ま
で考えられていなかった潜在的な感染症が活性化され、この微生物による感染症状が急性の形で現れ
るかもしれないのだ。そして、この型の発症原因が最も注目された二つの病気が、腸チフスとポリオ
なのである。
サー・グラハム・ウイルソンによると、他の病気も同様に、予防接種によって活性化されることが
ある。「結核やリケッチア感染症のような他の病気でも、こうしたことが、起きているかもしれない
ことを示す証拠がある」と彼はいう。ジフテリアや百日咳の予防接種直後にポリオが発症したという
報告が数多くある。このような感染による麻痔は、接種された手足に起こることが注目されている。
もし感受性のある人(たとえば栄養失調とか、全般的にバイタリティーや健康状態が低下している
人)に、潜在的にウイルスが存在していると、さまざまな症状が起こる可能性がある。
(♯56)
『ニュー・イングランド・オブ∴ンヤーナル』の論説は、インフルエンザワクチン接種に起きる「髄
膜脳炎(脳の炎症)」について、論じている。∵」れはウイルスによって神経組織が侵害された結果で
あり、そのウイルスは、神経組織にかくまわれていた潜在ウイルスで、ワクチンによって活性化され
たと考えられる。どうも潜伏するウイルスを発症させるのは、すべての予防接種が潜在的にもつ危険
であるらしい。
病気発症のメカニズムについて、ウイルソンは次のように示唆している。「注射されたワクチンの
活動の様相は、疑いの目にさらされている。最も可能性のある説明は、それは固定腫瘍のように働き、
血液中で循環しているウイルスが接種部位にいつき、そこから神経繊維を経て脊髄へ向かうというも
のである。ワクチンの刺激作用が強ければ強いほど、ますますこうしたことが増えると思われる」
だから我々は、一つの病気を防ごうとして、子どもの体内に棲んでいるかもしれない他のウイルス
粒子の活動を刺激して、恐ろしい結末を招くという皮肉なことを行っているのである。しかも、この
ような潜在状態がいつ作用するか、知るすべはまったくない。したがって、予防接種がこの種の発症
原因を作り出すかも、まったく知るすべはないのだ。
なお、ウイルソンの説とは別に、次のような可能性もある。ワクチンが防衛物質(TとBリンパ
球)を支配しょうとするので、免疫組織がこれを阻止し、防衛物質の働きを補完しょうとするために、
予防接種に先立ち、組織がすでに取り組んでいた微生物を適当に処理し続けることができなくなるの
かもしれない。リンパ球は活動力を失って、他の毒素や感染源に対して効果的に反応することができ
ない。もし子どもが何回も繰り返して、予防接種や追加接種を受けさせられると、免疫学的に活性の
ある細胞の全体的な保持ができなくなると考えることができる。皮肉にも防衛力の弱体化は、防衛力
増大への努力の結果、起こると考えられる。さらにこれは、新鮮な果物や野菜をほんの少ししか食べ
ず、栄養摂取の主なものとしては一種類かそこらの精製された(ビタミンを除去された)炭水化物し
j丘ヲ 第五章 予防接種による急性の喜作用
かない多くの子どもたちに見られる一般的な栄養不足によって、輪をかけて強められるのである。
インフル工ンザ予防接種の反応
個人の経験としてその病に侵される以外には、ほとんどの人は聞いたことのない病変に、ギランバ
レー症候群がある。これは神経の炎症によって神経組織が侵されるという進行経過をたどる大変ひど
い病気である。感染は微生物の広い分布のために起こり、あらゆる年齢層の男女のいずれにも起こる
可能性がある。それは通常呼吸器感染に引き続いて起こり、急速に悪化する。すべての四肢が麻痔し、
その麻痺は通常対称的に現れる。人工呼吸がしばしば必要となる。
ところが、一九七六年アメリカのインフルエンザ流行(豚インフルエンザ)に際して行われた集団
接種の期間に、このギランバレー症候群の大量増加が起こり、注目を集めた。全国的な強い抗議が起
こり、後でスキャンダルに発展したにもかかわらず、専門家たちはこの事実に関して、無視しようと
へ♯57)
した。この悲劇の結末として求められた莫大な賠償要求のために、インフルエンザに対する集団接種
の希望者は減少し、インフルエンザ予防接種固有の危険性についての大衆の意識が大いに高まった。
(♯58)
医学誌『国際医療年報』一九八二年掲載の次の意見は、このワクチン禍が医学的思考を導いてきた過
(注10)
