投稿者 裏事情通 日時 2001 年 6 月 07 日 18:59:15:
米・ワシントンに本拠を置くシンクタンク、ブルッキングス戦略研究所の日本問題担当者がいう。
「実は、ブッシュ政権がここへ来て『国家金融政策調整委員会』なる特別チームを発足させたのです。この特別チームの狙いとするところはズバリ言って、日本のバンキングシステムへの動向を継続的にモニタリングし、何か問題が発生した場合にスピーディーに対応できるシステムを作ったのです」
もっとも、この特別チームがモニタリングしているのは何も日本だけではない。トルコ、アルゼンチンもその対象となっているという。
「トルコとアルゼンチンは、いずれも現在IMF(国際通貨基金)の管理下に置かれている国です。つまりブッシュ政権サイドは、日本もそうした国と同列に見ている、ということに他なりません」(前述の日本問題担当者)
現在、米国の政権内部では、日本のバンキングシステムに関して、まことしやかに“9月危機説”がささやかれているのだという。
なぜ“9月”なのか。その理由を以下で説明することにする。邦銀各行は今期決算から時価会計制度を導入するが、そのことによる影響がはじめて表面化してくるのが、この9月の中間期決算においてなのだ。
つまり、邦銀各行の経営実態の一端が、この9月にも明らかになってくる、と米国サイドは見ているのである。
「そしてそうした状況の中で、いくつかの邦銀の経営が危機的状況に陥っていることが、一気に判明しているのではないか、とブッシュ政権は警戒感を強めつつあるのでしょう」(前述同)
この“9月中間決算”において、注目されるポイントは次の2点である。
(1)保有有価証券の含み損。
(2)不良債権処理の進展状況。
日本のバンキングシステムに対する米国サイドの警戒感が強まる中で、信用力低下の著しい邦銀グループの中では“ザ・バンク”との異名をとり、最も経営内容が健全とされる東京三菱銀行がここへ来て不可解な動きを見ている。
その“不可解な動き”とは、2001年3月期決算において同行の不良債権額が急増したことを指す。
東京三菱銀行が抱える不良債権の残高は、前々年度末(2000年3月末)の1兆8411億円から一気に急増し、3兆4590億円に達してしまったのだ。もっともこの大半は“要管理先”に区分されるもので、前々年度の3452億円から1兆6275億円と一気に5倍増となったのである。そして、この“要管理先”とは、貸し出し条件緩和先(金利減免先等)と3カ月以上延滞先のことを指し、区分的には正常先よりもワンランクダウンした貸出先だ。
そして、東京三菱銀行以外の邦銀各行からは、「なぜあれだけ不良債権が急増したのか全くわからない。理解に苦しむ」という声が続出していたのである。
東京三菱銀行役員が言う。
「その理由は、米国マーケットを強く意識したため、といえるでしょう。当行は邦銀で唯一、ニューヨーク証券取引場に上場している銀行です。このことにより、当行の決算は−不良債権の開示も含め−米国基準(SEC基準)で対応しているのです。米国マーケットが邦銀勢に大して厳しい見方を強める中、自行の健全性をアピールするためには、不良債権処理の面でこうした保守的な措置をとる必要に迫られたのです」
そうなると、東京三菱銀行以外の邦銀は、今後、間違いなく米国マーケットから不信の目を向けられることになる、とみていいだろう。
出典:夕刊フジ 2001/06/08