投稿者 mainichi 日時 2001 年 11 月 20 日 11:44:57:
小泉首相:「決定は内閣に一元化」 法案の与党事前承認を覆す
小泉純一郎首相は19日、首相官邸で保岡興治元法相ら自民党国家戦略本部メンバーと会
食した際、内閣と与党の関係について「政治改革が必要だ。決定は内閣に一元化するのが正
しい方向なので検討してほしい」と述べ、内閣が与党の事前承認なしに法案を提出できるよ
うな政治制度の検討を指示した。内閣は憲法に基づき国会への法案提出権を持つが、事前に
与党の審査、了解を得るのが慣例になっている。首相の指示はこれを覆すもので、自らが志
向するトップダウン型の政治手法を強めるものだ。ただ、事前審査制は与党議員の力の源泉
となってきただけに、自民党などから強い反発が出るのは必至だ。
懇談で首相は事前審査制について「内閣、党の歴史を見ても、慣行として作られた。過ぎ
たるは及ばざるごとしだ」と述べ、政策決定過程に与党が関与するシステムは、55年体制
では有効に機能したものの、現在は改革断行の足かせになっている認識を表明した。
与党による事前審査廃止の提言は、綿貫民輔衆院議長の私的諮問機関「衆議院改革に関す
る調査会」が19日に提出した答申にも盛り込まれた。
与党による内閣提出法案の事前審査制度は60年代から始まった。学者やジャーナリスト
らでつくる「新しい日本をつくる国民会議」事務局によると、国会提出した法案に一部省庁
と与党側が反発し、法案審議に入れなかったのがきっかけで、自民党からの申し入れに内閣
が応じる形で導入。70年代後半に現在の形式が出来上がったという。内閣は、党の了承が
なければ法案を提出できないため、事前審査制ができあがる過程で内閣と省庁との間で利益
を調整する族議員も生まれたという。
首相は現在、道路4公団の民営化を軸に特殊法人改革に取り組んでいるが、自民党などか
ら強い反発を受けている。首相の指示は、改革を妨げているのは、従来の決定プロセスがあ
るからとの認識に基づくもので、「真の議院内閣制にあった党のあり方を検討する必要があ
る」と強調した。
19日には「新しい日本をつくる国民会議」の亀井正夫会長が、与党による事前承認制廃
止の必要を訴えた提言書を首相に手渡した。この後首相は、記者団に「与党の了承を得るの
が慣例だったが、法的な根拠はないと聞いて面白いなと(思った)。必ずしも党内の了承を
得てから予算編成なり法案なりを作らないといけないという法律はない」と語った。