投稿者 3K 日時 2001 年 5 月 14 日 11:55:50:
放射線防護服の性能、兵士使い試す
英国防省、50−60年代の核実験後 爆心地付近に18人投入
【ロンドン13日=野口裕之】英国防省は十三日までに、同国が冷戦
さなかの一九五〇−六〇年代にオーストラリアの砂漠で実施した核爆
発実験後、英、豪、ニュージーランドの英連邦の兵士十八人に対し、
放射線防護服の性能を調べる目的で、被ばくした実験施設を歩かせる
などしていたことを認めた。英政府はこれまでの核実験で人を使った
実験はなかったと述べるなど、一貫して事実を否定してきた。
英国防省は、浴びた放射線量は「低レベル」と釈明。英国は五〇−
六〇年代、英連邦諸国の協力を得て度々、核実験を実施したが、「英
軍の核実験は兵士に対する事前の同意や説明なしに実施されたことは
ない。(危険がないよう)常に放射線量もモニターしていた」とも述
べ、「モルモットとして使ったのではない」と強調した。
英国防省などによると、問題の実験は豪州のウエスタンオーストラ
リア州のモンテ・ベロ・アイランドと南部のマラリンガ砂漠などで、
放射線防護服の防御効果を試す目的で行われた。十八人には、それぞ
れ異なった防護服を着て、核実験後の爆心地付近を通常またはゆっく
りとした速度で歩いたり、走ったりすることなどが、指示されたとい
う。
オーストラリア公共放送ABCは十一日、兵士に爆心地付近を歩か
せるなどの「人体実験」が実施されたことを示す公文書が、英スコッ
トランド・ダンディー大学の専門家スー・ラビット・ロフ氏によりオ
ーストラリア国立公文書館で発見されたと伝えた。ロフ氏は十二日、
英BBC放送に対し、防護服を着たのは「二十四人にのぼる」と指
摘。「問題なのは、英政府が一貫して実験の存在を否定し、実験にか
かわった兵士に対する医学的フォローを怠ってきたことだ」と批判し
た。
実験に参加した兵士からは「人体実験の材料にされた」との訴えが
出ており、オーストラリアのダウナー外相は「関係した兵士の健康状
態などに被ばくの影響があるものとみている」と語り、「調査」を明
言している。