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(回答先: 我々はどのくらい食べるべきなのか? −− 少食の勧め 投稿者 macrobiotics 日時 2002 年 1 月 21 日 22:50:20)
1.「半断食」とは
「半断食」とは、読んで字のごとく、半分の断食。つまり「限りなく断食に近い小食方法」のことをいいます。
日本には古来、断食で心身を改善したり、病気を治すという優れた治療法がありました。これは食を断つことで心身を浄化し、免疫力や自然治癒力を高めることによって身体や心を改善したり病気を治すという動物達がしている内なる自然の力に訴えかける本能の治療法ともいうべきものです。
「半断食」はこの断食の手法を取り入れてマクロビオティックによってこれをさらに合理的、効果的にアレンジしたものです。いわば、断食法の現代版と考えてもらったらいいでしょう。現代人が過食によって多くの心身の病気を引き起こしている事実を考えると、現在でも十分に有効な治療法の一つであると言えます。事実、半断食によって私達はしばしば、驚くほどたくさんの病気の劇的な改善例、治療例をみることができます。
マクロビオティックによって、体質は少しずつ変わります。しかし、そのためには、日々しっかりとした食べ方をしなければなりません。ただ漠然と食べていたのでは、いくらマクロビオティックをしていても、そう簡単に体質は変わってはくれません。食事で心身を改善したり病気を治すためには、それなりの長い時間が必要だといえます。
また心の改善は、体質を変えることよりさらに難しいことです。断食はしばしば心の鍛錬行ともいわれていますが、半断食においてもこれは同じことで、「どう自分の心と向き合い、新しい心のあり様を探っていくか」が最大の課題です。
「半断食」とは、こんな風に、身体と心を短期間のうちに変えることが可能な、食事療法における短期決戦、つまりクイック療法のことなのです。
2.三つのポイント
半断食には、守るべき大きな三つのポイントがあります。その一つは「少食、少欲」ということです。
半断食では、基本的に一日一回の食事とします。初日は玄米ごはんを茶碗に一杯、タクワン二切れに梅干し一個、少量のごま塩といった内容です。飲み物も特別に問題のある人以外は一日二合程度とします。あまりたくさんの食事や飲み物を摂ってしまっては、大きな体の変化は望めません。ごく少量の食べ物と飲み物にすること、これが半断食における最も大切なポイントなのです。
二つ目のポイントは「よく噛む」ということです。マクロビアンなら、噛むことの大切さはもう充分にわかっていると思いますが、いくら良い料理であっても、噛むことが粗雑であっては、本来の力が発揮されません。よく噛んでこそ、驚くべき食の効果が現れてくるのです。最近では、一般的にも噛むことの効用が大きく言われるようになりました。頭が良くなる、情緒が安定する、骨が強くなる、免疫力が高まる、がんを抑制するなどなど、多くの効果が医学的にもはっきりと照明されています。
三つ目のプロセスは、「よく運動する」ということです。その理由は、次に説明する「排毒」という実に不思議な現象が現れてきます。
体はそれぞれの食生活によってさまざまな毒素をその内側に埋め込んでいます。ごく普通の食事をしている人ならば、添加物や農薬、化学肥料といった科学物質を驚くほどたくさん体の中に摂り込んでいますし、マクロビオティックをしている人でも、食べ過ぎたり飲み過ぎたりといった偏った食事をしていれば、当然それが過剰なものとなって体内に蓄積され毒素となっていきます。自然の水でも飲みすぎれば、過剰な水分となって体内に滞まるのです。食べ物や飲み物をいかに大量に取り込むかが健康の条件と思っている現代人の体には、信じられないほど多くの毒素をため込んでいると考えられます。
半断食を始めると、体はより快適に、より自然になろうと動きだし、こうした過剰な毒素を体から一斉に吹き出しはじめます。この時、私たちは、ある特別な症状を体に感じます。それは、例えば、充分に睡眠をとっているにもかかわらず眠くてしょうがなかったり、そう寒い気候でもないのに、やたらと寒く感じたり、身の置きどころがないようなだるさに襲われるといった具合です。この「眠い」「寒い」「だるい」の症状を、排毒の三つの初期症状と私は呼んでいますが、眠くなったり、寒くなったり、だるくなってきたら「ああ、いよいよ排毒が始まったんだなあ」と思えばいいわけです。
3.排毒のプロセス
「少食少飲」「徹底租借」「運動」などによって半断食を始めると、体内の新陳代謝が活発となり、免疫力や自然治癒力が高まり、体はよりバランス良く、より健康に自然になろうと動き出します。
