★阿修羅♪ Ψ空耳の丘Ψ16 ★阿修羅♪ |
【僕の自転車の後ろに乗りなよ 】 忌野 清志郎 (TVブロスより抜粋)
第16回 道路は続くロードも続く
とは言え、そんな些細なことなど風を切って進めば取るに足らぬ恥ずかしいようなコダワリなのでした。夢の実現のために努力するというのは、いくつになっても心が燃えるもの。好きな歌を歌って旅をして自転車旅行のためのトレーニングをする。まるで神様に選ばれた人びとのようだと時々思いました。
世の中は不景気で活性化とか改革だとかTVのニュースなどではよく言ってましたが、それがどうであれ、自分の足を回転させて腕でハンドルバーを持ってサドルに尻を乗っけて排気ガスだらけの都市や自然の溢れる田舎の道を走る。
本当に経済って何なんだろう。消費が落ち込んでるなどと騒いでも実はもうあまり買うものなんかないのに。新製品といってもマイナーチェンジしたようなものばかりだし。生活に必要な物はずいぶん前から、もう全部そろってるんです。そんなに消費ばかりさせないで下さいよ。携帯電話、メール以前も同じクオリティのしごとはできていたわけで、必要もないのに人びとはそっちに走ったとは言いませんが、僕のようなひねくれ者には誰かの陰謀のようにも思えてしまうのです。だってテレビでは携帯電話のCMが多すぎると思いませんか?
リストラされて自殺したり殺人を犯したりって何なんだろう。成功したとか名を成したとかってどうなんだろう、現代文明のシステムっていうものは人びとを盲目にしてるんじゃないのか、どこまで発展すれば気がすむんだろう、ここでやめてもいいんじゃないのか、今のままでもまだまだ知らない世界、走ったことのない道、行ったことのない場所があるんじゃないか、僕達が一生かかっても全部は見れないじゃないか、いろいろ思いました。
するとダンプカーが幅寄せをして排気ガスを吐きつけ、マイカーが不必要なクラクションをうるさく鳴らしました。誰かが「民度が低いとしか言い様がない」とか「あんなやつにクルマの免許を取らせちゃいかん」とか「自転車よりクルマの方が偉いと思ってるのさ、品性を疑うね」とか言いました。 それはみんなが感じたことでした。
7月の太陽は容赦なく照りつけました。いろんなことを感じ、たくさんの汗を流しましたが、宿に帰るとそんなことも全部忘れて明日走る道を決めるためにみんなで地図を広げました。(以下略)