投稿者 asahi 日時 2001 年 9 月 03 日 09:18:35:
侵略阻止から緊急対応へ 防衛大綱改定の方針
防衛庁は、防衛力整備の基本計画となる「防衛計画の大綱」を大幅に改定する方針を
固めた。大規模侵略からの防衛を主眼とする冷戦期以来の考え方を転換し、ゲリラ・不
審船の侵入、地震や原発事故など緊急事態への対応を重視。沖縄など南西諸島海域で活
発化する中国の活動をふまえ、部隊配置の再編も視野に入れる。9月末にも中谷元・長
官をトップに「防衛力のあり方検討会議」(仮称)を設置して議論を始め、05年まで
には新たな大綱を完成させる。
大綱は76年に初めてつくられ、冷戦後の95年末に現大綱に改められた。部隊編成
や装備の導入目標を5年ごとに定める中期防衛力整備計画(中期防)づくりのもとにな
るなど、防衛政策全体の方向を定めている。
現大綱の完成後、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のテポドン発射や不審船侵入事
件が起きた。ミサイル防衛の日米共同技術研究や、軍事情報分野での革新的変化への対
応も迫られる。
このため防衛庁は自衛隊の役割の比重を大規模侵略への対処から、(1)ゲリラや不
審船を念頭に置いた「領域警備」や緊急対応(2)地震などの自然災害や原発事故など
の特殊災害といった有事以外の危機対応能力の向上、に移す検討を始めた。こうした考
え方に沿って新大綱に書き換える。
自衛隊の災害派遣などに対する国民の期待を反映させるとともに、国連平和維持活動
(PKO)や緊急援助活動も重視。新たな日米防衛協力のための指針(ガイドライン)
や米国の戦略見直しを踏まえ、在日米軍基地の整理・統合のための米国との協議も、重
点課題として打ち出すとしている。
同時に、東シナ海の海洋資源をめぐる中国艦船の南西諸島海域への進出を背景に、旧
ソ連の侵攻に備えた「北方重視」の部隊編成の見直しをさらに進め、南方展開能力を重
視した配置を検討する。
南西諸島海域は広大で移動に時間がかかる点などを考慮して、新たな部隊編成や人・
資材の輸送能力の強化について議論する方向だ。
01〜05年度にわたる現在の中期防は、03年に中間的な見直しの時期を迎える。
防衛庁は今後の検討結果をこの見直しに反映させたうえで、05年までに完成させる新
大綱をもとに06年度からの中期防を策定する方針だ。(06:23)
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