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今なお話題の「エンロン破綻」が、ブッシュ政権からSEC(米証券取引委員会)も絡む“小金持ち”から金融資産を巻き上げるふざけた陰謀であることを、1月16日、「破産5」ボードに『「エンロン破綻」は“経済破壊=金融マフィアぼろ儲け”作戦の予行演習 <エンロンは今なお優良企業でSEC(米証券取引委員会)も共犯>』というタイトルでアップした。
[参照]
http:/www.asyura.com/sora/hasan5/msg/1082.html
『【補遺】エンロンの「財務書類廃棄」公表は“ボロ儲け計画倒産”を隠すためのデッチ上げ工作』
http:/www.asyura.com/sora/hasan5/msg/1108.html
しかし、現時点でも、エンロン問題がブッシュ政権のアキレス腱になるような報道をしているメディアにはあきれてしまう。
本当にそうなるのなら、こんなにわかりやすい「エンロン破綻」のからくりそのものがとっくに暴かれるはずである。
英米などの主要メディアも、民主党の主要議員も、大手金融企業も、みんなカラクリを知っている。そうでなければ、メディアが、あんなにぴったりサポートできるわけがない。(ときどき、批判がましいこと言ってガス抜きをしているが、本質的な問題には絶対に触れない)
この二つをアップした以降のメディア報道から、その具体的な手口や詐欺であることを補強する情報が入手できたのでアップする。
注)以降「ABCワールドニュース」は、すべてNHK衛星1で9:30AM頃放送されたもので、「ABCニュース」と略す。
■はあっしらが付けた見出しで、★部分はあっしらの感想。
■ 「エンロン破綻」を本当に見せるための数々の偽装工作
★ “小金持ち”たちからその金融資産を巻き上げた連中は、それが本当の破綻であると見せかけたり、自分に罪が及ばないよう、様々な工作を行った。
エンロンのレイ会長がおよそ26億円の自社株売却を得た(昨年5月)のがインサイダー取引でなかったことを印象づけるため、レイ会長が損失の報告を受けたのは昨年8月だったと証言させた。
「ABCニュース」は、1・16、1・17と二日間にわたって、いち早く会社の損失を見つけレイ会長に報告したというエンロン副社長ワトキンスさんへのインタビューを交えて次のように報じた。
1・16の「ABCニュース」は、エンロン社のシェロン・ワトキンス副社長が、8月時点で赤字が公表されていない件で心配しているとケネス・レイ会長に警告したら、レイ会長はびっくりして調査すると言ったと伝えた。
1・17の「ABCワールドニュース」は、ワトキンス副社長が何ヶ月も前から不正な負債を隠していると懸念を抱き、アーサー・アンダーセンに対し、財務的に不審な点があると指摘したと報じ、それを受けたアーサー・アンダーセンは、緊急ミーティングを開き、e-mailと文書の廃棄や処分を進めたと続けた。
★ これで、レイ会長の自社株売却は、損失があることを公表しない時点で売り抜けたというインサイダー取引のそしりを免れることができる。
びっくりするほど手回しがいいことに、財務的に不審な点があると指摘されただけで、アーサー・アンダーセンは、緊急会議を開くのは当然だとして、書類の廃棄まで決定して行動している。
これは、エンロンにもアーサー・アンダーセンにも会計書類的証拠はなにも残っていないというダメ押しのメッセージだと考える。
しかし、コミュニケーション担当副社長であるワトキンスさんが、「レイ会長はびっくりした」とレイ会長さえ知らなかったと主張している「子会社の複雑なデリバィブ取引から発生した損失」をどうして知ったのかも不思議である。
これは、まさに、ワトキンス副社長の担当であるコミニケーション能力が買われたと思う。ウソを巧くつく能力とも言えるが。
★ さらに、言葉だけでは不十分だと考えたのか、次には物証まで出して、いくら調べても証拠はないんだから、「破綻原因」はわからないと思われるようにした。
1・22の「ABCニュース」は、エンロン本社における書類破棄が先週まで続いていたと報じ、エンロンの元管理職社員モリーン・カスタネダさんのインタビューを放送した。
カスタネダさんは、シュレッダーにかけられた書類の入った箱をみせ、「このような箱は他にもたくさんあった」と語った。
カスタネダさんによると、書類の破棄は、11月下旬の感謝祭の後に始まり、少なくとも先週までは続いていたという。事実とすれば、米証券取引委員会(SEC)が10月中旬にエンロンの財務問題について調査に乗り出した後、書類が大量に破棄されていたことになると伝えた。
★ この偽装工作の放送で笑ってしまったのは、ABCニュースで映し出された書類の破片に、「ジェダイ」との単語がきちんと印刷されていたことである。「ジェダイ」とは、エンロン破たんのきっかけとなった、問題の簿外取引にかかわった特別目的会社のひとつである。
