★阿修羅♪ Ψ空耳の丘Ψ16 ★阿修羅♪ |
唐辛子の辛み成分(有効成分)がカプサイシンである。女子大生でも知っている化学
物質名だが、その正体は我々にとって謎である。新大陸原産で、コロンブスがスペイ
ンに持ち帰って以来世界中に広まった香辛料であり、我々旧大陸人が古来から慣れ親
しんできたわけではない植物である。この点ではタバコやカカオ(チョコレートやココア)
又はコカインなどと共通する歴史を持つ。
ここ数年、健康食品としてのカプサイシンが注目されている。特にマスコミでは「陰謀」
的とも思える報道が続いている。「脂肪を燃焼させて肥満を防ぐ。」 というのが主な
効能だが、「たくさん食べれば食べるほどに効く。辛いのは体に良い証拠。」 とされる。
ダイエットとは矛盾する筈の「食欲増進」効果も謳われる。
「苦い」「辛い」「渋い」「塩辛い」といった我々にとって不快な味覚を持つ食物は通常
人体に有害であり極少量を摂取する場合だけ(つまり非常時に薬として使用する)が体
のためになるのだろうと思うが、唐辛子(カプサイシン)に関しては当てはまらないらし
い。まるで夢の健康食として日本では報道・宣伝され食べられている。
唐辛子(カプサイシン)は朝鮮や中国、西南アジアで非常に人気がある食品である。
西欧でも好まれるがあくまで香辛料としてだ。ところがこれら途上国では違う。野菜とし
て食べられる。中国や他のアジア諸国を旅行して悩まされるのは食物の「辛さ」である。
日本の常識(私の常識)を越えた辛さ、なにしろ唐辛子がナスや大根、白菜などと同じ
感覚で入っているのだから、「辛くないように、NO hot NO チリー」 などとさんざん
念を押して注文しても、結局辛くて一口も食べることができないことも多い。どうしてこん
なに辛くするのか。肉などの食材が古くて(半分腐っていて)とても口にすることはできな
い状態でも、辛くすれば食べることができる。日本に住んでいれば(又は優雅な旅行ば
かりしていれば)想像できないだろうが、途上国で生活(仕事・旅行)していると「食べる
ことが生きること。」 という状況に陥ることがある。生きるために食べねばならない。とて
も食べる気にはなれないときやモノであっても生きるためには食べねばならない。唐辛
子の辛み(カプサイシン)は総ての不快臭や厭な味覚を消してくれる。何でも食べること
ができるモノに変えてくれるのだ。暑くて暑くて、食欲などとは無縁な時でも、唐辛子の
熱さは暑さに勝つ。
カプサイシンについて科学的(薬物学的)な記述がある本があった。引用すると、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カプサイシンの辛さ(痛さや熱さ)を感じるには、まず受容体に結合しなければならない。
カプサイシンが結合した受容体からは神経シグナルが発せられ、それが脳に入って刺激
することでノルアドレナリンやβエンドルフィンが放出される。このため交感神経が興奮して
血糖値や心拍数が高まり、血圧が上がって体温が上がる。 従ってカプサイシンは代謝を
高めることになるためエネルギーをより消費させる。そこでカプサイシンは、肥満解消に
利用できるのではないかと期待が高まっている。
・・・・・・・・・・・・・・・
危険を知らせる警報機
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まだはっきりしたことはわかっていないが、次のようなことが考えられる。
大昔からヒトが生きていくことは容易なことではない。ときには、危険なほどの高温に
遭遇することもあるだろう。そんなとき、カプサイシンによく似た物質が生産され、それが
結びついた受容体が痛みのシグナルを出すことで、脳に、危険が迫ったことを知らせる。
これによって脳はヒトに危険から逃れる行動をおこさせるのであろう。
つまりカプサイシンの受容体は、脳に危険を知らせる警報機だと推測できる。
「脳と心をあやつる物質」 生田哲 BLUE BACKS(講談社) 1999
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カプサイシンには殺菌効果はまったくないようだが代わりに我々の白血球を増やし免
疫力を高める作用があるという。病原菌や毒素に対して抵抗力をつけてくれるらしい。
その他、体温を挙げ血圧も上げて身体の「危機」に備えさせる働きがあるわけだ。
人体細胞は破壊(傷)や炎症を受けたときにブラジキニン、セロトニン、プロスタグラン
ジンなどの神経伝達物質やホルモンを生産・分泌する。これらの物質は各々の受容体
(レセプター)に結合して脳にこれらの情報が伝達される。脳は「痛み」とか「熱さ」として
これらの情報を認識し又必要な対処をする。血圧も上げ、苦痛を消し幸福な気分にす
るβエンドルフィンも脳内に放出される。人体は警戒・臨戦体制に移行する。カプサイシ
ンは分子構造がこれらの神経伝達物質に似ているために警報機受容体に結合し、そ
の結果我々の人体を警戒・臨戦体制にもっていくのだ。
実際は幸福でもないのに「幸せ」を感じさせるマリファナやヘロイン、コカインを常用
(乱用)すると、現実世界の幸せ(快感・満足)からは遠ざかり人格的破滅に向かう。同
じように「敵が攻めて来るぞ、来たぞ。」 という偽警報を発するカプサイシンを常用して
いれば、狼少年の例のごとく、我々人体の緊急警戒態勢発動システムは乱され・破壊
されるだろう。不審船騒動みたいな、悪魔の陰謀か。
唐辛子を多量に食べるのは「非常時」だけにした方が賢いだろう。妊婦や幼児・子供
にも×。また高血圧を気にする中高年も避けよう。寝ていて沢山食べて、でも肥りた
くないヒトには○。
神経細胞のシナプス間で情報のやりとりに関与している物質が神経伝達物質で
百数十種類あると言われるが、確認されているのは25種類程度、主なものは、
アセチルコリン、ノルアドレナリン、ドパーミン、セロトニン、ギャバである。その他、
グルタミン酸、タウリン、メラトニン、ヒスタミン、エンドルフィン類、一酸化窒素、一酸化
炭素など。人体外から与えられた場合には多くは猛毒として作用する。
ほぼ接触している神経細胞のシナプス間ではなく、血液など体液に内分秘腺から
放出されて動物体内での情報伝達に関与している物質がホルモンである。
情報が伝わるメカニズムは精神伝達物質もホルモンも同じである。
化学的形状が正規ホルモンと似ているために偽ホルモンとして作用し、我々の生
体システムを狂わす物質を環境ホルモン(内分泌攪乱物質)と呼んでいる。
受胎期・幼児期・幼年期に、これら神経伝達物質やホルモン、または「偽」神経伝達
物質やホルモンの攪乱作用で脳が影響されると、様々な性格異常、行動傷害、心身
障害、精神病・・・が生じる原因になると思われる。
(成人後の社会的・物質的環境でも精神異常は生じる。薬物や拷問でも。 エイズや脳炎、
脳症、また脳の器質的傷害でも。)