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01/19 15:01 イスラム世界は激変する 反テロに法の支配徹底を 外信402
共同
英歴史家ポール・ジョンソン氏は米英の保守派や支配層に幅広い
愛読者を持つ。英皇太后から届いたクリスマスカードが飾られたロ
ンドンの自宅で、反テロ戦を「法の支配」の徹底と位置付け、その
価値観を担う「偉大な米英両国」の役割を力説。イスラム教も二十
一世紀中に変ぼうを遂げ、キリスト教やユダヤ教のように「近代化
」すると予言した。(聞き手・ロンドン共同=船津靖)
―大著「アメリカ人の歴史」第一巻が日本でも刊行された。米中
枢同時テロについて新たな章を書き加えるとしたら。
「同時テロは、眠っているゴリラを小猿が金づちで力いっぱいた
たいて激怒させたようなものだ。米国人を激怒させた点では日本軍
の真珠湾攻撃に似ているが、今回はハワイの海軍基地ではなく、日
本人も含めて世界中の人々が集まるニューヨークの市民と米政府中
枢への攻撃だった。米国民の憤激は、はるかに激しい」
「米国は他の世界全体を合わせたよりも強大だ。国民は極めて愛
国的で結束も固く、とにかく執念深い。テロ組織壊滅まで(戦いを
)続ける。ブッシュ米大統領は突如として『国際テロ掃討』という
人生の使命と政権の大義を見いだした」
―国際テロの背景は。
「今になって始まったものではない。私は一九八四年に『反テロ
世界戦争を』と英紙に書き、レーガン米大統領も賛同してくれた。
ただ、当時は『ソ連帝国』の崩壊が始まりかけたころで、テロリス
トに武器や訓練基地を提供するソ連とその衛星国が弱体化すれば、
テロも局地的で対処可能なものになると思ったのだ」
「それは大間違いだった。テロ支援国が共産主義陣営からアラブ
、イスラム世界に切り替わるとは考えていなかった。新しいテロ支
援諸国は、資金などを通じテロリストを統制する力がない。国際テ
ロは一層危険になる恐れがあったが、テロリストは米国に過剰反応
し、同時テロで米国をこれ以上できないほど怒らせてしまった。短
期的には大成功の作戦だが、長期的には彼らの破滅だ」
―イスラム世界との「文明の衝突」論については。
「文明の衝突とは全然思わない。イスラム教とテロを結びつける
のは偉大な文芸を生み出してきたイスラム文明への侮辱だ。これは
文明と野蛮の対決なのだ。アフガニスタンの旧タリバン政権は殺人
、略奪、女性蔑視(べっし)の犯罪者集団だった。タリバン体制で
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イスラムを判断するのは不公平だ」
―小説「悪魔の詩」でイランの故ホメイニ師から死刑宣告を受け
た英作家サルマン・ラシュディ氏は穏健なイスラム教徒の結集を呼
び掛けているが、同意見か。
「近い将来、イスラム世界に大規模な変化が起きる。一神教の祖
ユダヤ教はもちろん、キリスト教の歴史は二千年、イスラム教も七
世紀以来の古い宗教だ。キリスト教は十六世紀の宗教改革・反宗教
改革という危機を乗り越え、近代化の努力を続けてきた。ユダヤ教
も十八世紀に啓蒙(けいもう)主義をくぐり抜けて近代化された。
イスラム教だけが近代化していない」
「イスラム原理主義政権は聖典コーランの教えの多くに反してい
る。すべての良きイスラム教徒はテロを非難してほしい。長く先送
りされてきたイスラムの改革、近代化を実行するのは穏健派イスラ
ム法学者の責務だ。今回の同時テロを契機にイスラム教の近代化が
始まると思う。それは二十一世紀で最も重要な出来事の一つになる
。原理主義は暴力だけではなく貧困をもたらす原因でもある。イス
ラム教が近代化すれば、中東はじめイスラム世界は発展する」
―イスラム教近代化の内容をもう少し詳しく。
「まず制限のないイスラム教研究。コーランを記録した文書、預
言者ムハンマドの教え、両者の関係などについての学術研究の自由
。二つ目はコーランに基づく宗教法と、近代的な法制度との和解。
三つ目はイスラム諸国で非常に問題のある民主主義の改善だ」
× × ×
ジョンソン氏は保守派ながら、イスラム世界全体を敵視する人々
とは一線を画している。イスラム教徒の中にも「イスラム近代化論
」にうなずく人は少なくないだろう。
熱心なカトリック教徒だが、イスラム教も尊重する。その立場に
は「個人の尊厳」や「法の支配」といった思想を人類にもたらした
のは一神教だとの考え方がある。イスラム教徒も同じ神を信じる人
々だという意識があるようだ。
× × ×
―米英関係の役割は。
「われわれは二つの偉大なアングロサクソン国家であり、二つの
世界最良の民主国家だ。両国の軍・情報機関の関係は密接で、アフ
ガニスタン軍事作戦の自然なパートナー。テロは世界共通の問題だ
。日本やドイツにも、米英ともっと連携してほしい」
