投稿者 「平和と人道の世紀」誓う 広島「原爆の日」 日時 2001 年 8 月 06 日 19:02:20:
「平和と人道の世紀」誓う 広島「原爆の日」
広島は6日、21世紀最初の「原爆の日」を迎えた。広島市中区の平和記念公園では「原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」(平和記念式)が開かれ、参列者は犠牲者のめい福を祈るとともに、20世紀中に果たせなかった核兵器廃絶の願いを新たにした。平和宣言を読み上げた秋葉忠利市長は、核兵器のない「平和と人道の世紀」の実現に向けて、広島が全力を尽くすことを誓った。
平和記念式は午前8時に始まった。被爆者や遺族代表、小泉純一郎首相、伊藤一長・長崎市長のほか、広島で第5回総会を開いている世界平和連帯都市市長会議の出席者らも参列した。式典の時間は例年の約1時間から約50分に短縮し、高齢者らが暑さで体調を崩さないように配慮した。
この1年間に、広島での被爆者4757人の死亡が新たに確認され、その名前を書き加えた原爆死没者名簿が原爆慰霊碑に納められた。昨年までに奉納されたものを合わせ、77冊に記された名前は22万1893人になった。
原爆投下時刻の午前8時15分、遺族代表の主婦古井寿子さん(40)とこども代表の小学6年灰野貴雄君(11)が平和の鐘を打ち鳴らした。厳かな音色が響き渡り、参列者は1分間の黙とうをささげた。
平和宣言の中で、秋葉市長は「人道」という言葉に期待感を込めた。生きとし生けるものすべての声に耳を傾ける、子どもたちを慈しみはぐくむ、和解を重んじ暴力を否定する――。こうした「人道」の精神によってのみ、核兵器廃絶が可能になると訴えた。
しかし、現実の世界は「地域紛争や暴力が世界を覆い、科学技術によって戦場は宇宙空間にまで広がりつつある」とし、人類が21世紀を生き延びるには、56年前の惨禍を知る被爆者の思いを次世代に伝えることが必要だ、と宣言は強調した。平和教育の再活性化に力を入れ、世界が手をつなぐことで「最終的には地球全体を非核地帯にすることも夢ではありません」と希望を掲げた。
こども代表として「平和への誓い」をした小学6年の畠山康成君(11)と藤森優香さん(11)は「世界の友達と心と心のつながりを深め、平和に向かって粘り強くチャレンジし続けることが、広島に生きる子どもとしての責任です。21世紀の地球の進路を決めるのは私たちです」と決意を述べた。
今回は初めて参列者に金色の折り紙を配り、つるを折ってくれるように呼びかけた。恒久平和への願いが込められた小さなつるは、世界平和連帯都市市長会議の出席者らに贈られる。(12:32)