投稿者 付箋 日時 2001 年 6 月 20 日 19:39:10:
【転載】
神浦 元彰(軍事アナリスト)
http://www.kamiura.com/new.html?010618a
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中谷防衛庁長官「米新ミサイル防衛 現時点の参加ない」(朝日6月18日朝刊)
[要約]
中谷長官は昨日のテレビ朝日の番組で、ブッシュ政権が表明したTMDとNMDを一体化する新ミサイル防衛網に参加することはないと表明した。あくまでTMDの範囲内の日米技術研究参加に限定すると語った。これは新ミサイル防衛が、わが国の集団的自衛権の逸脱になることを問題視したからである。
[コメント]
小泉内閣になって第一回の党首討論で、土井党首が5分間の持ち時間で問題提議した項目である。この土井党首の質問に、私は柔道の「技あり」と思っていたが、意外にも「一本」技で決めたようだ。これが以前のように、外務省官僚の答弁書丸読みなら、なんだこうだと屁理屈をつけて、結局ワケがわからないようになってしまうところだ。しかし軍事を知っている中谷長官なら、これは逃げれないと判断したからだと思う。もしもこれを中谷長官が、従来の外務官僚の影響下で屁理屈をこね回したら、間違いなく自分自身の自滅行為であった。私は前にも表明したように中谷長官を支持しているが、しかし無条件支持というわけではない。私は中谷防衛庁長官の言動を厳しく見守るつもりである。それが支持するものの責務と考えている。今回の新ミサイル防衛への表明は高く評価する。写真は地下サイロで点検中の米1CBMのミニットマンV型。13000キロの射程で、狙った目標の100メートル前後に着弾する。現在は1基の弾頭から、最終段階で3個の個別核弾頭が放出される。その1個の核弾頭でも330キロトンの爆発威力がある。なんと広島型原爆の18倍である。その異常な脅威ゆえに、アメリカはロシアや中国から同じようにICBMやSLBMで狙われ続けている。それがMAD(確証破壊戦略)であり、今話題のABM条約なのである。心底、核戦争の恐怖から逃れたいのなら、新ミサイル防衛網より、核兵器削減交渉と確実な検証体制の構築である。
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米ミサイル防衛 集団的自衛権関係は不明(朝日6月19日朝刊)
[要約]
外務省の川島事務次官は18日の記者会見で、ブッシュ政権の新ミサイル防衛を、「日米間で協議中の過程にあり、現段階で集団的自衛権との関係を結論づけられない」と述べた。新ミサイル防衛が集団的自衛権とかかわる可能性について明言をさけた。
[コメント]
中谷防衛庁長官の発言(下段)に対する反論である。従来であれば、この川島事務次官の発言が政府サイドの見解になっていた。しかし今では、川島事務次官の発言を評価するものはいない。これが軍事を知らない外務官僚の屁理屈だからである。こんな認識しかできないものが、今まで日本の安全保障政策を担ってきたとは驚きだ。それよりもブッシュ政権側は、新MD(ミサイル防衛)で日本に協力をしてくれというつもりはないと発言している。つまりクリントン政権時代の日米共同開発提案より、日本に「MDを理解してくれ」という程度に変化しているのだ。このことに日本は気がついているのだろうか。すでに米側(ブッシュ政権)は新ミサイル防衛を、日本の集団的自衛権に抵触するので、日米共同開発は無理と判断しているからだと思う。
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