ハイテク犯罪について

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投稿者 ハイテクポリス 日時 2001 年 5 月 02 日 15:50:06:

警察庁

ハイテク犯罪対策重点推進プログラム 目次
 
第1 背 景
第2 施 策
  1 サイバーポリスの創設
    (1) ナショナルセンター(HITEC)の設置
    (2) ハイテク犯罪専従捜査体制の確立
  2 不正アクセス対策法制
  3 産業界との連携
  4 国際捜査協力のためのルールづくり

 


第1 背 景
 情報通信ネットワークの普及は世界規模で急速に進展しており、政府においても、1994年8月、内閣総理大臣を本部長とする「高度情報通信社会推進本部」を設置し、1995年2月には「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」を決定している。さらに、1997年9月、同推進本部に「電子商取引等検討部会」が設置され、本年5月、「中間とりまとめ」を行ったところであり、6月には最終報告書をとりまとめる予定であるなど積極的な取組みがなされている。
 我が国においては、コンピュータ技術、電気通信技術を悪用したハイテク犯罪の発生件数の増加に加え、昨年以降、インターネットを介した電子計算機損壊等業務妨害事件等が発生しているほか、1997年に発覚した大手電気通信事業者研究所に対する不正アクセス事例のような不正アクセスが多発するなど情報システムに対する脅威が顕著になりつつある。1996年5月の米国会計検査院(GAO)の報告は、米国国防総省(DoD)のコンピュータ・システムが1995年の1年間で約25万回の攻撃を受けた可能性があるとし、情報通信ネットワーク上の犯罪、テロリズムは国家安全保障にも影響を与えかねないと指摘している。
 このような情勢下において、政府では、「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」や電子商取引等検討部会「中間とりまとめ」において、高度情報通信社会の実現に向けた課題の一つとしてセキュリティ・犯罪対策を挙げ、第142回国会施政方針演説(1998年2月16日)においても、内閣総理大臣は「ハイテク犯罪など情報化を巡る諸問題に適切に対応する」と表明し、ハイテク犯罪対策を重要政策課題と位置付けた。
 国際的なネットワークの広がりの中、1997年6月に開催されたデンヴァー・サミットのコミュニケにおいては、国際的に発生するハイテク犯罪への対処に焦点を当てることが宣明された。これを受け、1997年12月、米国においてG8司法・内務閣僚級会合が開催され、24時間体制のコンタクトポイントの設置、訓練され装備された人員の配置、法制度の見直し、産業界との協力などを主な内容とする「ハイテク犯罪と闘うための原則と行動計画」が合意されたところである。
 このような状況の中、1998年5月、英国において開催されたバーミンガム・サミットでは、ハイテク犯罪対策を含む国際組織犯罪対策が主要議題の一つとして取り上げられた。ハイテク犯罪対策については、G8司法・内務閣僚級会合で合意された「ハイテク犯罪と闘うための原則と行動計画」の迅速な実施が首脳レベルにおいて改めて確認されたほか、「証拠として電子データを取得し、提示し、保存するための法的な枠組みについて、及びこれらの犯罪の証拠を国際的なパートナーと共有することについて合意するため、産業界との緊密な協力を呼びかける。これは、我々がインターネット及び他の新たな技術の悪用を含む広範な種類の犯罪と闘うことに資する。」とのコミュニケが採択された。さらに、「ハイテク犯罪と闘うための原則と行動計画」の進捗を次回サミットに報告するよう、各国閣僚に求めることとされ、今後のフォローアップ体制の強化が図られている。
 このように、高度情報通信社会の本格的な到来を目前に控え、政府によるハイテク犯罪対策の更なる推進は急務であり、警察としても、従来から進めている施策に加え、平成10年度及び平成11年度に次の重点施策を緊急に実施する必要がある。


第2 施 策
1 サイバーポリスの創設

(1) ナショナルセンター(HITEC)の設置

 ハイテク犯罪は、その手段として情報通信技術が駆使されるため、犯行手口の解明、捜索・差押え、押収された電磁的記録の解析などの捜査活動には、情報通信に関する高度かつ最先端の技術的知識が要求される。
 また、ハイテク犯罪は、いわゆるサイバー・スペースの時間的・地理的な無制約性により、「犯行現場と被害発生場所が地理的に離れる。」、「被害が同時に、かつ、複数箇所で発生する。」など一般の犯罪とは大きく異なった特性を有している。このため、これらハイテク犯罪の捜査は、一の都道府県警察限りで処理することが困難な場合が多く、警察庁において、都道府県警察の捜査活動を的確に調整する必要がある。さらに、近年におけるネットワークの急速なグローバル化に伴い、ハイテク犯罪もトランスボーダーなものとなっており、これら犯罪に対処していくためには、各国間の緊密かつ迅速な協力の確保が不可欠となっている。
 このようなハイテク犯罪の特性を踏まえ、その急激な増加に的確に対処し、サイバーテロ等の新たな脅威から社会を防衛していくためには、警察庁において、情報通信に関する高度かつ最先端の技術力を確保し、これらの技術力を通じて都道府県警察をリードしていく必要がある。このため、次のような「サイバーポリス」(Cyber-Police)の機能を果たすナショナルセンター(「HITEC(High-tech-crime Technical Expert Center)」)を警察庁に設置する必要がある。

