投稿者 サイファー 日時 2001 年 10 月 25 日 14:09:54:
「容認83%」の怪
読売新聞は10月23日朝刊1面に「米の軍事行動 容認83%」のトップ見出しで、同社の行った全国世論調査結果を発表した。[調査日10月20,21日 対象者 全国有権者3000人(250地点、層化2段無作為抽出) 個別訪問面接聴取法 有効回収1911人(63.7%)内訳 男49%、女51%]
「容認83%」のよりどころとなった質問と回答は下記のとおり。
◆質問:「アメリカで起きた同時テロを受けて、アメリカとイギリスなどは、国際社会に協力を求めながら、テロ組織を根絶するための軍事行動を開始しました。あなたは、これを当然だと思いますか、やむを得ないと思いますか、それとも、容認できないと思いますか。」
◆回答:
当然だ 23.2%
やむを得ない 59.5%
容認できない 14.9%
答えない 2.4%
「米の軍事行動容認83%」という見出しは、「当然だ」とする積極的容認の回答と「やむを得ない」とする消極的な回答を合算した82.7%を根拠とすると思われる。
ここでまず問題となるのは、回答の選択肢がたった3つしか用意されていないことだ。
調査対象者はいろいろ言いたいことはあっても、わずか3つの答えの中から苦渋の選択をせまられる。しかたなく「やむを得ない」を選んだ調査対象者は少なくないはずだ。
さらに、質問文がクセモノ。質問の中に「アメリカとイギリスなどは、国際社会に協力を求めながら、テロ組織を根絶するための軍事行動」との文言があるが、これは一種の誘導尋問ではないか。横並び志向の日本人なら、この暗示にひっかかること間違いナシ。
(アメリカもやイギリスなど国際社会はみんな軍事行動に協力するのに、ここで反対しちゃあ、まずいわなぁ)
(うーーん、やっぱり「やむを得ない」に○つけんとあかんかいなぁ)
と思わされて、結局「やむを得ない」と答えた人の数は相当数にのぼると思われる。
もうひとつ。この質問は「内閣、政党支持率調査結果」に付帯して行われたもので、10の質問のうち最後から3番目の問いにあたる。「あなたは小泉内閣を支持しますか」など6項目の国内政治に関する質問が続いたあと、ドサクサ紛れに行われたものだ。
正面きって「米国の軍事行動について」のアンケートをお願いします、と言われ、さらに「アフガンでは誤爆続きで民間人にも多数死傷者が出ているとみられます。あなたは米国の報復攻撃を当然だと思いますか、やむを得ないと思いますか、それとも、容認できないと思いますか。」と聞かれたら、「当然だ23.2% やむを得ない 59.5% 容認できない 14・9%」とはかけ離れた数字が出るはずだ。