投稿者 踊る藁人形 日時 2001 年 7 月 25 日 00:41:00:
日経記事『人間発見 心の音 命の響き(2) バイオリニスト 千住 真理子氏』
より抜粋します。なお、【 】は投稿者註です。
【全日本学生音楽コンクールで】二位が刺激となって翌年のコンクールに向けた本格的な練習が始まる。練習計画は理工系出身の両親【父は慶大の数学者、母は化学専攻】ならではのち密さだった。 |
【1】 一位になるための計画は、本当にすごかった。母がまず、楽譜を大量に買ってきて、各ページごとに切り、テクニックが難しい順に並べる。次に、私の得意なところもすべて切り取って並べる。母は当時、曲を見て重要な部分を二つ挙げて、王様と女王様【ムチは持っていません】をつくりなさいという。そこで、それも切り取って並べる。
【2】 こんな具合に並べた楽譜を大学ノートに一ページずつはっていき、どう練習したら難しいところができるようになるかという自分の考えをページの下に書き込む。例えば、これをある速さで百回弾こうとか書いていく。そうすると、母が計算上の予想練習時間を割り出し、書き込んでくれるんです。たぶん計算は父も手伝っていたと思います。
【3】 実際の練習結果も日記のように書いていき、予想時間との差が出れば理由も書き込む。例えばうまく弾けなかったとか、練習の途中でトイレに行ったとか、と書いていく。これを毎日、続けたので、次第に要領がわかってきて、どの部分を何回弾くとどれくらい時間がかかるかが頭で計算でき、考えながら練習できるようになっていきました。
【4】 予選会が近づくにつれ、練習の内容を細かく変えたのですが、その相談や予想と結果の食い違いを考えるのが楽しかった。
数学を解いているような楽しさもありましたし、スポーツをやっているような達成感もありました。これで上達していき、五年生で一位となりました。そして一九七五年、六年生の時にNHK交響楽団の演奏でデビューしました。江藤俊哉先生との共演で、曲はバッハの一つのバイオリンのためのコンチェルトでした。
[日経夕刊7/10]
★こめんと。
「できる子」の親はやはり違うんだ〜。わかっただろッ?
母親が化学専攻ということは、実験手順や時間的な段取りをきちんと決めておかないと、途中一個所でも操作を誤るとすべてが無になりかねない世界に慣れている…。
では、上記の作業プロセスを順に追っていきますね…
【1】「音楽の練習」という無形で抽象的で計量化しにくい改善対象を、まず、どうやって目に見える形へと「翻訳」しておくべきか。
できるだけ情報の全体像を収集しておいて、地図を眺めるかのように、そこから最も重要度の高い要素を抽出する。(起)
【2】それらを、「工程化」する作業。
つまり、抽象理念を現実化するための具体的手段を考える。
それには具体的にどんな要素(=時間や方法など)を事前に見込んで準備しておき、
練習の計画を立てる必要があるのか。(承)
【3】その練習計画を実際に運用してみて、どういう不具合が発生したのか。
では、それを解決して「工程」作業を改善するには、どうすればよいか。(転)
【4】上記作業の習熟により、本来の目的達成を形作るための「工程」は最適化された。その結果、すばらしい成果を獲得した。(結)
こういうのは、技術開発の段取りそのものです。
これであなたのお子さんも「よい子」になれる!
…といいですね。
だから、パートで稼いだ「教育費用」を、やみくもに家庭凝視の到来家庭教師ごときにつぎ込んで、それを短絡的に「子供の能力向上の保証をカネで買う」正当な商取引、正当な消費者の権利だと信じこんでも、決してよい子になれるとは限らないですね。あなたのお子さんから立派に欠落した学力は、スーパーの棚に並ぶ商品ではないのだから。
そんなあなた自身の脳の中身こそ、せいぜいスーパーで商品を選ぶかのように○×イメージを単純連想する程度の思考力でしかないのかも知れない。
この記事の能力開発法をお読みになられて、どう思いましたか?