投稿者 そんなばなな 日時 2001 年 6 月 17 日 16:46:57:
世田谷住民票訴訟仮処分 特別抗告審で勝訴
2001年6月14日
世田谷区の住民票訴訟執行停止仮処分の特別抗告審において、最高裁判所は、区の住民票消除処分を適法とした先の東京高裁の決定をしりぞけ、消除処分の執行停止を命じる決定を下しました。これによって、住民票を抹消されていた13人の住民登録は再び回復されました。
最高裁特別抗告審決定文
平成13年(行ト)第37号
決 定
抗告人(信者側)の住所氏名・代理人弁護士の名前
東京都世田谷区世田谷4丁目21番27号
相手方 世田谷区長 大場啓二
同指定代理人の名前
東京高等裁判所平成13年(行ス)第23号執行停止決定に対する抗告について、同裁判所が平成13年4月20日にした決定に対し、抗告人から特別抗告があった。よって、当裁判所は、次のとおり決定する。
主 文
原決定を破棄し、原々決定に対する抗告を棄却する。
手続の総費用は相手方の負担とする。
理 由
抗告代理人●●●●、同××××の抗告理由について
論旨は、要するに、原決定は、市区町村長が住民基本台帳法に基づき住民票を調整するに際し、地域の秩序が破壊され住民の生命や身体の安全が害される危険性が高度に認められるような特別の事情の存否について審査することができることを前提として、本件消除処分により憲法22条、15条等に基づく権利を侵害されているとの抗告人の主張を排斥したが、この判断はこれらの憲法の規定に違反するというのである。
職権をもって検討するに、原審は、相手方が上記のような審査権限を有しているとの法解釈に基づいて抗告人に係る住民票の記載は消除されるべきものであるとして、本件消除処分により抗告人に回復の困難な損害を生ずると認めることはできず、また、本案について理由がないとみえるときに該当するとしている。しかし、市区町村長が上記のような審査権限を有するとは必ずしも即断し難い。したがって、本件は本案について理由がないとみえるときに当たるということはできない。そして、原審の適法に確定した事実関係によれば、本件消除処分により抗告人に回復の困難な損害が生ずるおそれがあり、これを避けるため緊急の必要があると認められる。 したがって、本件執行停止の申立ては、理由があるというべきである。
そうすると、所論の憲法違反があるかどうかについて判断するまでもなく、原決定は裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるものとして破棄を免れず、本件消除処分の効力を停止する旨の原々決定は正当であるから、これに対する相手方の抗告は棄却すべきものである。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
平成13年6月14日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 北川弘治
裁判官 河合伸一
裁判官 福田博
裁判官 亀山継夫
裁判官 梶谷玄