シュレッダーをかけたものにも関わらず、一つの切れ端にきれいに「ジェダイ」の文字が残っていた。そして、わざわざニュースのなかで意識的にアップされて放送された。
「マル秘」に相当する「CONFIDENTIAL」まで、切れ端にきれいに印刷されていた。
普通、シュレッダーにかけるのなら、文字の並びに対して垂直にかけるものだ(爆笑) 手間を惜しんで偽装工作をするからみっともないことになってしまう。
11月下旬の感謝祭の後に始まり、少なくとも先週までは続いていたということは、12月2日に連邦破産法の適用申請を行い、先々週には「会計書類などの違法廃棄」が各種メディアで大々的に報じられた後まで書類破棄を続けていたということになる。
これは、取り締まり国家機関が、なんら「証拠の保全」を行おうとしなかったことを意味する。
11月下旬から、偽装工作に使うための「破棄してもいい偽書類」を作り続け、出来たあとから次々と“廃棄処分”にしていったということも考えられる。
★このような“証拠不在工作”が完了したあとで、やおら捜査機関が乗り込むことになる。次の時事通信社の記事(1・22)がそれである。
《米FBI、エンロン本社を捜索=書類の大量廃棄で【ワシントン22日時事】》
『米連邦捜査局(FBI)は22日、経営破たんした米エネルギー卸売り最大手エンロンのテキサス州ヒューストンにある本社の家宅捜索を開始した。エンロンの元幹部モーリーン・カステナダ氏は21日に放映された米ABCテレビの番組で、「少なくとも2週間前までエンロン内部で秘密文書が廃棄されていた」ことを明らかにしており、FBIはエンロンが破たん後に重要書類を廃棄していた疑いが強いとして、捜査に踏み切ったとみられる。』
★ この捜査で何も見つからなくても仕方がない。すべて廃棄してしまったことになっているからである。
さらに、連邦議会での追及に対しては、二つの対応を行っている。
《元主任会計士が議会証言を拒否=訴追免責を要求−エンロン監査で【ワシントン23日時事】》
『経営破たんした米エネルギー卸売り最大手エンロンの元監査担当で、書類廃棄を理由に大手会計事務所アンダーセンを解雇された元主任会計士のデービッド・ダンカン氏は23日までに、議会に証言を拒否する意向を伝えた。CNNテレビなどが報じた。
下院商業委はダンカン氏に召喚状を送付、24日の小委員会で証言するよう命じた。一方、同氏の弁護士は刑事訴追の免責を要求。これが実現しない場合には、証言拒否を認めた憲法修正第5条を理由に出頭を拒否するとしている。』
★ エンロン監査の責任者だったダンカン氏が、エンロンの元社員で最高財務責任者の部下でありゴルフ仲間でもあった人物である。これは、「ABCニュース」しか報じていないようだ。
とどめが、英米の主要メディアさえ疑惑を語るエンロン元副会長の自殺である。
『米国と英国のメディアは“自殺”に疑念がもたれ憶測を呼ぶと報道 [ABCワールドニュース/BBCニュース]』
http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/440.html
■ エンロンの損失発表後も証券アナリストは“買い”を煽った
1月26日の「ABCニュース」は、エンロンが10月16日に損失があると発表してから連邦破産法の適用申請を行う直前まで、ウォール街の証券アナリストは、投資家に一貫としてエンロン株に対して強気の分析を提供したと報じ、10月16日以降のアナリストの動きを次のようにまとめた。
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10・16損失発表直後 13人がストロング・バイ(買いの強力な推奨)
3人がバイ(買いの推奨)
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10・22政府が調査表明 12人がストング・バイ
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11・28株価61セント 6人がストング・バイ
2人がセル(売りの推奨)
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そして、12月2日に、エンロンは連邦破産法の適用を申請し、株価は27セントになった。
アナリストたちにコメントを求めたが、誰も応えてくれなかった。
★ 国際金融資本がエンロン株の“空売り”で儲けるためには、買い手がいなければ始まらない。アナリスト達が、買い手の掘り起こしに貢献したわけである。
■ 買い手を増やし、売り手を減らすためにエンロン経営者が行ったこと
★ エンロンを破綻させてボロ儲けしようと企み実行した連中は、自分たちの“空売り”ができるだけスムーズに行えるよう、ある時は従業員に自社株の購入を煽り、ある時は従業員が保有する自社株の売却を停止するということまで行った。