程を示している。「患者の体内で、豚インフルエンザワクチンの抗原が、ミュリンの塩基性タンパク
質に対する免疫応答を呼び起こすことは、可能だろうか? − これらのタンパク質は、ギランバレ
j54
ー症候群を発症した患者の末梢神経を取り巻いているし、また多発性硬化症によく似た症状を発症し
た患者では、中枢神経を取り巻いているのである。これが可能であるとし、また我々が後で触れる他
の可能性をみれば、原因(あるいは治療法)がまだ発見されていない病気の中には、ワクチンが引き
起こす免疫組織への悪影響に源泉をもつものがあるかもしれないことがわかる」
にもかかわらず、政府は、豚インフ〜エンザワクチンの最初の事故の数年後に、第二次計画をスタ
ートさせようとした。幸いなことに、議会はこの承認を否定した。政府案に含まれている財政的配慮
は、ワクチンメーカーへの賠償と、それと同時に賠償金として約四億ドルを支出するというものであ
なぜアメリカ国民が最初は集団インフ〜エンザ予防接種に殺到したのかは、この日的のために人々
に不安と熱意を撃」させる、そのやり方を見ればわかる。一九七六年二月ニュージャージーの陸軍の
キャンプで、インフルエンザのちょっとした流行があった。報告によると、激しい訓練に参加した後
で、消耗しきっていた若い兵士が肺炎で死亡した。キャンプにいた一万二〇〇〇人のうち約五〇〇人
が、「豚インフルエンザ」と診断された(病原体は豚インフルエンザウイルスA/Nl/76と名づ
けられた)。そのキャンプにいた他の数人も、当時アメリカで多くの人が罹患していた他のインフル
エンザウイルスに感染していたことが注目された。このニュージャージーでの流行は、数百万人が死
んだ一九丁八⊥九年のインフルエンザのパニック的な大流行のときのウイルスに非常によく似たウ
イルスによって起こされたことが報道された。この類似と兵士の死は、この伝染病がぶり返したので
Jお 第五章 予防接種による急性の喜作用
はないかという恐怖を巻き起こした。最後にはフォード大統領の次の放送で結末がついた。「連邦政
府は約一億三五〇〇万ドルをワクチン開発を援助するために充当し、合衆固の仝居住者が予防接種を 輔
受けられるようにする」
早々のワクチンキャンペーンは、大多数の人たちに穏やかな反対論を引き起こしたが、中には鋭く
反対した者もいた。この声明は、ワクチンメーカーへの補償を担当する保険会社に拒否される結果と
なった。そこでメーカー側は連邦政府に保険金の給付をアピールし、承認された。これが、プログラ
ム全体は安全であるとの推測を広く与えたのである。同時に、パンデミックがどのようなものであっ
たかについて、種々の質問が提出され始めた。インフ〜エンザは半世紀の間ほとんど変異を示さず、
一九一人〜一九年の流行時の高い死亡率は、たぶんウイルス自身の毒性のみではなく、他の因子も加
ゎった結果であったと思われた。これらの因子は、ウイスルよりも第一次世界大戦後の栄養欠乏とス
トレスにより関係するかもしれない。ギランバレー症候群を含めた激しい副反応の発生もあって再評
価が行われ、予防接種計画はいったん停止された。ワクチン被害者による賠償請求を訴えられたとき
のメーカーの恐怖が、キャンペーンを止めさせた大きな理由であると思われる。ニュージャージーの
流行は、通常のA型インフルエンザウイ〜スよりも毒性が弱かったこと、そして伝染の危険もわずか
であったという事実が、後日の研究で判明した。若い兵士の死は、ウイルスそのものよりも彼の消耗
状態に大きく起因したと思われる。忘却のかなたに去ることが望ましいが、予防接種によって命を奪
ゎれた人々は別にしたとしても、歴史の中に恥ずべき大失敗が持ち込まれたのである。
ところで、身体の免疫機能は、感染だけに関係するのではなく、悪性の病気に対する監視の第一線
にも関係している。もし免疫能力が減ったならば、その力は弱体化され、ガン発生の大きな機会とな
る。我々がこれから見るように、これはすべての種類の予防接種のもたらす大きな危険の一つかもし
れない。ワクチンは全面的な免疫効果減少の要因であると同時に、細胞の遺伝物質を変異させる原因
であると非難されている。集団接種によるこうした結果を総合して判断すると、子どもにおける悪性
疾患の増大傾向の陰に予防接種があるのではないかという疑念を起こさせるのである。体細胞の中で、
