投稿者 あっしら 日時 2001 年 12 月 07 日 16:57:37:
今朝未明に、[戦争5]ボードに、「ブッシュ政権はアフガニスタンでの戦争に敗北した」( http://www.asyura.com/sora/war5/msg/565.html )と題する書き込みを行った。
要約を抜粋すると、『ブッシュ政権の敗北という判断は、中央アジアの石油・天然ガス資源をアフガニスタンのパイプライン敷設を通じてインド洋まで運び出す条件を得ることが今回の戦争の戦略と見た場合のもので、公言しているウサマ・ビン・ラディンの捕捉が戦略というのであれば、まだ決しているわけではない』というものである。
このような“敗北”説に立つと、今回の対アフガニスタン攻撃で護衛艦派遣を政府に直訴し、その貢献によりアメリカ国務省から謝辞をいただいた(「SAPIO特集号」より)柳井前駐米大使が、読売新聞(11・8朝刊)「論点」で主張した、自衛隊の派遣により中央アジアの石油・天然ガス資源に日本も関わることができるという“戦略”が破綻したと言えるだろう。
※ 外交官が、職務上知り得たことをべらべらとしゃべったうえに、政府がなんらコミットメントしていない「資源権益」と自衛隊艦船派遣を結びつける言動を行うというの“重犯罪”である。
なぜかと言えば、石油・天然ガスの資源そのものはないアフガニスタンを経由して、掘削したカスピ海・中央アジアの天然資源をインド洋まで運ぶためのパイプライン敷設が、アメリカなど今回のアフガニスタン攻撃で同盟国となった国家の“企業”で行える状況にはならなかったからである。
例えば、トルクメスタンの天然ガスをインド洋まで運ぶパイプラインは、アフガニスタン西部(ヘラートあたり)を通ってカンダハル南方を通りパキスタンに抜けるルートが合理的だと考えられている。カスピ海周辺の石油や天然ガスも、同じようなルートが考えられている。
今回のタリバンによるアフガニスタン南部3州(拠点といわれるカンダハルを含む)の明け渡しは、これまでタリバンの“旗”のもとで動いていた武装兵力が、2,3歩歩いて、別の“旗”のもとで動く武装兵力になったというものでしかないと見ている。
もともと、タリバン軍は近代国家の正規軍とは違うものである。
タリバン政権自体が、パキスタンに流出したアフガニスタン難民のなかで当時のアフガニスタンの実状を憂う神学校出身者が、オマルさんの元に結集し、パキスタン政府を中心とした支援を受けながら、10・8までに国土の90〜95%を実効支配するまでに至ったものだと考えている。
そして、90〜95%の実効支配といっても、“少数”でしかないタリバンが津々浦々支配しているわけではなく、今回のアフガニスタン諸勢力の興亡と同じように、旧反タリバン勢力であった地元有力武装勢力の“司令官”が「じゃあ、タリバンの“旗”の元で従来通りこの地域の統治をやらせてもらいます」といったものの推移が“足し算”されたものであろう。
タリバン軍と言われるものも、そのような集合体でしかないと思う。
タリバンそのものも、「信仰欲」は強くあっても、いわゆる「権力欲」は少なかったと思う。
だから、タリバン政権が消滅しても、その信仰に基づく「タリバン運動」は生き続けるはずだ。
それは、オマル師がブッシュ政権に引き渡されて“処分”されたとしても変わらないだろう。それどころか、そんなことを行えば、よりいっそう激しい憎悪を煽るだけになる。
10・8のブッシュ政権による対アフガニスタン攻撃開始から昨日の最終的なタリバン政権の消滅
まで、ブッシュ政権は、とてつもなく非人道で暴虐無比の軍事行動を継続してきた。
ああいう市民や捕虜の虐殺は、誰がどう抗弁しようとも“戦争犯罪”である。
そのようなことを行ってしまったアメリカやイギリスをはじめとする同盟国の“国籍”を持つ企業が、アフガニスタンでパイプラインを敷設できるだろうか、百歩譲って、パイプラインを敷設できたとしてもそれを安全に維持できるだろうか。それこそ50万の規模の部隊を投入したとしても、破壊活動を完全に防ぐことはできないだろう。
では、日本政府が、「9・11空爆テロを強く非難し、国際的な対テロ対策の必要性とその推進を呼びかける」と高らかに宣言しつつ、日本国憲法を盾にブッシュ政権の軍事行動への誘いをのらりくらりとかわしていたらどうだろう。
そうだったなら、今すぐではないだろうが、アメリカ政府に、「お困りでしょう。日本が微力ながらアフガニスタンのパイプライン敷設をお手伝いさせていただきたいと思っているんですが...もちろん、大それたことなんか考えてはいません」と話を持ちかけ、シェブロンやBPにも、「アフガニスタンのパイプラインを通る石油や天然ガスは、かたちだけでも、日本企業のものということにしたらどうでしょう。別に資源の権益がどうのこうのとは言いません。ただ、日本への安定的な供給だけはよろしくお願いします」と交渉することが出来ると思う。
もちろん、高い能力を持った交渉担当者であれば、目一杯の“権益”をせしめることができる可能性だってあるだろう。
幸いなことに、豊富な天然ガスを埋蔵しているトルクメスタンは中立国で、今回のアフガニスタン攻撃に対しても中立の立場を貫いている。アフガニスタン人だって、これまでは日本に親近感を抱いていたのである。
そのようなトルクメスタンと組めば、早い段階でアフガニスタンでのパイプライン敷設事業が始められる可能性もあるだろう。
個人的には、別に、資源の権益にこだわっているわけではない。
数日前に次のような書き込みを行ったことをフォローアップする趣旨で、今回の書き込みを行っている。
「小泉首相、ブッシュ大統領に頭を下げてすぐに手を引くべきです」(このボードの少し下ったところにあります http://www.asyura.com/sora/msg/523.hrml )
『日本のためには、石油などの資源が必要だし、生産した商品を販売するための国際市場も必要だと考えられていることは理解できます。
そのためには、このままブッシュ政権にくっついていくことが最良の選択だと思っているのですか?確かに、一時的にはそうである可能性はあります。
しかし、それを永続的なものにするためには、世界各地で、自己の生存権と尊厳をかけて抵抗する人々をテロリストとレッテル貼りしながら殺戮し続けなければならないことになります。
このような戦いで、ブッシュ政権を中心とした同盟諸国が最終的に勝利できると思われますか?
唯一勝利できる道は、そのような人々を一人残さずこの地球上から消滅させることです。
そのようなことを同盟諸国の人々がこれから先もずっと見過ごし続けるとお考えですか?
それはそうだろうと思われるのなら、これ以上は何も言いません。あなたを軽蔑し憎悪するだけです。
今ここで、ブッシュ政権の恥知らずな軍事行動に背を向けることこそが、これからの日本が、資源を確保し、国際市場を維持できるための最良の選択だと私は考えます。』
今でも決定的に遅いわけではない。
日本政府が、急ぎ「対テロ」政策の転換をはかることを期待する。