エンロン経営者は、エンロン株の買い手を増やすために、損失発表の直前に、従業員に対し自社株を買うよう促した。
次の「ブルームバーグ」の記事(1・18)が、そのあらましである。
《米エンロンCEO:社員に自社株購入を呼びかけ、昨年9月の討論会でヒューストン 1月18日(ブルームバーグ)》
『経営破たんした米エンロンのレイ最高経営責任者(CEO)が、不明瞭な会計処理について幹部から報告を受けた翌月、社員に対し自社株を購入するよう促していたことが分かった。
レイCEOと社員が昨年9月26日に行った電子討論会の議事録によると、レイCEOは社員の質問に答える形で、エンロン株の買い増しを「強く推奨」。「個人的にはエンロンの株価は信じられないほど割安だと思う。数年後に振り返った時、今が(自社株購入の)素晴らしい機会だったことが分かる」との考えを示した。
同9月26日のエンロン株の終値は25.15ドル。年初からの下落率は70%に達していた。同社は12月2日に連邦破産法の適用を申請。米企業としては過去2番目の規模の倒産となった。
この討論会でレイCEOは、エンロン株が売られたのは、株価の下落を望んだトレーダーがうわさを広めたためだと批判。社員に対し家族や友人に対しエンロン株について好意的に語るよう促したという。
レイCEOはさらに「エンロンの経営基盤は健全で、バランスシートはしっかりしている」と主張、「第3四半期(7−9月)の見通しは明るく、目標を達成することになる」と語ったという。』
★401kで自社株に投資していた従業員がその保有株を売れなくするようにしたことは、次の共同通信社の記事(1月17日)でそのあらましがわかる。
《社員の自社株売却を停止 株価下落局面でエンロン【ニューヨーク17日共同】》
『破たんした米エネルギー大手エンロンが同社の株価が急落した昨年秋、自社株で確定拠出年金401kの資産運用を行っていた社員の株式売却を停止する措置を取ったことが明らかになり、米議会や法律関係者の間で問題視されている。
同社のレイ会長ら幹部は、1999年から破たん半年前の昨年6月までの間に自社株を売却したとされており、社員だけを対象にした売却停止措置の違法性が問われそうだ。
401kは企業側が安定株主確保のため自社株で運用させるケースが多く、エンロンの社員らは、破たんによって年金の大半を失った。
同社が社員に対し株式売却を停止したのは昨年10月29日から11月13日までで、この間、株価は13・81ドルから9・98ドルに急落した。
資産残高の評価見直しなどに伴い株式売買を一時的に停止することは合法だが、破たんなどで株価が急落している局面は別で「停止措置を延期すべきだった」との指摘も出ている。
同社の401k問題をめぐって十億ドルの損害賠償請求訴訟を起こしたワシントンの法律事務所によると、会社側は社員に、十月十九日から停止するとの誤った情報の電子メールを送付。このため、社員は株価が約二六ドルだった十九日時点で株を売却する機会を逸したとして、法廷で争う構えを見せているという。』
★ エグイの一言である。大金持ちである自分たちの“空売り”環境をよくするため、小金持ち(それも株式の評価で)か貧民でしかない従業員に、エンロン株を買うよう仕向けたり、その舌の根が渇かぬうちに、今度はその保有株を売却できないようにしたのである。
■ エンロンは法人税を支払わないどころか法人税の還付金まで受けていた
1月18日の「ABCニュース」は、優良企業であったエンロンが、破綻前の4年間に法人税の支払いが“0”であったことを報じ、その手法を次のように説明した。
財務諸表をぱっと見ると、エンロンは、2000年に法人税を1億1千2百万ドルを支払ったように見えるが、詳細を見ていくと、脚注の脚注として、実際には法人税を支払う必要がなく、国庫から還付金までを得ていたことが分かる。
2000年には、複数のエンロン幹部が“ストックオプション”による自社株売却権を行使した。例えば、レイ会長は、それで利益278万ドルを得た。
法律では、このような利益を、エンロン社の課税分から控除できる。
そのため、エンロンの2000年決算では、
法人税:1億1千2百万ドル
−幹部への利益提供:3億9千万ドル
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0ドル
となっているだけでなく、差し引きの値である2億7千8百万ドルをRefund(税払い戻し)として国家から受け取った。
元の法人税額1億1千2百万ドルも、海外に数百の子会社をつくり、圧縮したものである。
エンロンは、利益を上げていながら、1996年、1998年、1999年、2000年と法人税を支払っていない。
★ 日本でも、“ストックオプション制度”が導入されたが、法人税に関わる部分は知らない。どうなっているんでしょう?