その結果、食物によって体内に取り込まれていたエネルギーの中で不要なものや過剰なもの、使用済みのものが毒素として体外に排出、処理させるのです。実に興味深いものですが、こうした排毒にはある一定のプロセスがあります。それは陰性から陽性へ、気体から液体へ、表面から内部へと順序正しく進みます。〈気体状の毒素〉とは、ガス上の毒素のことであり、体の表面を覆っている皮膚や東部の毛穴、口の中などから吹き出してくる、いわゆる口臭や体臭のことです。
日頃、私たちは砂糖、香辛料、油、乳製品、薬物など、ガス状の毒素になりやすいたくさんの陰性な食べ物を食べています。これらの毒素は主に体の上部、表面や口の中から体外に排出されてくるのですが、普段から人一倍体臭や口臭の強い人というのは、こうしたガス状の毒素になりやすいたべものをたくさん食べている人です。
〈液体状の毒素〉とは汗や涙、尿、呼吸などによって吐き出される水分の毒素のことです。人間の体の65%は水分だと言われていますが、私たちは毎日、直接的には水やお茶、ソフトドリンク類や果物、アルコールなどから、また間接的には食べ物から大量の水分を体の中に取り込んでいます。これらが過剰になったりあるいは不要になると、水素として体外に排出されるのです。大半は尿となって出されますが、この尿も排毒が進むにしたがっていろいろと変化します。始めはごく正常な色ですが、次第に濃くなり、やがて番茶を煮出したような濃い褐色となって、臭いもとても強くなります。
人によっては、こうした水素を涙によって出す人もいます。ニコニコしていた人が突然、ポロポロと大粒の涙を流したりするのです。面白いことにこういう涙は、ごく短時間のうちに止まってしまい、たちまちけろりとしてしまう人が殆どですから、これらはいわゆる通常の涙とは異なる、一種の排毒現象と考えられます。
〈個体状の毒素〉とは、新陳代謝によってはがれ落ちてくる皮膚や垢、目ヤニ、鼻糞、痰などですが、その最たるものは宿便です。これらは主に肉や魚、乳製品などの動物性食品、あるいは穀物などの陽性な食べ物から生み出されてくる毒素ですが、それらは気体、液体、個体状と進む排毒の最後のプロセスとして起こります。
宿便は軟便、硬便、石糞、緑便、黒便など、その人が抱えている体質や状態によって様々、腸内に滞っていた残留便であったり、臓器や細胞の体の深部から絞り出されてきた宿便など、色も形も千差万別、多種多様、日頃なかなかお目にかかることのできない一種独特の便です。
4.排毒に伴ういろいろな症状
病気の症状に対する解釈は、見方によって百八十度異なります。西洋医学では、病気の症状はしばしば私たちにとって不利益なものと考えがちですが、東洋医学では、体がより良く、より健康になろうとするための一種の好転反応だと考えます。
面白いことに、こうした排毒反応が起こるときには病気が悪くなっていく時に感じられるものと同じような痛みが起こることがしばしばあります。例えば、日頃胃に問題を抱えている人の場合、それまで感じられなかった胃の痛みが急に出てきたり、慢性的な偏頭痛を持つ人が急に頭痛を感じたりするのですが、これらの痛みは排毒によって体の機能がより正常になり、問題箇所が修復される時に起きる一種の好転反応だと考えられます。
また、長い間、薬などによって押さえ込んでいた症状が突然出てきたり、何十年も前に受けた手術の傷跡が再び疼き始め、その時に受けた麻酔の感覚が蘇ったりと、普段の体では考えられないような様々な症状や反応が出てきます。
こうしたことから考えると、半断食とはある意味で、「自ら進んで病気になる」ことであり、症状を掘り起こすことによって体の奥に潜んでいた問題箇所を発見し、同時に修復もできると言う大変すばらしい効果を持つものです。
5.心の変化、夢の変化
私たちの体や心は別々に分けることの出来ないものですから、当然、体の上に起きる変化は、心の上にも起きます。
排毒は、陰性から陽性の順に進むと言いましたが、陰性なガス状の毒素を排出するときには心もまた陰性な状態になり、憂鬱になったり、不安になったりします。日頃、砂糖など陰性な食べ物を大量に食べている人は、こうした時にものすごく落ち込みます。そばにいる人がすっかり巻き込まれてしまうほど、陰性な気を発散し、憂鬱さを辺り一面にばらまくのです。
こうした排毒時に見る夢は、まとまりのない陰性な夢です。たしかに夢は見ているのですが内容は殆ど覚えておらず、ただ不安なとりとめのない感情だけが残っていたという事が多いものです。
心の状態や夢の内容は、排毒が進むにしたがってどんどんと変わります。水分の毒素がでてくるときには、気持ちも夢も寂しくなったり悲しくなったりします。また、陽性な毒素の排毒時には、気持ちがイライラと怒りっぽくなったり、殺したり殺されたりするといった激しい内容の夢を見るようになります。
6.排毒に合わせて食事をコントロール
排毒は、陰性な排毒から陽性な排毒へと変化します。この排毒の過程をよりスムーズに進めていくために、食事をいろいろと変化させてこれに合わせていきます。