 ア ハイテク犯罪に関する警察各部門への技術的支援
   ・現場臨場等による都道府県警察のハイテク犯罪捜査等に関する支援
   ・暗号等により秘匿された情報の解読技術の研究開発
   ・超高速演算用コンピュータ等による秘匿情報の解読の実施
   ・技術的捜査手法の開発
   ・ハイテク犯罪に係る都道府県警察の活動に対する情報提供等

 イ 国際的に発生するハイテク犯罪に関して警察庁が行う国際捜査協力等に対する技術的支援
   ・24時間コンタクトポイント
   ・外国警察行政機関との情報交換

 ウ ハイテク犯罪に関する技術的調査・分析
   ・ハイテク犯罪に用いられた技術の調査・分析
   ・コンピュータ及び情報通信ネットワークに関する技術的調査
   ・情報通信ネットワークの現況調査

(2) ハイテク犯罪専従捜査体制の確立

 ハイテク犯罪は、コンピュータ・ネットワークの急速な発展、普及とともに増加、多様化の一途をたどっている。特に、数都道府県にまたがって敢行されるものや、国際的に敢行されるものが多く、その多くに、広域的、国際的に活動するハッカー・グループの関与が認められる。このため、警察において、積極的な事件端緒情報の収集に努めるとともに、事件発生時における法執行力を強化するため、ハッカー・ グループの関与する広域的ハイテク犯罪の捜査の任に当たるための組織として、各都道府県警察にハイテク犯罪捜査指導官とそのスタッフたるユニットを設置する。
 また、近年、国内外のテロ組織がネットワークを利用した活動を展開しており、サイバーテロが現実の脅威となっている。そこで、サイバーテロに対し、テロ組織の動向把握等により端緒情報の収集に努めるとともに、捜査体制を強化するため、新型テロ対策の一環として、主要な都道府県警察にサイバーテロ対策ユニットを設置する。
 さらに、外国の捜査機関からの捜査協力要請に応えるために警察庁に設置された24時間体制によるコンタクトポイントの対応能力を強化する。
 また、各種教養の機会を通じて、ハイテク犯罪に的確に対応するための教育訓練を推進する。

2 不正アクセス対策法制

 コンピュータ・ネットワーク上の相手方の本人確認は、専らID・パスワード等の利用者識別情報に依存する。したがって、利用者識別情報の盗用による不正アクセスが行われた場合には、ほぼ完全な匿名性の入手、すなわち「なりすまし」を行うことが可能となることから、不正アクセスを手段とする犯罪が多発している。情報システムに対する社会経済活動の依存度の高まりを勘案すれば、ハイテク犯罪による被害は甚大なものとなることが予想され、その手段として用いられる不正アクセスについて厳正に対処していく必要がある。
 また、不正アクセスを禁止する法律がないのは、G7諸国の中では我が国のみであり、このまま放置すれば、我が国が国際組織犯罪対策の抜け穴になるおそれが強い。
 こうした情勢を踏まえ、次の事項が盛り込まれた不正アクセス対策法制の整備に関係省庁と一体となって取り組むこととしている。

 ア 不正アクセス(正規の電子計算機利用者の識別情報等を無断で盗用し、その者の名で一定の電子計算機を使用する行為等)の禁止、これに違反した者に対する罰則

 イ いわゆるID屋等の不正アクセスを助長する業務の規制

 ウ 不正アクセスを防止・捜査するための産業界との協力(ログの保存等)

3 産業界との連携

 匿名性、無痕跡性、地理的・時間的無制約性といったネットワークの特性は、ハイテク犯罪の予防や捜査を困難なものとしており、警察力の強化のみをもって、今後予想されるハイテク犯罪の増加に対処することは不可能である。
 したがって、高度情報通信社会の実現に当たっては、犯罪の予防、鎮圧及び捜査の観点と経済的観点とのバランスを図りつつ、両者のニーズが融合した枠組を構築していかなければならない。このため、電気通信事業者等産業界と警察との緊密な連携を確保していくことが重要であり、産業界との連携の強化を図ることが必要不可欠である。
 かかる認識の下、被害者の相談に応じ、広報啓発、関係企業・団体との連携体制の構築等を行う情報セキュリティ・アドバイザーを都道府県警察に設置するとともに、次の内容の施策をACT2000 (Awareness of counter Cyber Terrorism and other high-tech-crime 2000)と名付け、これに基づき産業界との緊密な連携を確保することとする。

 ア 産業界のハイテク犯罪及びサイバーテロ対策に関する具体的助言・指導

 イ マスメディア等を通じたハイテク犯罪及びサイバーテロ対策に関する広報・啓発

 ウ ハイテク犯罪及びサイバーテロの捜査協力を確保するための産業界との対話の推進

4 国際捜査協力のためのルールづくり

 ハイテク犯罪については、犯罪にかかわる情報が瞬時のうちに国境を越えて伝送され、複写され、消去されることとなるため、各国捜査機関が特に迅速な国際捜査協力を行うことが必要となる。また、ハイテク犯罪については、その捜査の過程でインターネットに接続された端末から外国にあるホスト・コンピュータ中のデータを扱うこととなる場合等、国内捜査が外国に影響を及ぼす場合があり得ることから、各国間の国家主権の調整が必要となる場合がある。
 そこで、共助要請の実行に先立つ証拠保全、国境をまたぐ捜索やデータ所在国が不明な場合の捜索に関する実行可能な解決策について、関係省庁と連携しつつ、国際的な検討・開発の場に積極的に参加し、新たな国際捜査協力のためのルールづくりを推進する。




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