経営者などがストックオプション制度を利用して利益をあげた分を、会社が支払うべき法人税から控除できるのである。
理屈としては、会社が売っていたなら得ることが出来た株式売却益を、ストックオプション制度で第三者(経営者や従業員)に譲渡してしまったのだから、会社は損を被ったという認定なんだろうか?
■ エンロンが全米7位の優良企業に成長した手法
1月25日の「ABCニュース」は、エンロンは、2000年の全米優良企業ランキングで第7位に評価されていた。それは、エンロンが、会社の資産を大きく見せる手法を駆使したからであると報じ、その手法を次のように説明した。
1)エンロンの経営者自らがひっそりと小さな会社(以降小会社)を設立する。
2)エンロンが、小会社に1億ドルの貸付を行う
3)エンロンは、さらに、小会社に、エンロン株の提供やストックオプションの権利を与える
4)小会社は、それらによって、8億ドルの資産価値があるようにする
5)エンロンは、8億ドル相当を小会社に貸し付けたものとして、8億ドルの借用書を小会社から受け取る
6)エンロンの資産はその8億ドル相当分増えるが、小会社に1億ドル貸しているので、差し引き7億ドルの資産増加になる。
7)エンロンは、このような資産手法のために多くの会社をつくった
これは合法的な会計処理であると、番組で説明していた会計士が語った。
★ この説明で、エンロンが、いわゆる弥次喜多道中=キャッチボールで見せかけの資産を膨らませてきたということはわかる。
しかし、これが本当に合法的な手法なら、グローバルスタンダードと言われている「米国の会計処理基準」は、まったくインチキである。米国の会計処理基準でまとめられた財務諸表を見ても、その会社の財務実態はまったくわからないことになる。
ディスクロージャーなんか有名無実になってしまう。
まず、エンロンが小会社に貸し付けた1億ドルは、エンロンにとっては債権=資産であり、小会社にとって負債である。どうして、6)のように、エンロンの資産が1億ドル差し引かれることになるのだろう?
これは、エンロンが小会社に貸し付けた1億ドルが他からの借入金だとしても、エンロンの資産はプラスマイナス0である。(借入先に負債が1億ドルで小会社に債権が1億ドルだから)
これについては、説明した会計士が間違ったものとして、「小会社は、1億ドルの借り入れがあるから、資産を7億ドル計上し、その7億ドル分の借用書をエンロンに渡した」と修正することで解決させておく。
次に、エンロンが小会社に与えた“ストックオプションの権利”は、たんなる権利だからエンロンの資産が減るわけではないが、小会社が権利を行使して実際にお金を手に入れていないのに資産評価されるというのはまやかしに近い。(まあ、のれん代=営業権のようなものだと考えてあげることはできる)
最大の疑問は、小会社が8億ドルの資産を計上しているのに、エンロンに対してそれに相当する8億ドルの借用書を差し出し、それに基づきエンロンが資産を8億ドル増加させたことである。ある8億ドルが、二つの会社で同時に資産として計上されていることになる。
小会社は、8億ドル相当分が借り入れならば、負債であり、資産ではない。なぜ、いったん資産として計上したものを、エンロンに対する負債として借用書を差し出すことができるのだろう?(無理に考えれば、“ストックオプションの権利”分については、
ABCの説明が正しいとすれば、例えば、ここにある1億円が、Aさんの1億円であると同時にBさんの1億円でもあるというとんでもない経済論理が成立してしまう。
そして、AさんとBさんが、それぞれ1億円の資産(実体は1億円だけで2億円ではない)を使って、AさんはCさんに、BさんはDさんに、同じ手法で1億円を資産として配分する。
ABCの説明を巧妙に使うと、ねずみ講どころではない“インチキ資産拡大”が合法的にできることになる。
数年後に再建を果たすであろう「エンロン」(社名も経営者も違うだろうが)は、また同じような手法で株価をつり上げていくのだろうか。
米国の会計処理基準は、本当に、このようなでたらめなものだろうか?
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