陰性な排毒時には陽性な食べ物や飲み物をとり、陽性な排毒時には、より陰性な食べ物や飲み物をとって体内の毒素を中和、解毒し、少しでも早くこれらの毒素が体外に出てゆくようにしていくわけです。体にとって、余計な毒素を少しでも多く体外に出すことは、体がより自然でバランスの取れた健康な状態に近づくことを意味しています。
排毒は、前にも記したように、体のだるさや寒さ、眠さといった体感や気持ちの落ち込み様や夢の内容、舌苔や小便の色によっても見分けられますが、多くの場合は今、どんな食べ物や飲み物が最も食べやすいかによって、その陰陽を判断していきます。
私たちの体は、陰性な排毒時には、より陽性な食べ物(塩気の多い、圧力をかけた、水分の少ない、熱い食べ物など)がおいしいと感じるものです。体のコンディションと敵対する食べ物は、いくら頭で食べようと思っていても体が受け付けてくれません。日頃私たちは、無意識のうちにこうした食べ物を選択しているのですが、半断食においては、より意識的に排毒の陰陽の状態を見極めながら、的確に食べ物、飲み物を選んでいくわけです。
7.陽性から陰性な食べ物へ
具体的にどういう食事なのかといいますと、例えば圧力をかけた玄米ごはんからスターとした場合には、圧力をかけない玄米ごはん、小豆入り玄米ごはんと変わっていき、ごはんが食べにくくなったら、おじややお粥などのより陰性なものへと変えてゆきます。そしてさらに排毒が進んで穀物が食べにくくなったら、めん類のようなものへと変えてゆくのですが、このめん類にも、そば、うどん、冷や麦、そうめんといった具合に陽性、陰性がありますから、そのつど体の状態に合わせたものを選んでいけばよいわけです。飲み物もまた、陽性な飲み物からより陰性な飲み物へと変化させていきます。さらにそれ以上に陽性な体の状態になったら、野菜煮や野菜スープ、時には果汁といった具合に、より一層陰性な食事へと変化させていきます。ただし、特別な病気や状態を持っている人でない限りは、一週間程度の半断食ではここまで排毒の段階が進む人はなく、たいていはめん類どまりで一通りの排毒を終えます。
8.半断食の効果
「毒素を出す」という言葉からも分かるとおり、半断食の目的を一言で言うならば「心身のブラッシュアップ」、つまり体や心の大掃除だと言えるでしょう。
この大掃除によって、さまざまな効果が現れてきます。例えば体内に蓄積した老廃物(体臭、口臭、宿便)が排出される。血液が浄化される。胃腸の消化吸収力が高まる。五感(味覚、嗅覚、触覚、聴覚、視覚)が鋭くなる。体質が改善されて病気が治る、などですが、同時に心がリラックスする。気が充実して積極性が出てくる。マインドコントロールがしやすくなり自己実現がしやすくなる、などのさまざまな心理的な効果も数多く見られます。
特に、体が変わることによって心が大きく変わるということは、他の治療法には見られない半断食特有の優れた効果と言えるでしょう。これらは、からだがより自然となって自律神経が安定し、免疫力や自然治癒力が高まった結果起きてくる、ごくごく自然な結果だとも言えますが、これらの効果が、ごく質素な食事によって起こるところに、半断食の不思議さと面白さがあるように思います。
9.半断食は「食べ物による生まれ変わりの法」
排毒の最終段階として宿便が対外に排出されると、それまでの心身のコンディションががらりと大きく変わります。なかなか治らなかった病気が大きく快方に向かったり、軽い病気の場合ならこれだけでもすっかり治ってしまうといった具合に、普通の治療法では考えられない大きな効果がしばしば見られます。
心身の大掃除で血液の質が良くなり、判断力が向上するために多くの人がこれまでなかった体調と気分の良さを実感し、非常に前向きな想念を持つようになります。
クヨクヨ悩んでいた問題に的確な判断も下せるようになり、迷いが解消し岐路に立っていた人生の進路がはっきりと選択できるようにもなります。
日常的に体験できないこうした気分を味わうと、感激のあまり泣き出す人もいるほどです。トレーニング中参加者同志で手をつなぎ、子供の頃に歌った童謡を大きな声で歌いながら歩いたり、夕陽に感動して涙を流すといったまるでドラマの中に見られるようなシーンさえ実現します。人によっては、いわゆるナチュラルハイといわれる特別に爽快な気分を味わえる人もいます。
こうした命の輝きに出合うことは、半断食を指導する者の最大の喜びですが、さまざまなこうしたいのちの変身ぶりを目のあたりにすると「人間とは本来、いきいきと輝く存在であって、たまたまそうでないのは、誤った食によって本能が曇っているだけなんだ」と言われた桜沢先生の言葉がいつも思い出されます。そうした意味でも、半断食とは「自分自身のいのちを取り戻す、生まれ変わりの作業」だとも言えるでしょう。
http://www.kozchi.gr.jp/macrobian/handanjiki_J.html