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世界の闇を直視せよ 『文明の衝突』論は破綻 仏哲学者 共同

投稿者 倉田佳典 日時 2002 年 2 月 02 日 19:25:37:


02/02 15:01 世界の闇を直視せよ 被虐者ある限り歴史続く  外信408

 現代フランスの代表的哲学者ベルナールアンリ・レビ氏は世界中
の戦地を駆け巡るジャーナリストとしても活躍。「『祝福された』
米国と『呪(のろ)われた』ブルンジの子供に、生まれながら天国
と地獄の差があっていいのか」「苦しむ世界の紛争地から執拗(し
つよう)に目をそらし、経済グローバル化とは笑わせる」。フラン
スの知性が結集するパリ・カルチエラタンのカフェで「サルトルの
再来」と呼ばれる鬼才は「世界の闇(やみ)を直視せよ」と訴え続
けた。(聞き手・パリ共同=信夫聡)             
 ―長年のアフガニスタン取材者として、米軍の戦争をどう見たか
。                             
 「まず米国を中心とする『専門家』の愚かさが明らかになった。
彼らは長期戦を想定し、タリバンを無敵の軍隊のように恐れ、欧米
は手ひどい復しゅうをされると宣伝した。すべて政治的に濁った目
で行った判断であり、誤っていた。世界的な非難を受けるべきだ」
 「『文明の衝突』論も破たんした。イスラムに関連する紛争が、
米国の介入により決着したのはボスニア、コソボに続き近年三回目
。キリスト教文明とイスラム教文明の衝突を回避すべきだとの論理
は笑止だ」                         
 ―この戦争がイラク、スーダンなどに拡大することをどう思うか
。                             
 「戦争に苦しめられ、虐げられ、死んで行く人々を数限りなく見
てきた。『善と悪との戦争』を掲げるブッシュ米政権を、わたしは
好まない。『間抜けな、ばかげた善』だと批判する。しかし、呪わ
れた人々を救うため『必要悪』としての武力行使は真剣に検討され
るべきだ」                         
   ×    ×                     
 近著「戦争、悪、歴史の終わりに関する考察」は、アンゴラ、ス
ーダン、ブルンジ、スリランカ、コロンビアなど紛争地の長期潜入
ルポ集。冷戦終結にもかかわらず殺し合いをやめない人々。スリラ
ンカでは女性ヒンズー教徒の自爆テロリストに密着し、コロンビア
では幼児の目をくりぬき、人間を狩猟するテロ集団首謀者に会う。
筆者はこれら紛争地を「世界の暗い穴(ブラックホール)」、住人
を「戦争に呪われた人々」と呼ぶ。              
   ×    ×                     
 ―アフガン情勢に無関心だった米国は昨年、初めてこの国と戦争
という形で直面した。そして大統領自ら「米国に神の祝福を」と唱
える。                           
 「無関心でいられるほどの巨大な格差、ごう慢さ。欧州は単一通
貨ユーロを世界に広めて米国の経済支配力を減らすべきだし、日本
もアジア地域に多様な影響力を確保して、一極主義を許さない世界
バランスを確立するべきだ」                 
 「宗教と政治を混同することが許される先進国は、米国ぐらいの
ものだ。反文明主義の論者であるわたしが『文明の美点』に数える
まれな例が、非宗教的国家という概念だ。宗教を政治から排除する
ことで、多くの無益な殺生を避けることができる」       
   ×    ×                     
 フランス共和国憲法第二条は「フランスは非宗教的国家である」
と明記し、政治権力者が公的な場所で「神」を語ることは違憲とさ
れる。王権と宗教勢力を敵としたフランス革命に端を発する共和国
の伝統だ。                         
   ×    ×                     
 ―「暗い穴」のひとつだったアフガニスタンに世界の関心が集中
したことの影響をどう見るか。                
 「悪影響ばかりではない。何しろ『世界経済』にも、『文化交流
』にも、旧来型の『植民地支配』からさえも見放されてきた多数の
紛争地は、これ以上、忘れようがないほど忘れられていたのだから
。今後、各地が『明日のアフガン』として、もっともっと注目され
ることを望んでいる」                    
 「まず、先進国の人々が直視するということから始めてほしい。
世界地図に復活させてほしい。まるで世界に存在しないかのように
『暗い外部』として虐げられた人々を無視することをやめてほしい
」                             
 「テロ組織など個々の武装勢力に対してせん滅戦を仕掛けるには
よほどの決意と成算が必要だが、めどが立つならやるべきだ」  
 ―先進国の人々はなぜ無関心、無感動なのか。        
 「恐らく冷戦終結がこの問題で決定的な役割を果たした。冷戦中
は世界は西か東かに色分けされ、中間はあり得なかった。逆説的な
ことだが、貧困国も重視された。しかし今は地球全体が(大きな対
立がないかのように振る舞う)非歴史的地域として、一色に染め上
げられてしまった」                     
 ―「歴史の終わり」という考え方か。            
 「いや、ある勢力が敵に完全に勝利を収めたとしても、それは新
たな敵が出現することの序章にすぎないと思う。ナチス敗北の直後
に共産主義が脅威となったように、歴史は終わりの瞬間に始まりが
仕組まれている。『暗い穴』が残る限り、歴史は終わらない」  
 ―「自爆テロで死んでいく若者」を前に哲学は意味があるか。 
 「わたしの取材経験から言えば、自爆テロリストは餓死する子供
ほど究極的に追い詰められた存在ではない。彼らはイスラム教集団
の中で飽食し、高等教育を受け、自分が『世界の悲惨』のスポーク
スマンではないにもかかわらず、過剰に『世界の悲惨』を語る言葉
に満たされた者たちだ」                   
 「自爆テロを理解するためのキーワードは『短絡』だと思う。自
爆テロを可能にする要素は天国、浄土などの存在と、宗教内におけ
る死の重視だ。天国へ行くためのめい想や修行、精霊のとりなしと
いった要素を無視し、倒錯した死の陶酔と結び付く時に初めて、自
爆テロが発生する」                     
 ―抑止策はあるか。                    
 「極めて難しい。理性でも経済でも解決できないからだ。自爆テ
ロは甘えた陶酔者の行為だと説いても彼らは理解しようとしない。
極論を言えば、自爆テロを行う過激派を隔離し、武力で禁圧し、イ
スラム社会で軽べつを受けるような教育を普及させることはできる
だろう。しかし既に自爆テロを決意した人物を決して翻意させられ
ないことを、取材で知らされた」               
 ―欧米では自爆テロを「カミカゼ」と呼ぶ。相似性があると思う
か。                            
 「現代のイスラム、ヒンズー教などの自爆テロとは別物だと思う
。神風特攻隊は軍隊の兵士だった。そして読書によって知ったとこ
ろでは、彼らの多くは殉教の陶酔によってではなく、強制されて死
んだ。遺書を残し、『お母さん、お母さん』と叫びながら死んだの
だと理解している」                     
 「これはあなたが日本人だから言うわけではないが、世界史的な
意味から言っても、わたしは早く日本人に覚せいしてほしいと願っ
ている。日本なしに、米国や中国だけでアジア地域に平和がもたら
されることはあり得ない。今、あなた方は眠っている。早く目覚め
て、米国や欧州と違ったもう一つの極として『歴史』に参加してほ
しい」                           
 ―あなたの著作を通読し、「人間の獣性」に強い関心を持ってい
る印象を受けた。                      
 「その通りだ。通常状態の人間は野蛮であり、例外状態が『民主
主義的』と呼ばれるのだと思う。野蛮状態が洗練され、見分けにく
くなっているのが人類の現代史にほかならない。人間関係の根幹も
愛ではなく、憎しみと知るからこそ、世界中の人間に憎しみの現場
を直視してほしいと願っている」               
   ×    ×                     
 哲学者は黒紅茶をあおり、黒いサングラスを掛けると「日本が歴
史の行方を左右するのは、本当だ。勇気を出せ」と言い、去ってい
った。「戦争に呪われた人々」が語られたカフェの隣の席ではファ
ッションモデルで女優のレティシア・カスタが映画雑誌のインタビ
ューを受けていた。                     
   ×    ×                     
 インタビュー英語版はhttp〓//home〓kyodo〓c
o〓jp/に掲載します。                  
(了)  020202 1500              
☆記号のコロン                       
☆記号のドット                       
☆記号のドット                       
☆記号のドット                       
[2002-02-02-15:01]
http://home.kyodo.co.jp/

