日米地位協定と三沢基地

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投稿者 転載さん 日時 2001 年 6 月 01 日 12:02:06:

回答先: <田中外相>通信傍受アンテナの国内設置疑惑で「フォローする」 投稿者 マジか? 日時 2001 年 6 月 01 日 11:58:09:

●日米地位協定と三沢基地

 

日米地位協定と三沢基地

米軍三沢基地建設工事は1947年6月に着工し、全国各地から1万5千人の労働者が集まった。総事業費は当時で
1,500億円、のべ3百万人の人員を投入し、突貫工事の末1949年に完成をみた。  

在日米軍基地設置の歴史的背景となったのは、第2次大戦における対日作戦、対日政策である。1945年4〜6月
の沖縄戦で激戦の末に沖縄が占領されて、日本本土攻略のための根拠地づくりが開始され、その機能が戦後のアジア
政策との関連で維持・強化され続けた。とくに沖縄がグアム、フィリピンなどの米軍基地と関連させられ、アメリカ
の西太平洋地域における勢力圏維持のための要石 key stone と見なされるようになった49年以後は、対日講和後
も恒久的に基地とするための政治的方策が検討され、施設も改良された。

同時に本土では、横須賀が工業地帯に近接した軍港、貿易港として基地化の候補地となった。50年6月、朝鮮戦争
が開始されると米軍は日本が出撃、兵站、補給、慰安、訓練、医療などあらゆる基地機能を果たしうることに着目
し、日本全土の全面基地化に法的裏付けを与えるべく、講和条約の関連条約として交渉中の日米安全保障条約および
日米行政協定を締結しようとした。

日本政府は、独立国相互の条約、協定という形式を整えるべく交渉に当たったが、米軍基地を〈米軍の使用に供する
施設および区域〉と呼ぶことにした以外は成果がなかった。すなわち52年4月に発効した日米安保条約と行政協定
によって、米軍は陸海空軍の基地を日本中どこでも何ヵ所でも設定・維持することができ、その設定・維持に必要な
物資および労務提供の便宜をうけ、その構成員、軍属、家族は治外法権を有し日本に裁判権がなく、かつ日本政府の
外国為替管理法に服さず、輸入関税の免除や出入国の自由などの特権を与えられ、占領期の法的状況がほぼ継続され
ることになった。

53年 J.F.ダレスが米国務長官になると〈大量報復〉戦略が推進され、その結果日本の基地の拡張・増設がはから
れ、プライス勧告による沖縄基地の大拡張をはじめ、立川 (砂川)、横田、小牧、木更津、新潟の5飛行場の拡張など
が図られた。

1960年6月、新安保条約および日米地位協定が発効し、在日米軍の出動および配置・装備の重要な変更が事前協
議の対象となったが、米軍の諸特権を国民の諸権利より優先させる状況は継続され、72年の沖縄返還協定により沖
縄も本土と同等の法的地位に置かれるようになった。本土の米軍兵力は 52年末で約26万であったものが、60年
末には4万6千、67年初には3万6千となったが、兵力の質的強化は進み、核ミサイル配備 (沖縄)、原子力潜水
艦、空母の母港化、B52戦略爆撃機の配備・発進などで騒音・電波被害などが問題となり、核持込みと関連して日
本の安全が議論されるようになった。日本のベトナム反戦運動は在日米軍基地の利用に対する反対運動から出発した
ものである。  

ベトナム戦争後も在日米軍基地には米軍最大規模の燃料・弾薬貯蔵施設が置かれ、1990年代には湾岸戦争に代表
される地域紛争への介入のための戦略的根拠地として一層重視されるようになった。

この間米軍はアメリカにおける予算難、関係国の基地撤去要求、非核地帯運動などの圧力を受けて在外兵力の削減を
進めたが、95年、アメリカ国防省は東アジア・太平洋戦略を公表して日本を世界戦略の拠点と位置づけ、在日米軍
(第7艦隊の乗組員を含めて約6万) の兵力の確保、訓練の強化、有事即応体制の維持を明言した。

95年9月、沖縄で米兵による少女暴行事件を契機に基地撤去を求める大規模な住民運動が起こると、日本政府は海
上基地建設や演習場の他地域への移転などにより、運動の沈静化を図る一方、米軍の軍事訓練を確保する対策をとっ
た。97年にはアメリカとの間で〈防衛協力の指針〉 (ガイドライン) 改定に合意し、米軍の地域紛争戦略に日本側が
より積極的に協力するという立場を示した。

1976年に始まる〈おもいやり予算〉で日本政府は米軍基地の従業員労務費、滑走路など施設の建設、光熱費・電
話料金、地代などを負担し、96年度には6,407億円、在日米軍経費の70%を日本が支出した。


