投稿者 YM 日時 2001 年 8 月 12 日 22:07:37:
平成 13年 (2001) 8月10日[金] 友引
■産経抄
「新しい歴史教科書をつくる会」本部ビルの放火テロ事件を報じる新聞各紙の姿
勢には、なかなか興味深いものがある。なるほどテロの「元凶はマスコミのあおり
方にあるのではないか」(西尾幹二会長の話=東京新聞)とも思われる。
▼しかしそう思われているマスコミほどこのテロを小さく報じている。事件は明
らかに言論への挑戦であり、出版・表現の自由への脅迫であるはずだが、いかにも
いやいや報じているとしか思えない新聞もある。なにか都合でも悪いところがある
のかといぶかしく思うほどだ。
▼はっきり書いてしまうと朝日新聞である。同紙も本社ビルで男に発砲や立てこ
もりを受けたり、作家・柳美里さんがサイン会中止要求の脅迫電話を受けたりした
事件では、大いに報じて世論を喚起した。それはそれで大いに結構なのだ。
▼しかし右であれ、左であれ、言論へのテロを非難するのなら同じ扱いであるべ
きだろう。今度の「つくる会」放火や、以前の「桜井よしこさん講演会妨害」など
に対しても、柳さんのと同様の声をあげてもらいたい。一方には雄弁、一方には沈
黙では何かに偏向していると誤解されても仕方ないではないか。
▼東京都教委がその「つくる会」の中学歴史・公民教科書を都立養護学校で採択
することをきめた。それへ朝日新聞は作家の大江健三郎さんが「弱い者、狙い撃
ち」と語ったと、大見出しで報じている。これはただごとではないぞと驚いて読ん
だ。
▼すると「養護学校に使わせるのは、抵抗の弱い相手への狙い撃ちです」という
のだった。何という言い様だろう。それらは公正な検定と採択を通った大切な教科
書であって、凶器や爆弾ではない。これではテロはなくなるまい、と悲しんだので
ある。