02/02 15:00 忘れられた紛争  外信410

 先進国の住民が直視することを避ける、世界の絶望的な紛争をレ
ビ氏は「世界の暗い穴(ブラックホール)」と呼ぶ。近著で描いた
アンゴラでは、1970年代に米ソの武器提供で始まった内戦が冷
戦終結後も続き、死者は累計50万人を数える。「スーダン200
万人」「ブルンジ20万人」「スリランカ6万人」「コロンビア1
0万人」…。死んでいった「戦争に呪(のろ)われた人々」を数え
ながら、著者は「民族自決どころか、極端に貧しい人々の『民族自
殺』が起きている」と嘆く。(パリ共同)           
(了)  020202 1500              
[2002-02-02-15:00]

02/02 15:00 BH・レビ氏略歴  外信409

 1977年、思想界の左右両派が分かち持つ偽善性を糾弾した著
書「人間の顔をした野蛮」を発表し、思想家として鮮烈なデビュー
を飾る。行動する知識人の代表格として、おう盛な著述活動を続け
る。                            
 対ナチス・ドイツ協力政権の内幕を暴き、フランスこそ全体主義
の祖国だったことを立証した「フランス・イデオロギー」(81年
)、世界を覆う民族浄化の欲望を、旧ユーゴスラビア紛争を通じて
描出した「危険な純粋さ」(94年)などで、怠惰な常識的知性を
常に挑発してきた。                     
 48年11月5日、アルジェリア北西部ベニサーフに生まれ、幼
少時パリへ移住。68年高等師範学校に入学し、同年に起きた学生
・労働者の反政府運動「5月革命」では最左派の毛沢東主義サーク
ルに所属した。バングラデシュ独立運動を取材した著作「革命の中
の民族主義」を73年に発表、ジャーナリストとしても第一線で活
躍。                            
 護身のため習ったという柔道は黒帯の腕前、合気道も操る。(パ
リ共同)                          
(了)  020202 1500              
[2002-02-02-15:00]




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