エシュロン作戦と三沢基地

米国の民間シンクタンク、国家安全保障公文書館が、情報公開法に基づいて機密扱いを解かれた公文書を分析、20
00年2月21日までに結果を公表したところによると、冷戦中、旧ソ連などの通信を傍受する米国の「エシュロン
(ECHELON)作戦」に関して、青森県の米軍三沢基地が拠点のひとつになっていた可能性が強まった。  

同公文書館によると、公開されたのは、米国防総省に所属する国家安全保障局(NSA)の機密文書。エシュロン作
戦は、米国や欧州が関与していた大規模な通信傍受活動で、1994年の米空軍情報局(AIA)の文書が、冷戦時
代の同作戦の内容に触れていた。この文書には「エシュロン作戦の活動」という項目があり、「AIAの参加は(中
略)三沢基地でのレディーラブ(LADYLOVE)作戦に限定されていた」と記されている。同作戦はエシュロン作戦の
一環で、空軍情報局によるソ連の衛星通信の秘密傍受を指すものとみられる。

人工衛星経由のエシュロンネットワーク   エシュロンの概要 エシュロンとは、合衆国の国家安全保障局(NSA)や
英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダの諜報機関が合同で展開してきた国際的な盗聴システムである。
ヨーロッパの場合については、欧州議会によるSTOA報告(1998年)がこの問題を指摘して大きな注目を集める
ことになった。ヨーロッパの場合、STOA報告によれば、EU地域の全ての電子メール、電話、ファックスの通信が
定期的に盗聴され、ロンドンの戦略ハブを経由して、イギリスのノース・ヨーク・ムーアのメンウィズ・ヒルを経由
して通信衛星を介してメリーランド州のフォートミードに送られる。1996年にニュージーランドの平和運動の活
動家でジャーナリストのミッキー・ヘイガーが独自の取材を通じてエシュロンの実体を明らかにした著書『シークレ
ット・パワー』を発表して、このエシュロンシステムが、世界中の衛星携帯電話の大部分を仲介しているインテルサ
ット衛星、インターネット、電子メールなどをターゲットとする世界的な規模での盗聴システムであることを明らか
にした。

三沢基地及び自衛隊の関与 エシュロンを含む様々な監視システムが英語圏諸国による産業スパイシステムとして発動
された場合には、日本は明らかに監視と情報収集のターゲットになるが、東西冷戦や極東アジアにおける日米の軍事
同盟関 係という観点では、日本は逆に米国の情報収集のためのインフラを提供する立場にたつ。なかでも青森県三沢
基地は、極東の監視基地として重要な位置にある。

三沢基地の機能について、ジェフレイ・T・リッチェルソンの記述によれば、「日本の三沢空軍基地の施設もまた
[アンカレッジのエルメンドフ空軍基地とならんで]極東ロシアとおそらくは北朝鮮、中国をターゲットにしてい
る。三沢の4マイル北西にある「丘」には、100フィートのAN/FLR-9アンテナが設置されている。(略)三沢は大
きな基地で、四つ全ての暗号解読の部隊の代表を雇用している。空軍情報局(AIA)の第6920エレクトロニッ
ク・セキュリティ・グループから900名の分遣隊、海軍セキュリティグループの司令部(NSGC)から700名の
分遣隊、陸軍の諜報セキュリティ司令部(INSCOM)から700名の代表、海兵隊支援歩兵大隊E中隊から80名の
代表がいる。三沢は、また、プロジェクトレディーラブLADYLOVE)のサイトでもある。このプロジェクトはモルニ
ーヤ、ラドゥーガ、ゴリゾントを含む複数のロシアの衛星システムの通信傍受を行っている。」

このレディーラブ(LADYLOVE)というプロジェクトには、エシュロンの中継基地でもある英国のメンウィズ・ヒル
の基地も含まれており、三沢基地が日本のエシュロンの拠点になっているのではないかとみられている。また、
UKUSA条約の加盟国としての日本への情報提供について、リチェルソンは、1982年にワインバーガー国防長官
は、偵察衛星の写真から、軍事利用が禁じられているはずの日本製のフローティング・ドックがソ連の空母ミンスク
の修理に利用されていることを指摘するとともに、70年代以降、米国の海軍情報司令部は、CIA、NSA、国防
情報局(DIA)と協議の上、ソ連、中国の海上活動についての情報交換を日本の海上自衛隊とのあいだでもお
こなうことにした。加えてプロジェクトCOMETにおいて、日本が日本海で収集した外国に関する情報を米国
に提供することになった。そして太平洋艦隊と海上自衛隊とのあいだの情報交換会議(Intelligence 
Exchange Conference)が設置されているとも書いている。

以上のように、日本が、エシュロンをその一部とするより大きな世界規模の盗聴ネットワークの一部を担っているこ
とは明白とみなされているものの、UKUSA秘密協定への日本の参加の時期、経緯、現状については明らかではない。
また、自衛隊がどのような役割を担い、情報交換会議(Intelligence Exchange Conference)とはいかなるものな
のかについても具体的な実態はわかっていない。







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