× × ×
「偉大なアングロサクソン国家」という言い方は現代の英国の公
の場ではまず聞かない。英国人でも違和感や反発を覚える人が多い
に違いない。英国人にはケルト系や非欧州系もいるからだ。ブレア
政権は「多民族の共存と繁栄」を国家目標に掲げている。
× × ×
―あなたが敬愛するローマ法王ヨハネ・パウロ二世は、米国の自
衛権にも「道義的・法的な限界がある」と訴えた。
「法王は全く正しいし、すべての戦争について言えることだ。必
要以上の殺傷はしてはならない。空爆ではアフガン国民に犠牲者が
出たが、故意ではなかった。米軍は全体として、民間人犠牲者を避
けるため最大限の努力をした」
―国際法は守っていると。
「そうだ。法王と意見が対立するとしたら逮捕したテロリストの
処遇についてだろう。米国は死刑の適用を望むが、法王は死刑を認
めない。死刑の是非は、私が法王と意見が違う数少ない問題の一つ
だ」
―著作の中で、過去一千年の歴史で画期的な出来事の一つは「法
の支配」の拡大だと指摘しているが。
「その通りだ。十九世紀に海賊と戦い、奴隷貿易をやめさせたよ
うに、世界中に『法の支配』を徹底させることが課題だ。二十一世
紀においては、これを国際テロとの戦いに用いなければならない。
どの国の内政にも当てはまることだ」
―日本では、一神教は善悪の判断を独占し紛争をもたらすとの見
方もある。
「日本人は宗教思想も含む世界のさまざまな考え方に、もっと心
を開いてほしい。日本の女性は男性と同じように有能で、さらに開
明的だ。日本は今後、女性の地位が向上するにつれ、世界のさまざ
まな思想を受容していくだろう」
―文明としての米国をどう見ているか。
「米国を旅すれば、この国は世界の縮図、小宇宙だということが
分かる。今も多くの移民を受け入れ、最近はアジアからが多い。中
南米、欧州、アフリカからも大勢の人々がやって来た。『唯一の超
大国』であるだけでなく、すべての国々を内に含む『一つの世界』
という未来像だ」
「米は国際法や国際機関を尊重し、国連決議に沿って行動してい
る。欧州の同盟国やロシア、中国、多くの小国とも協議する。テロ
との戦いは、世界との合意の下で進められている」
× × ×
米国は安保理で拒否権を持つ強国。国際合意を常に尊重している
とも言い難い。しかしジョンソン氏にとって、米国は単なる覇権国
ではなく、人類の未来を映す特別の国。従って、日本も含む世界中
が、米国の危機には協力するのが当然、という主張になるようだ。
× × ×
インタビュー英語版はhttp〓//www〓home〓kyo
do〓co〓jp/の「WorldNow」に掲載します。
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(了) 020119 1500
☆記号のコロン
☆記号のドット
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[2002-01-19-15:01]
http://www.home.kyodo.co.jp/ World Now
01/19 15:00 一神教 外信404
ギリシャ、ローマ神話や記紀神話などの多神教に対立する概念で
、唯一神を崇拝する宗教。砂漠の民族神ヤハウェを信仰した古代ユ
ダヤ教、そこから分かれ世界宗教となったキリスト教、メッカのム
ハンマドがアラーから啓示を受けたイスラム教が代表的。この3宗
教は世界の外部にあって世界を創造した唯一絶対、全知全能の人格
神を信じ、聖書やコーランなど聖典を持つ。「アブラハムの宗教」
とも総称される。成立の新しいイスラム教から見ると、神から十戒
を受けたユダヤ人モーセや福音を説いたイエスも預言者。(ロンド
ン共同)
(了) 020119 1500
[2002-01-19-15:00]
01/19 15:00 ポール・ジョンソン氏略歴 外信403
1928年、英国では非主流派のカトリック家庭に生まれ、オッ
クスフォード大学で歴史学を学ぶ。左派的な週刊誌「ニュー・ステ
イツマン」の記者、編集長を務めた。
76年に社会主義や労働組合への幻滅を語る記事を発表後、著述
生活へ。ナチズムやソ連共産主義を「反キリスト教体制」とみて当
時のサッチャー英首相やレーガン米大統領の反共・保守自由主義を
擁護した。
著書は「近代の誕生」「現代史」「ユダヤ人の歴史」「神の探求
」「アメリカ人の歴史」など約30冊に上る。「現代史」はニクソ
ン元米大統領が愛読書に挙げるなど「米英保守派のバイブル」と言
われた。
カトリック教徒の立場から、「命を神から授かった」人間の存在
を遺伝子の働きに還元する科学思想を批判。合理主義的な思考の独
善や暴走を戒め、「クローン人間」に反対している。(ロンドン共
同)
(了) 020119 1500
[2002-01-19-15:00]