(回答先: Re: イエスの言行が出ている歴史書を上げてください 投稿者 あっしら 日時 2002 年 2 月 14 日 16:31:59)
イエスの布教活動について、ローマ帝国側に何ら同時代の記録、記述がないのは有名な話です。これが「イエスは架空の人物」説の根拠になっています。死海文書などから、イエスの時代より数十年以前の「教団」(正式名称を忘れました。いつものことですいません。ゲッセネかくクムランだったかな)の活動や教義がイエスという「架空の人物」に集約化された、という説のひとつの根拠は、この「イエスの同時代のローマ側の文書に一切、”パレスチナの新しい救世主”についての記述がない」ことです。これに対する反論は、当時は「我こそは救世主」を名乗るユダヤ教系の布教家がいっぱいいて(オカルト系でよく登場し、”異星人説”もあるエゼキエルも、イエスよりちょっと前の時代の”メシア”のひとりです)、大きな集団を率いていなかったイエスは、生前は目立たなかったので、レコードが残らなかったのだろう、というものです。
また、イエスの誕生日が12月25日とされたのは、確か7世紀ごろのことで、もちろん、キリスト教がローマ帝国の国教として認められたより、ずっとあとです。12月25日というのは、
イエス時代のローマ帝国の暦を、その後、グレゴリウス暦(だったかな)に変更したため、旧暦が新暦に変わったために日がずれたものです。新暦に機械的にあてはめると、イエスの誕生日は11月ごろになる筈だ、と思います。
まあ、ねキリスト教がなぜ、これだけの世界宗教になったかは、まだまだ、研究の余地がある、と思います。キチンと調べてはいませんが、仏教に比べても、哲学的洞察力では、劣ります。@来世の価値観を現世の価値観より優越させたこと(つまり、観念の世界の現実世界への優越性を唱えたことA敵を愛せ、という利他思想を明確に打ち出したことB信心(信仰・精神力)で病気が治ることを”奇跡”という形で具現化してみせたこと(これも一種の”観念・精神の肉体・物質への優越”です)――などが、
キリスト教が世界宗教になり得た理由でしょう。ブッシュの年頭教書などにも、キリスト教の強烈なメシアイズムがうかがえます。この問題は「文明の衝突」問題とも最も深く関わる難問でしょう。