投稿者 平成の鞍馬天狗 日時 2001 年 9 月 15 日 21:26:56:
アメリカ同時多発テロと、ブッシュ大統領の「21世紀の新たな戦争だ」との位置付けから、この事件を様々な対峙として描く議論が出ている。
(1)自由と民主主義の国際社会と、テロ組織及びテロ国家
(2)イスラエルとアラブ(中東問題)
(3)ユダヤ・キリスト教と、イスラム教(文明の衝突)
(4)歴史的に生み出された裕福な社会と貧困な社会(南北問題)
戦争と革命あるいは科学技術の20世紀、そして東西冷戦体制を世界大戦を伴わずに崩壊させた、また地球環境という地球有限時代を認識した世紀の後に、人類がどのような21世紀を目指すのかを考えるとき、この事件は次のように解決する知恵が求められているのではないか。
あの湾岸戦争は果たして成功だったのか。多国籍軍はイラクを撤退させたが、国際社会は、イラクのクエート侵攻からの一連の事件を21世紀の世界秩序に向かう単なる1つのエピソードに押し込めることが出来てない。今回の事件も、対応の仕方によって益々世界的問題として増幅し、歴史的課題を混迷させる可能性を秘めている。テロという行為が目指しているのは、その行為を単なる犯罪ではなくより敷衍的問題に錯覚させることである。
従って、とりわけEU、日本及びアジア諸国が意識して行動し、メッセージを発さなければならないのは、この事件を、上記(1)に押し込めて(2)から(4)の問題に拡散させないこと、一方、この事件に21世紀の世界秩序への主要な課題はなく、それに向かう単なるエピソードとなるような解決を目指すことである。21世紀の課題を、(1)自由と民主主義の国際社会と、テロ組織及びテロ国家との対峙に矮小化し、世界の指導者を途中下車させ休ませてはいけない。そして私たち地球市民も。
21世紀の課題は、地球有限時代を意識し、環境負荷を市場経済に組み込む構造改革の中で、(2)イスラエルとアラブ(中東問題)、(3)ユダヤ・キリスト教と、イスラム教(文明の衝突)、(4)歴史的に生み出された裕福な社会と貧困な社会(南北問題)、すらも飲み込んでいく知恵を生み出すことである。
今回の対応に失敗すること(=問題が拡散すること、時代の要請を矮小化・途中下車すること)は、必要であるアメリカの力と威信を失墜させ、中華主義の抜けていない中国を相対的に浮上させることにもなり、ロシアの影響と共に、東アジアの新秩序を「自由と民主」ではなく「旧いパワーポリティックス」や「旧い同盟関係」に基づくものに引き戻してしまうことになりかねない。
日本・日本人が国際社会に貢献するスタンスが、ここから見えるはずだ。
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