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先週末のメディアでは、ビンラディン氏が今にも捕捉もしくは殺害されるかのように報じていた。
その時点でビンラディン氏がトラボラ地区にはいないという主張を書き込んだりしたが、ブッシュ政権は本気でビンラディン氏を捕捉する作戦を展開しているのかという疑念を抱いている。
9・11空爆テロの主犯としたビンラディン氏を遺体であっても捕捉しない限り、ブッシュ大統領の軍事作戦を支持してきたアメリカ国民は戦果として納得しないだろう。
そのような世論を承知しているブッシュ政権がビンラディン氏を捕捉しないと考えるのは、父親であるブッシュ元大統領の湾岸戦争と同じような政策を進めると見ているからである。
ブッシュ元大統領は、湾岸戦争の終局面でフセイン政権を崩壊させる作戦を採らなかった。
その理由として考えられるのは、イランの政治勢力としてフセイン政権に代わるべきものがなく、フセイン政権の崩壊はイラクの分裂につながる可能性が大きく、それがトルコやイランを含む中東の幅広い地域で政治的動乱をもたらす可能性もある。独立国家樹立を目指すクルド人勢力やイラク南部を中心としたシーア勢力の存在を考えたとき、フセイン政権を崩壊させてしまうことは得策ではないという判断である。
しかし、これは一つの理由でしかないと思う。より大きな理由は、「危険極まりないフセイン」が存在し続けることのほうが、アメリカの世界戦略遂行にとって大きなメリットがあると判断したからであろう。
それにより、中東地域での米軍の存在感を示すためのサウジアラビア軍事駐留を長期化でき、「危険極まりないフセイン」をダシに使った諸国への牽制が可能になった。ついでに時々空爆を行うことで、軍需産業にも少しは貢献できる。
現在のウサマ・ビンラディン氏の役割を、湾岸戦争以降10年以上もフセイン大統領が担い続けたと言える。
現段階でビンラディン氏を捕捉してしまえば、アフガニスタン・パキスタン・ウズベキスタンなどに展開している米軍を遠からず撤退させなければならなくなる。
今回の軍事行動の真の目的が「中央アジアの資源権益」にあるのなら、現状況で撤退してしまえば、その権益を放棄したに等しい結果になってしまう。(アメリカがアフガニスタンにパイプラインを敷設して維持することなんかできない)
さらに言えば、ビンラディン氏及びアルカイダを「最強の国際テロ組織」として世界に認知させるために、アメリカ政権は長い年月をかけてきた。
以前書き込みしたように、アルカイダはローカルなイスラム復興派宗教(政治・軍事を含む)組織でしかない。この期に及んでも、ビンラディン氏の捕捉を阻害するための小さなテロさえ実行できていないのである。
そのような組織を「最強の国際テロ組織」として世界にデビューさせるために、アルカイダの力がものすごいものであると見せつけるような様々な策動(=テロ活動)を行ってきたであろう。
あのような位置づけにまで育て上げたアルカイダそしてビンラディン氏を、ブッシュ政権が簡単に捕捉してしまうものだろうか。
捕捉してしまえば、残る“邪悪な存在”はフセイン大統領だけになってしまう。
現在のブッシュ政権の言動を見聞きしていると、フセイン政権を倒す決意をしたように思える。
ビンラディン氏もフセイン大統領もいなくなれば、それこそ残る“嫌われ者”は、金正日政権の北朝鮮だけになる。しかし、そこにはわずかな資源しかなく、降りかかってくる経済負担を考えると多くの国家はそんなこと止めてくれというのが真意であろう。
国家支配者たちは、外に敵が必要だと考えがちである。
日本という立場で考えれば、北朝鮮政権が崩壊したら、軍事力を強化する言い訳を中国の存在に頼るしかなくなることになってしまう。現段階でのそのような政策提示は、あまりにも刺激的すぎるだろう。
“コスト”をかけて作り上げたものは、それに見合う働きをしてもらわなければ見合わないと考えるはずである。
ブッシュ政権の立場に立てば、自分たちは恐くもないが世界が怖がってくれているビンラディン氏及びアルカイダを生かしておくほうが、世界戦略の遂行にとって重宝ということになる。
ビンラディン氏の所在が本当にわかっていないのか、わかっていながら探している振りをしているのか分からないが、どっちにしろ見つけたくもないというのが真意であろう。
そして、ビンラディン氏を捕捉できない状況に対する国民の不満は、新しい戦争で解消していくという算段であろう。
ブッシュ大統領もライムズフェルド国防長官も公言しているように、今回の軍事行動は、自分たちの任期を超える10年というロングレンジで捉えているものの始まりでしかないと思われる。
そうであれば、それを推し進めるために、ビンラディン氏を有効に活用しない手はないと考えるのが合理的であろう。
ビンラディン氏がそのようなブッシュ政権の意向を知っているのかどうかはわからないが...。
とにかくブッシュ政権の妄動を止めなければ、世界はよりいっそう悲惨な状況に陥っていくことになるだろう。