投稿者 mainichi 日時 2001 年 8 月 18 日 12:45:46:
米国防政策目標:大量破壊兵器対処能力など5項目 国防副長官
【ワシントン布施広】ウルフォウィッツ米国防副長官は16日記者会見し、米軍の新たな戦略の目標として、核兵器やミサイルを含む大量破壊兵器への対処能力や、遠距離攻撃能力の維持・向上を図ることなど5項目を挙げた。これらの要素は、9月末に策定される「4年ごとの国防戦略見直し」(QDR)に盛り込まれる見通しだ。副長官は明言を避けたが、欧州駐留米軍は大幅に削減されるとの観測が強まっている。
副長官が掲げた目標は、(1)核・生物・化学兵器や弾道ミサイルによる攻撃への対処(2)米軍の兵力を遠方に派遣・維持する体制づくり(3)長射程ミサイルを含めた遠距離からの正確な攻撃能力――などで、大量破壊兵器への対抗策としては、米本土や国外における各種ミサイル防衛の配備を念頭に置いている模様だ。
副長官は「宇宙空間での作戦行動」も目標の一つに挙げた。ラムズフェルド国防長官は今年5月、偵察衛星の防護も含めて「宇宙防衛」を強化する方針を表明。また、ブッシュ政権はミサイル防衛の一環として、宇宙空間で敵ミサイルを破壊することも検討しており、戦略見直しによって宇宙の軍事利用が進む可能性もある。
一方、軍事力の効率運用をめざすブッシュ政権は、欧州での紛争ぼっ発は考えにくいと判断、冷戦下の体制を全面的に見直し、軍事的比重をアジア・太平洋地域へと移す方針。米マスコミは、ブッシュ政権が約10万人の欧州駐留米軍のうち約1万5000人を撤収させ、兵力削減で浮いた経費をミサイル防衛構想などに回すことを検討中と報じている。
これについて副長官は「まだ決定していない。これから決めるべきことだ」と述べ、米軍削減を検討していることを暗に認めた。欧州駐留米軍が削減対象かどうかは明言しなかった。また、現時点で「脅威」となる国として、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とイラクを挙げたが、限定はせず、柔軟に対処する必要性を強調した。
[毎日新聞8月17日] ( 2001-08-17-19:01 )