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アメリカの帝国主義がアメリカを崩壊に向かわせる:チャルマーズ・ジョンソン

投稿者 dembo 日時 2001 年 12 月 27 日 07:27:16:

アメリカの帝国主義がアメリカを崩壊に向かわせる。
チャルマーズ・ジョンソン(国際政治学者)
『PLAYBOY』2002.2

 今、世界は非常に危険な状態にあります。アメリカ合衆国のアフガニスタンでの軍事活動は、単純にさらなるテロ行為を呼ぶことになります。それは、9月11日のテロ事件の犠牲者だったことで、高い位置にあったアメリカのモラルを失墜させ、他国の協力体制も弱めるでしょう。
 今私が最も恐れているのは、アメリカ軍があまりに肥大化していることです。膨大な軍事費をかけ、高度な技術を持ち、軍事力で対抗できる国が世界に他にないことです。アメリカと戦争をするということは、自殺行為です。従って、アメリカに対して唯一対抗できる手段は、一般市民を襲うテロ行為だけなのです。

アメリカ市民の自由がどんどん失われている 

 アメリカがその外交政策を変えない限り‐そして、今のところその予兆は、全く見て取ることはできませんが‐、アメリカに対するテロは、増えるばかりでしょう。つまり、アメリカ人なら誰でもかまわず、国内だろうと海外だろうと、どこにいてもテロのターゲットとなるのです。
 こうした状況が続くならば、この先アメリカ国内で待っているのは、ゆっくりと進む軍事クーデターでしょう。アメリカの軍部は、その組織を守るために、少しずつ国を支配していきます。第二次世界大戦中に日本に起こったように、あるいは、1989年までの東ドイツのように、国民の半数が残りの半数をスパイして、市民の自由がなくなるような国になってしまうことでしょう。
 これは、本当に危険な状態です。現実に、アメリカでは市民の自由が日に日に失われつつあります。ブッシュ大統領は、ついに特別軍事法廷の設置をオーソライズしました。テロリストの疑いがある市民を一般の裁判ではなく、軍事法廷で裁くことを可能にしました。
 ジョージ・ワシントンの「訣別辞」やアイゼン・ハワー大統領が警告したように、徴兵制がなく一般市民との接触もないうえに、あまりに拡大した軍事力は危険なのです。
 本当に危険な状態というのは、我々がすでに国家の形を失っていて、それに対して何もできていないということなのです。このまま行けば、10年前にソビエト連邦が崩壊したのと同じ道を歩み、近い将来アメリカ合衆国が崩壊する可能性が高いということが、はっきりと言えます。
 もし私が15年前に、「ソビエト連邦が5年後に崩壊する」と言ったとしたら、人々は私を狂人だと思ったでしょう。しかし、ソ連は崩壊しました。そして、今のアメリカは、以上の3点において崩壊5年前のソ連にそっくりなのです。
 まず第1に、国内経済が矛盾を抱えていること、第2に、あまりにも増長しすぎた帝国主義によって、あまりにも多くの国々に関与しすぎていること。そして第3に、それらについて改革が不可能な状態にあることです。
 今のところ、ブッシュ大統領は人気があるように見えます。しかし、彼は選挙で選ばれた大統領ではない。最高裁の極右勢力によって指名された大統領なのだということを誰もが知っています。少なくとも国民の50%は、彼を合法的に選ばれた大統領だとは思っていないのです。ヨーロッパや世界のその他の国々では、ジョージ・ブッシュ大統領は愚か者であり、窮地に陥っていると見ています。彼は、父親の時代の80年代から政府にいる非常に危険な極右思想の持ち主を自分の周囲に集めました。チェイニー副大統領、パウエル国務長官、ウォルフォウィッツ国防副長官、アーミテージ国務副長官などです。彼らが湾岸戦争やアフガニスタンに対して取った活動が、直接今日の事態を引き起こした原因の一つなのです。それが、CIAが使った「ブローバック(報復)」というコンセプトなのです。つまり、自分たちが行った帝国主義政策が、意図せぬ結果となって戻ってきているのです。
 アメリカの指導者は、特にこのブローバック(報復)というコンセプトを非常に恐れています。それによって、アメリカの外交政策の誤りが、この何千人もの犠牲者を出したテロ事件に少なくとも責任があることを、人々に気づかせてしまうからです。だから、ブッシュ大統領はこの同時多発テロの真の原因について議論が起こることを、あらゆる権力を使って防ごうとしています。そしてまず最初に、「悪人(evil doers)」という言い方をしました。非常に古い英語の表現です。悪を行う者は、動機をもっていません。ただ悪い人なのです。あるいは、サミュエル・ハンチントンの言う「文明の衝突」というイデオロギーに議論をすり替えようとしました。なぜなら、文明の衝突ならば、誰のせいでもないからです。
 しかしブローバック(報復)という議論で語れば、アメリカおよびCIAが79年から2001年までアフガニスタンでソ連を陥れるため実行していた政策が、9月11日の事件につながっているということに国民が気づいてしまうのです。今のところ大統領は、非常に巧妙に、「なぜ私たちが嫌われているのか」について、議論をそらすことに成功しています。
 もちろんこの状況は、アメリカのメディアの堕落にも帰因しています。90年代にこの国のメディアに起きたことは、マードックによるテレビと新聞の統合や、AOLとタイム・ワーナーの合併など、大きな画一化でした。非常に大きなコングロマリットができあがり、ニュースに価値がなくなってしまいました。その証拠に、今日多くのアメリカ国民が、英国BBCのテレビニュースを見るようになり、「フィナンシャル・タイムズ」や「ガーディアン」といった英国の新聞を購読するようになっています。アメリカのテレビニュースや「ニューヨーク・タイムズ」や「ワシントン・ポスト」は、単に政府の代弁者に成り下がっているので、信用していないからです。
 9月11日の後、我々には、すぐに3つのことができたはずなのに、そのどれもがなされていません。
 第1に、我々はサウジアラビアから軍隊を撤退させなければならなかったのです。もしこのまま米軍が残っていれば、79年のイランがそうだったように、サウジアラビアは崩壊するでしょう。
 第2点は、イスラエルについてです。アメリカは戦後の日本にそうしたように、国策としてイスラエルという国の存続を保証すべきです。しかし、イスラエルのパレスチナへの介入には徹底的に反対し、彼らを撤退させなければならなかったのです。
 第3に、我々は石油消費の削減を始めなければならなかったのです。それによって、中東およびペルシャ湾の石油への依存度を減少させなければならなかったのです。もし、アメリカ国内のSUVやトラックなどの大型乗用車の利用を減らせば、我々は簡単に今の石油の消費を50%削減できるのです。
 それらのことを行う代わりに、我々の政府は、アフガニスタンを攻撃し、戦争を始めました。その結果、これから先我々に対するテロ行為はさらに増え、我々の社会はさらに軍事化し、市民の自由は制限されることになるでしょう。

