02/12 16:19 故杉原氏記念館が財政危機 リトアニア関係者支援訴 外信62
共同
かつてナチス・ドイツの迫害から逃れるユダヤ人難民に日本通過
査証(ビザ)を発給、約六千人の命を救った元リトアニア領事代理
・故杉原千畝(ちうね)氏の資料を保存した記念館が同国カウナス
に開館して約一年半。しかし、入場料が無料で、民間基金と地元大
学のみで支える「人道と博愛」の記念館は、早くも財政的危機に直
面し、支援を訴えている。
旧日本領事館跡の建物を利用した記念館は、市街地やや外れの住
宅地にあり、訪問客を集める上で好条件ではない。だが、年間五カ
月の通常開館期間中、訪問客は日本人を中心に一日平均四十人。昨
年はモスクワ日本人学校中学部の生徒が修学旅行で訪れるなど高い
関心を集めている。
故杉原氏は一九四○年当時、ビザを求め領事館に殺到したユダヤ
人難民を前に「頼ってくる人々を見捨てるわけにはいかない」とし
て外務省の指示に背きビザを発給し、帰国後、外務省を退職させら
れた。「英雄的行為」がユダヤ人社会を中心に世界で評価され始め
たのは戦後四半世紀を経てのことだった。
施設内には、杉原氏が「命のビザ」を発給し続けた執務室内にタ
イプライターや、当時不安の表情で領事館前に集まったユダヤ人難
民の写真など関連の資料が展示されているほか、日本書籍を集めた
文庫や、地元ビタウタスマグヌス大学の日本学センター、大量虐殺
犠牲者救済研究センターが設置されている。
日本人だけでなく、ユダヤ系の訪問客も年間約五百人に上る。リ
トアニア生まれのユダヤ人でもあるシモナス・ドビダビチウス館長
は「最近訪れたユダヤ系米国人から、杉原氏直筆のビザを見せても
らったが、その人に私と血縁関係にある女性が嫁いでおり、私自身
の親類も杉原氏に救われたことが分かった」と話す。
しかし、三階建ての旧領事館建物は現在、別の所有者からの賃貸
。ドビダビチウス館長は「家賃に警備費用などを加えると年間六千
ドル(約八十万円)は必要で、維持だけで精いっぱい。将来的に入
場有料化も検討せざるを得ない状況」と訴え、支援を求めている。
記念館側との連絡は電子メール「sugihara@takas
〓lt」(日本語、英語可)まで。(カウナス共同=及川仁)
(了) 020212 1618
☆記号のドット
[2002-02-12-16:19]
sugihara@takas.lt