投稿者 asahi.com/1229 日時 2000 年 12 月 30 日 07:31:38:
国防長官にラムズフェルド氏 ブッシュ次期大統領が発表
米国のブッシュ次期大統領は28日、新政権の国防長官にドナルド・ラムズフェルド氏(68)を指名した。同氏は、共和党のフォード政権で国防長官を務めており、四半世紀ぶり2度目の長官就任。2年前にミサイル脅威の報告書をまとめたことで知られ、米本土ミサイル防衛(NMD)の主唱者でもある。副大統領のチェイニー元国防長官、国務長官のパウエル元統合参謀本部議長に続くベテランの起用によって、新政権の国防・外交政策の布陣が決まるとともに、NMD重視の姿勢が明確になった。
ブッシュ氏は、国防長官人事を発表した記者会見で新政権の国防政策の目標として、(1)軍の士気立て直しを通じて大統領と軍との信頼関係を強化する(2)米軍や同盟国をミサイル攻撃から守るためにミサイル防衛システムを開発する(3)軍の機動性を高め、サイバー(電脳)攻撃などの21世紀の脅威にも対応できる新戦略をつくる――の3点を挙げた。
ラムズフェルド氏は、米本土に対するミサイル攻撃の脅威を調べるために議会が設けた「弾道ミサイル脅威評価委員会」の委員長を務めた。1998年7月には、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)やイラン、イラクによる長距離弾道ミサイル開発は、中央情報局(CIA)の見通しよりもはるかに切迫している、との報告書をまとめた。直後にイランの中距離ミサイルや北朝鮮の「テポドン」の発射があったため、報告書はクリントン政権のNMD政策に大きな影響を与えた。
ブッシュ氏は会見で、「ラムズフェルド氏の報告書は、ミサイル防衛の必要性について説得力のある議論を展開した」と評価するとともに、「国防予算のうち、ミサイル防衛の開発費には高い優先順位が与えられる」と述べた。
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ドナルド・ラムズフェルド氏
1932年7月、イリノイ州シカゴ生まれ。プリンストン大卒。海軍を経て、30歳で共和党下院議員。ニクソン政権の大統領補佐官、北大西洋条約機構(NATO)大使、フォード政権の大統領首席補佐官の後、75―77年に史上最年少の国防長官、レーガン政権の中東特使。医薬品メーカーのG・D・サール社長など民間企業の経営歴も豊富。日米諮問委員会のメンバーも務めた