アメリカに盲目的に追随する衛星国・日本
 
 そして、日本はというと、そのアメリカに、何も考えることもせず、無批判にそして盲目的に追随しています。英国でさえ、少なくともブレア首相の行為に批判的な意見を述べ、議会でもブレア首相の反テロ法案成立を阻止しているというのに。
 日本が、アメリカに追随するのは、特にアーミテージ国防副長官の恫喝によるところが大きいと私は見ています。アーミテージが日本側に、「ショウ・ザ・フラッグ(日の丸を見せてほしい)と迫ったわけです。これは実はアメリカの圧力ではなくて、米政府の極右保守主義者アーミテージが、日本に憲法を無視させて、軍事力をもっと強めたいと願ってかけた圧力なのです。でも忘れないでほしいのは、ほとんどのアメリカ人は、アーミテージの名前など知らないということです。彼の名前は、日本での方がよく知られています。我々はパウエル国務長官は知っていますが、国務副長官なんて誰も気にしていないのです。
 また、ほとんどのアメリカ国民は、日本が軍事的に貢献をすることにはまったく関心がないのです。今日、アメリカの新聞に載る日本に関する記事はと言えば、いかに日本経済が日に日に悪化しているか、日銀がどんな危険を抱えているか、そして就任後6ヶ月がたっているのに、小泉首相の構造改革がいかに進んでいないかということなのです。世界にとっての脅威は、日本の経済がさらに悪化することによって世界経済が恐慌に陥ることであって、頼りない日本の軍艦が3隻インド洋に繰り出していくことに対しては、まったく関心がないのです。
 しかし、日本では、小泉首相が、非常に巧妙にこのテロ事件を利用して、彼が本当にやらなければならない財政構造改革に対するプレッシャーから国民の注意を逸らすことに成功しています。そして、ただ単に自分の友人であるアーミテージ国防副長官の気に入るように、進んでいるのです。
 ブッシュ大統領の父親の昔の友人たちの思惑通りに、もしこの戦争にアメリカが簡単に勝つようならば、我々はますます危険な状態に陥るでしょう。もし米軍がアフガニスタンに長く居座るようなことがあれば、あるいはもし米軍がこの先、イラクやイエメンや、ソマリアやリビアなど、他の国々にまで軍事行動を起こすようになれば、アメリカ合衆国は、世界中から孤立することになるでしょう。友好国との連帯はますます悪化します。ナンバーワン衛星国である日本と英国を除いては。ヨーロッパ諸国はすでに、アメリカ合衆国に極めて懐疑的な目を向け始めています。こうした懐疑的な考え方は、京都議定書の拒否や、ダーバンでの人種差別撤廃会議における否定的な態度や、対人地雷撤廃への拒絶などの利己的な態度からも来ているのです。
 このまま行けば、短くて幸福だったアメリカ合衆国の命は、終わりを告げることになるでしょう。ソビエト連邦よりは、崩壊までに時間がかかるかもしれません。しかし私には、アメリカがソ連と同様に、致命的な失敗を犯しているとしか思えないのです。(談)




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