変異が免疫組織に体細胞を(異物)であると識別させるような方法で起きると、その危険は、リウマ
チ性関節炎のような自己免疫疾患を引き起こす可能性があるといわれている。このような状態で注目
される変化がさらに続くと、それは免疫異常と呼ばれるものになる。これにはたとえば、胸腺が関係
するかもしれない。胸腺は、リンパ球内で特殊な変異を起こして、身体の防衛能を強めるホルモンの
分泌をつかさどっている。胸腺から出るチモシンがなければ、T細胞は我々が期待するような高度に
専門化された戦士にはなれない。しかし、このような免疫機能が、ワクチンによって人工的に刺激さ
れることによって、その効果をどれほど長期間生み出すかについては、この段階では知るすべがない。
多くの研究者たちによって次のことが強く示唆されている。「ある人に副反応が重なって起きると、
免疫機能が自己免疫反応を起こして、自身の体細胞を狙って働くばかりでなく、同時にTリンパ球の
機能に異常をきたすかもしれない」。これらの変化は両方とも予防接種の結果としてありうるのだ。
小児ガンの増加は、予防接種が主たる原因でありうる一つの重要な分野である。
Jβ7 第五章 予防接種による急性の喜作用
また、免疫棟能の他の変異は、自己免疫疾患をもたらす。工業化世界で非常な広がりを見せている
アレルギーの増加については、全体として、あまり考察されていない。けれど、このような変化は、
たった一つの原因だけで起こるとは思われないし、おそらくもともと多くの原因があるのだろう。多
くのアレルギー専門医は、今日の子どもたちに多く見られるアレルギー症状群の膨大な隊列と、ワク
チンで毒性の異種タンパクを用いることとの間に、関連があると推測している。実際にそのとおりで
あることを示す証拠がある。たとえばインフルエンザ予防接種を受けた大人に、アレルギー症状が悪
化することが観察されている。ある調査では、それが接種された七人中六人に起こったことが注目さ
(♯59)
れた。また接種後に悪化が観察されたさまざまな他の症状として、高血圧、糖尿病、痛風、パーキン
ソン氏病などの悪化がある。しかし、アレルギー因子が、最もひどく悪化するようである。
アレルギーは、身体の一部に、過度で不快な反応を現す。アレルギー反応の主たる媒介者として免
疫組織があるので、それが機能する方法とそれに作用する事態との間には関連があると考えることは
不合理なことではない。現在、人間の生命に求められている一大局面は、ワクチンの形で非常に早い
時期から体内に持ち込まれる毒性の異物に対処することである。我々はこの章で、何種類かのこうし
た物質を使用した結果として現れた死亡や病気について、予想される結末のいくつかを見てきた。と
(♯60)
にかくアレルギーは増加している。そのことは、『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に掲
載されたような調査によって、証拠立てられている。この調査は、一九七〇年のある一週間に生まれ
た約一万二五〇〇人の子どもたちのうちの一二%強が、滞五歳になるまでに、アトピー性湿疹になっ
J∬
たことが報告されたという事実を示している。これは↑二年前に行われた同様の研究結果の二倍以上
である。これは事実であり、証明可能である。しかもアレ〜ギーは増え続けている。もちろんワクチ
ン以外の他の要因もある(ダイエット、不潔、麻琴特殊なケースの抗生物質、そして母乳栄養の減
少)。しかし予防接種は、蒜大衆に健空の変化を起こす主要原因として、強力な聾者である。
ロバート・メンデルスゾーン博士は、次のような巧みな質問をしている。「自己免疫疾患は、身体
の防衛横棒が侵入して来た異物と普通の体組織との識別ができなくなり、身体そのものを破壊し始め
る病気であると、単純に説明できる。我々は、おたふくかぜや麻疹を、ガンや白血病と交換してきた
のだろうか?このような恐ろしい結末がどうして起こるかについてある種の理解を得るために、こ
ういう慧に導く予防接種の結果として、体内の細胞で、いったいどんな変化が讐るのかを示す証
拠に、我々は注目しなければならない」
*アレルギーの増加の一因として、不適当な予防蓬が挙げられることは確かである。そのことは、日本
でも多くの実例で証明されている。しかし、墓の場合、大気汚染や食料汚警始めとする産業公害が主要
因であることはまちがいないと思われる。(毛利)