投稿者 sankei 日時 2001 年 6 月 08 日 10:47:22:
■中国人民解放軍 領土確保重視へ転換
米政府安保研究機関報告書
「尖閣」「台湾」に準備
階級闘争理論を完全破棄
【ワシントン7日=古森義久】米国政府の安保研究機関「米国平和
研究所」(リチャード・ソロモン所長)は六日、中国人民解放軍の新た
な軍事理論についての研究報告書を発表し、中国軍が国際的な階級闘
争理論を完全に捨て、民族国家としての領土保全や主権を最重視して
守るという思考へと転向したという見解を明らかにした。その結果、
中国軍は日本の尖閣諸島をも含む周辺諸国との領土紛争を原因とする
地域戦争の準備へと重点を移しているという。
この研究報告書は「毛沢東以後の中国の国家安全保障と自己認識に
関する軍事理論=革命的国際主義から保守的民族主義へ」と題され、
中国出身のナン・リー・シンシナティ大学教授によりまとめられた。
同報告書はまず、中国人民解放軍が国家や政府よりも共産党と一体
になっているため軍のイデオロギー的理論の内容がとくに重要だとし
て、人民解放軍が一九八五年を境にしてその軍事理論を大きく変えた
ことを説明している。
同報告書によると、中国軍は八〇年代半ばから国際的な革命闘争、
階級闘争のための戦争準備という戦略目標や、兵員の数を威力として
世界大戦規模の「人民戦争」を実施するという軍事理論を捨て、テク
ノロジーを重視しながら国境紛争、自国の民族性認識、経済利害など
を理由に戦う地域戦争への準備へと大幅に重点を移すようになった。
この新戦略ではインドやベトナム、日本などとの領土紛争も中国側の
軍事力の行使や威嚇の主要な原因になりうるとされる。
中国軍は八〇年代半ばまでは毛沢東思想をそのまま軍事理論に反映
させ、グローバルな革命推進を基準としていたが、それ以降は国家主
権や領土保全を最重要とする地域問題対処を軍事理論の中心にすえる
ようになったという。この結果、中国軍が地域戦争にかかわる危険は
東西冷戦時代よりも高くなったといえる。
同報告書は「中国では革命イデオロギーの衰退の後、失地回復のナ
ショナリズムが政権の正当性の基盤となったため、人民解放軍もその
変化を反映し、本来、中国に帰属するとみなす領土の確保を最重要と
考えるようになった」と“診断”し、その結果、中国からみれば分離
されたままにある国土の一部である台湾の併合が人民解放軍にとって
も超重要かつ緊急の意味を高めてくるとして、中国軍にとっての台湾
の併合の新たな意味について強調している。
同報告書はこうした観点から人民解放軍の台湾への軍事戦略をも詳
述しているが、人民解放軍が台湾に対して優位に立ち、重大な脅威を
あたえうる兵器として中距離の地域弾道ミサイルをあげている。